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2010.12.13 活動報告-講師派遣/講座等
女性ライフサイクル研究所20年の活動報告(1990年10月~2010年10月)

西 順子

 去る2010年10月31日(日)、「女性ライフサイクル研究所設立20周年イベント」を開催しました。その際に報告させて頂きました「20年の活動報告」を、このコーナーでも紹介させて頂きたいと思います。写真やビデオをご紹介できないのは残念ですが、私たちの「歩み」を知って頂ければ、嬉しいです。また併せて、年報20号もお読み頂ければ嬉しいです。 今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

・ ・ ・ ・ ・

●1990年10月1日、大阪市北区にて、女性ライフサイクル研究所は産声をあげました。スローガンは、「女性の視点から女性のサポートを」です。

 女性ライフサイクル研究所開設の発想は、創設者村本邦子のお産の体験に遡ります。ひょんなことから第一子を自宅出産した村本は、母性という制度がどんなふうに母たちの自然な愛を歪めていったのかを認識しました。「個人のこころ」を規定する社会システムや歴史というものに視野が開けたのです。ここから、社会に開かれ、女性の視点に立った心理臨床という発想が生まれました。

 女性ライフサイクル研究所という名前は、「自分たち自身のライフサイクルに応じて、関心も変わっていくだろう」という視点から、名付けられました。英語では「Feminine Life Cycle」、これを略して、FLCと呼びます。FLCという名称は、今も愛称として親しまれています。

●1990年初期、真っ先に始めたのは、妊娠・出産・子育てのサポートでした。具体的には、カウンセリング、グループワークショップ、無料電話相談からスタートしました。そして、年報「女性ライフサイクル研究」を発行、FLCネットワークとして通信物の発行など、研究活動、ネットワークづくりにも着手しました。

 特にここでは、グループワークショップを紹介しましょう。当初開設されたグループは二種類ありました。子どもの発達心理を学ぶグループと、女性学を学ぶグループです。グループでは、発達心理学や女性学について学びながら、参加者たちが日頃の体験を語り合うという手法で行われました。孤独と不安のなかで子育てをしている母親たちに、「発達心理学」の専門知識をわかりやすく伝えたい、そして自分の頭で考える子育てができるように、そして、仲間たちとのつながりのなかで親子の成長を共有できるようにと考え、発達心理を学ぶグループがうまれました。

 女性学を学ぶグループでは、スタッフも参加者と一緒になって、生い立ち、性、妊娠・出産、子育ての体験まで、女としての体験を語り合いました。「自分だけではなかった」と女であることの普遍性を体験し、女性同士の友情(sisterhood)が生まれていきました。

 女性たちが自分らしく伸び伸びと生き、自己実現するためのグループとしても機能していました。そして、「個人的なことは政治的なこと」というグループ体験は、研究所の存在の基盤となりました。このグループワークショップは、現在「読書会」のグループとして引き継がれています。

●1990年前半、村本が開業ベースでカウンセリングをスタートさせて直面したのは、子ども時代の虐待や性暴力の問題でした。少なからぬ女性たちが成長過程においてどれほど深く傷ついてきたか、女性のメンタルヘルスにこれほど大きな影響を与えているはずのことを世間はおろか専門家たちも理解していない、ということに愕然としました。それで、虐待、とくに子ども時代の性虐待についての社会啓発をスタートさせました。

 まず、年報2号では『チャイルド・セクシャル・アビューズ』の特集を組みました。この2号は、マスコミに大きく取り上げられ、全国各地から電話相談や問い合わせが寄せられました。

 そして、性的虐待の講演会を主催したり、暴力防止プログラムを開発・実施しました。専門家の意識を喚起するために毎年日本心理臨床学会で自主シンポジウムを開催しました(1992-2000年まで)。

 この時期には、数々のサバイバーたちとの出会いがありました。「カウンセリングルームでカウンセリングをしていられる状況にない」サバイバーたちと、ともにできることを模索し続けました。この経験は、現在も、支援の原点であり骨格となっています。社会という次元が本人の回復に必要であること、心の問題だけではだめだと確信を強めていきました。

●そして、1990年後半。1995年、阪神淡路大震災が起こりました。震災をきっかけに、トラウマ概念が我が国でも広く知られるようになりました。1990年代も終わりになるにつれ、心のケア、子育て支援、被害者支援、虐待、DVなど、トラウマの影響と回復についても理解されるようになっていきました。時代が変わり、社会がようやく、社会の根っこにある暴力の問題に目を向けるようになってきたのです。

 1999年、研究所では当時島根大学社会学部教授だった石川義之先生とともに、大規模な性被害調査に乗り出しました。この研究はランダム・サンプリングによる質問紙調査とインタビュー調査からなります。女性のトラウマを考える会を組織し、スタッフが調査に協力しました。インタビュー調査を通して実感したことは、「人々は想像を絶する深刻なトラウマを抱えながらもサバイブしている現実がある。それを支えるのは、身近な人々の温かさだったり、ささやかな言葉であったりする」ことを実感していきました。

 一方、1999年に、村本は米国ユニオン・インスティテュート博士課程に入学しました。村本が博士課程時代に得たトラウマについての新しい情報や仕組みは、さっそく研究所にも取り入れられました。まず、日本でもいち早くインフォームド・コンセントをつくりました。そして、トラウマを査定するMTRR尺度を日本に紹介し、トラウマへの様々なグループ・アプローチを試みていきました。

●そして2002年。仕事も増え、スタッフたちが育ち社会的責任を背負って「やっていこう」という機運が生まれました。議論の末、スタッフの仕事の場としての有限会社と、非営利でボランティア活動を行うNPO法人とを分けて設立することになりました。

 2002年4月に研究所を有限会社として法人化、11月には、NPO法人「FLC安心とつながりのコミュニティづくりネットワーク」を設立しました。2003年から、新しくスタッフも迎えることとなりました。

□次世代による活動の展開へ

 法人化以降は、村本は次世代養成・援助者支援にエネルギーを注ぐポジションとなりました。それに続くようにして、研究所のスタッフそれぞれが自立的に活動を展開していくこととなりました。カウンセリングと講師派遣と二本柱の活動を中心に、それぞれに社会のニーズにこたえていきました。
カウンセリングでは、法人化以降、EAP(従業員支援プログラム)の分野にも職域を拡げました。行政での女性相談や子育て相談、共済組合でのメンタルヘルス相談に、カウンセラー派遣も行ってきました。

 講師派遣では、一般市民から援助職対象まで、講座や研修に講師派遣をし、より広いコミュニティへと展開していきました。講師派遣の地域は、大阪、京都はもとより、奈良、姫路、愛知など、関西周辺からの依頼も増えています。また、山陰、四国、九州・沖縄地方と主に西日本の各地域から援助者向け研修の依頼を頂いています。
 一方、企業向けセミナーにおいては、男性に向けての発信も行ってきています。

□次世代養成と援助者支援

 特に、次世代養成と援助者支援についてご紹介します。

 次世代養成としてまず研究所内で定期的に行っているのは、月1回年報会議、年2回ケース・カンファレンス、年2回内部研修、年6回家族造形法研修、年1回宿泊研修などです。 2003年からは、立命館大学大学院より臨床心理士養成コースの実習生を受け入れています。また、NPOでの活動の場も次世代養成の場となっています。DV子どもプロジェクト、Vi-Projectなど、NPO活動に取り組む若手スタッフらをバッアップしています。

 援助者支援では、DV被害者支援に携わる援助者対象に、DVスペシャリスト協会、内閣府「配偶者からの暴力被害者支援アドバイザー派遣事業」、各地域のDV・虐待支援者ネットワーク研修会等への講師派遣をしています。
子育て支援に携わる援助者支援としては、保育士・幼稚園教諭・子育て支援センター・ファミリーサポートセンターなどの職員、子育て支援者向け研修への講師派遣を行っています。特に2006年から毎年「キッズサポーター・スキルアップ講座」を開いていますが、保育所・幼稚園の研修の一環として、毎年参加下さっている園もあります。

 その他にも、福祉職、教師、看護師などの援助者向けの研修も行っています。

□戦争とトラウマのテーマに着手

 一方、新たなテーマにも着手しはじめました。2005年、開設一五周年記念シンポジウムでは「戦争・ジェンダー・トラウマ」を企画・開催しました。「戦争とトラウマ」のテーマは、トラウマの世代間伝達の問題として、アジアの人々との和解修復への試みにも取り組みつつあります。

●まとめ

 女性ライフサイクル研究所の事業の特徴は、臨床心理学的地域援助として、社会やコミュニティにひらかれた活動を行ってきたということです。開設以来、必要な人に必要な情報や支援を届けられるようにと、予防啓発活動から臨床的援助まで、「橋渡し」を行ってきました。具体的には、カウンセリング、グループ、講師派遣、講座企画、年報発行、執筆活動などです。そして、活動のテーマは、妊娠・出産・子育てのサポートから、虐待、DV、性暴力のトラウマへ、そして、戦争とトラウマの世代間伝達の問題へと拡がってきました。対象も、女性や子どもから、家族や男性まで、一般市民から、援助者、働く人々・・へと拡がってきています。

 これからも、権利擁護の立場にたち、人々とつながるなかで、コミュニティ支援に取り組んでいきたいと思います。

2010.11.23 年報『女性ライフサイクル研究』
『女性ライフサイクル研究』第20号(2010年11月発行)

report20.gif年報20号は『女たちの20年―女性を取り巻く社会は変わったか』を特集しています。
この20年、女性や子どもをめぐる状況は大きな変化を見ました。研究所で取り組んだ子育て支援、虐待、性暴力、DVが重要なトピックとなり、さまざまな法制化がなされ、人々の意識が変化したことは特筆すべきでしょう。
本号は、さまざまな「女たちの20年」を、結婚・離婚、専業主婦、社会活動、仕事と子育て等の現状、それらに向けての支援活動などについて論じています。


〈目次〉

●序/(女性ライフサイクル研究所)村本邦子
      女たちの20年

1 女たちの20年 女性を取り巻く社会は変わったか

●研究所の歩み/(女性ライフサイクル研究所)西 順子
    女性や子どものトラウマ予防・介入・回復支援
    研究所開設20年・コミュニティ支援の歩み
●結婚・離婚/(女性ライフサイクル研究所)桑田道子
    女たちの結婚・離婚
●専業主婦/(女性ライフサイクル研究所)下地久美子
    専業主婦という生き方をめぐる20年
●個人史/(女性ライフサイクル研究所)森﨑和代
    主婦と社会活動そして仕事
    20年間の個人史を振り返る中で
●仕事と子育ての両立/(女性ライフサイクル研究所)窪田容子
    女性の仕事と子育ての両立をめぐる20年
●子育て支援/(女性ライフサイクル研究所)津村 薫
    子育て支援の20年と今後に向けて
●DV・虐待・母子支援/(女性ライフサイクル研究所)渡邉佳代
    DV・虐待被害にあった母子への支援をめぐる20年
●性暴力/(女性ライフサイクル研究所)前村よう子
    性暴力への取り組み
    この20年を概観する
●生殖医療/(女性ライフサイクル研究所)安田裕子
    生殖補助医療をめぐる20年と女性の選択

2 私たちのシスターフッド 研究所スタッフたちの声

3 20周年によせて 関係者からのメッセージ


135頁 1,050円

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2010.11.01 FLCアーカイブ
女性ライフサイクル研究所20年の活動報告 (1990年10月~2010年10月)

                                                                                                             西 順子

去る2010年10月31日(日)、「女性ライフサイクル研究所設立20周年イベント」を開催しました。その際に報告させて頂きました「20年の活動報告」を、このコーナーでも紹介させて頂きたいと思います。写真やビデオをご紹介できないのは残念ですが、私たちの「歩み」を知って頂ければ、嬉しいです。また併せて、年報20号もお読み頂ければ嬉しいです。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

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●1990年10月1日、大阪市北区にて、女性ライフサイクル研究所は産声をあげました。スローガンは、「女性の視点から女性のサポートを」です。

女性ライフサイクル研究所開設の発想は、創設者村本邦子のお産の体験に遡ります。ひょんなことから第一子を自宅出産した村本は、母性という制度がどんなふうに母たちの自然な愛を歪めていったのかを認識しました。「個人のこころ」を規定する社会システムや歴史というものに視野が開けたのです。ここから、社会に開かれ、女性の視点に立った心理臨床という発想が生まれました。

女性ライフサイクル研究所という名前は、「自分たち自身のライフサイクルに応じて、関心も変わっていくだろう」という視点から、名付けられました。英語では「Feminine Life Cycle」、これを略して、FLCと呼びます。FLCという名称は、今も愛称として親しまれています。

●1990年初期、真っ先に始めたのは、妊娠・出産・子育てのサポートでした。具体的には、カウンセリング、グループワークショップ、無料電話相談からスタートしました。そして、年報「女性ライフサイクル研究」を発行、FLCネットワークとして通信物の発行など、研究活動、ネットワークづくりにも着手しました。

特にここでは、グループワークショップを紹介しましょう。
当初開設されたグループは二種類ありました。子どもの発達心理を学ぶグループと、女性学を学ぶグループです。グループでは、発達心理学や女性学について学びながら、参加者たちが日頃の体験を語り合うという手法で行われました。孤独と不安のなかで子育てをしている母親たちに、「発達心理学」の専門知識をわかりやすく伝えたい、そして自分の頭で考える子育てができるように、そして、仲間たちとのつながりのなかで親子の成長を共有できるようにと考え、発達心理を学ぶグループがうまれました。

女性学を学ぶグループでは、スタッフも参加者と一緒になって、生い立ち、性、妊娠・出産、子育ての体験まで、女としての体験を語り合いました。「自分だけではなかった」と女であることの普遍性を体験し、女性同士の友情(sisterhood)が生まれていきました。
女性たちが自分らしく伸び伸びと生き、自己実現するためのグループとしても機能していました。そして、「個人的なことは政治的なこと」というグループ体験は、研究所の存在の基盤となりました。このグループワークショップは、現在「読書会」のグループとして引き継がれています。

●1990年前半、村本が開業ベースでカウンセリングをスタートさせて直面したのは、子ども時代の虐待や性暴力の問題でした。少なからぬ女性たちが成長過程においてどれほど深く傷ついてきたか、女性のメンタルヘルスにこれほど大きな影響を与えているはずのことを世間はおろか専門家たちも理解していない、ということに愕然としました。それで、虐待、とくに子ども時代の性虐待についての社会啓発をスタートさせました。

まず、年報2号では『チャイルド・セクシャル・アビューズ』の特集を組みました。この2号は、マスコミに大きく取り上げられ、全国各地から電話相談や問い合わせが寄せられました。
そして、性的虐待の講演会を主催したり、暴力防止プログラムを開発・実施しました。専門家の意識を喚起するために毎年日本心理臨床学会で自主シンポジウムを開催しました(1992-2000年まで)。

この時期には、数々のサバイバーたちとの出会いがありました。「カウンセリングルームでカウンセリングをしていられる状況にない」サバイバーたちと、ともにできることを模索し続けました。この経験は、現在も、支援の原点であり骨格となっています。社会という次元が本人の回復に必要であること、心の問題だけではだめだと確信を強めていきました。

●そして、1990年後半。1995年、阪神淡路大震災が起こりました。震災をきっかけに、トラウマ概念が我が国でも広く知られるようになりました。1990年代も終わりになるにつれ、心のケア、子育て支援、被害者支援、虐待、DVなど、トラウマの影響と回復についても理解されるようになっていきました。時代が変わり、社会がようやく、社会の根っこにある暴力の問題に目を向けるようになってきたのです。

1999年、研究所では当時島根大学社会学部教授だった石川義之先生とともに、大規模な性被害調査に乗り出しました。この研究はランダム・サンプリングによる質問紙調査とインタビュー調査からなります。女性のトラウマを考える会を組織し、スタッフが調査に協力しました。インタビュー調査を通して実感したことは、「人々は想像を絶する深刻なトラウマを抱えながらもサバイブしている現実がある。それを支えるのは、身近な人々の温かさだったり、ささやかな言葉であったりする」ことを実感していきました。

一方、1999年に、村本は米国ユニオン・インスティテュート博士課程に入学しました。村本が博士課程時代に得たトラウマについての新しい情報や仕組みは、さっそく研究所にも取り入れられました。まず、日本でもいち早くインフォームド・コンセントをつくりました。そして、トラウマを査定するMTRR尺度を日本に紹介し、トラウマへの様々なグループ・アプローチを試みていきました。


●そして2002年。仕事も増え、スタッフたちが育ち社会的責任を背負って「やっていこう」という機運が生まれました。議論の末、スタッフの仕事の場としての有限会社と、非営利でボランティア活動を行うNPO法人とを分けて設立することになりました。
2002年4月に研究所を有限会社として法人化、11月には、NPO法人「FLC安心とつながりのコミュニティづくりネットワーク」を設立しました。2003年から、新しくスタッフも迎えることとなりました。

□次世代による活動の展開へ
法人化以降は、村本は次世代養成・援助者支援にエネルギーを注ぐポジションとなりました。それに続くようにして、研究所のスタッフそれぞれが自立的に活動を展開していくこととなりました。カウンセリングと講師派遣と二本柱の活動を中心に、それぞれに社会のニーズにこたえていきました。

カウンセリングでは、法人化以降、EAP(従業員支援プログラム)の分野にも職域を拡げました。行政での女性相談や子育て相談、共済組合でのメンタルヘルス相談に、カウンセラー派遣も行ってきました。

講師派遣では、一般市民から援助職対象まで、講座や研修に講師派遣をし、より広いコミュニティへと展開していきました。講師派遣の地域は、大阪、京都はもとより、奈良、姫路、愛知など、関西周辺からの依頼も増えています。また、山陰、四国、九州・沖縄地方と主に西日本の各地域から援助者向け研修の依頼を頂いています。
一方、企業向けセミナーにおいては、男性に向けての発信も行ってきています。

□次世代養成と援助者支援
特に、次世代養成と援助者支援についてご紹介します。
次世代養成としてまず研究所内で定期的に行っているのは、月1回年報会議、年2回ケース・カンファレンス、年2回内部研修、年6回家族造形法研修、年1回宿泊研修などです。 2003年からは、立命館大学大学院より臨床心理士養成コースの実習生を受け入れています。また、NPOでの活動の場も次世代養成の場となっています。DV子どもプロジェクト、Vi-Projectなど、NPO活動に取り組む若手スタッフらをバッアップしています。

援助者支援では、DV被害者支援に携わる援助者対象に、DVスペシャリスト協会、内閣府「配偶者からの暴力被害者支援アドバイザー派遣事業」、各地域のDV・虐待支援者ネットワーク研修会等への講師派遣をしています。

子育て支援に携わる援助者支援としては、保育士・幼稚園教諭・子育て支援センター・ファミリーサポートセンターなどの職員、子育て支援者向け研修への講師派遣を行っています。特に2006年から毎年「キッズサポーター・スキルアップ講座」を開いていますが、保育所・幼稚園の研修の一環として、毎年参加下さっている園もあります。
その他にも、福祉職、教師、看護師などの援助者向けの研修も行っています。

□戦争とトラウマのテーマに着手
一方、新たなテーマにも着手しはじめました。2005年、開設一五周年記念シンポジウムでは「戦争・ジェンダー・トラウマ」を企画・開催しました。「戦争とトラウマ」のテーマは、トラウマの世代間伝達の問題として、アジアの人々との和解修復への試みにも取り組みつつあります。

●まとめ
女性ライフサイクル研究所の事業の特徴は、臨床心理学的地域援助として、社会やコミュニティにひらかれた活動を行ってきたということです。開設以来、必要な人に必要な情報や支援を届けられるようにと、予防啓発活動から臨床的援助まで、「橋渡し」を行ってきました。
具体的には、カウンセリング、グループ、講師派遣、講座企画、年報発行、執筆活動などです。そして、活動のテーマは、妊娠・出産・子育てのサポートから、虐待、DV、性暴力のトラウマへ、そして、戦争とトラウマの世代間伝達の問題へと拡がってきました。対象も、女性や子どもから、家族や男性まで、一般市民から、援助者、働く人々・・へと拡がってきています。
これからも、権利擁護の立場にたち、人々とつながるなかで、コミュニティ支援に取り組んでいきたいと思います。

2010.10.30 FLCアーカイブ
女性ライフサイクル研究所20周年記念イベント

このイベントは終了いたしました。
多数のご来場いただき、誠にありがとうございました。   


女性ライフサイクル研究所20周年記念イベント


女性ライフサイクル研究所は、1990年10月、「女性の視点で女性のサポートを!」と開設されました。以来、妊娠・出産・子育てのサポート、虐待や性暴力、女性の生き方、家族の問題など、女性や子どもの権利擁護の視点から、カウンセリング、グループ・ワーク、講師派遣、出版などを行ってきました。

このたび、開設20周年を記念して、「女性ライフサイクル研究所20年の歩みとこれから」と題するイベントを企画しました。高い志を持って事業展開をされてきたお二人のゲストと所長村本との鼎談「人生の楽しみ、事業の歓び」と、おまけのピアノ・コンサートをお楽しみください。
みなさまのお越しをお待ちしています。

日 時:

2010年10月31日(日)13時~

場 所:

クレオ大阪中央・セミナーホール(4階)
(地下鉄谷町線四天王寺夕陽丘下車/徒歩5分)

参加費:

予約 500円 / 当日 600円
(電話/メール/FAXでお申し込みください。お支払いは当日、受付にて)

内 容:

【第一部】13:00-15:30

 

 ◆ 20年の活動報告          

 ◆ 鼎談  「人生の楽しみ、事業の歓び」

 

村本 邦子(女性ライフサイクル研究所所長)

ゲスト: 
多田 千尋さん(芸術教育研究所所長/東京おもちゃ美術館館長)

高齢者福祉、世代間交流について研究・実践。お茶の水大学で「保育」、早稲田大学で「福祉文化論」を教える。全国に4000人のおもちゃコンサルタントを養成。「日本の社会起業家30人」の一人に選出。

上田 理恵子さん(株式会社マザーネット代表)

ワーキングマザーが、仕事と家事・子育ての両立をしていく上での問題点を解決し「仕事を続けてきてよかった」と実感できる社会を創造することを理念とし、起業。
 

【第二部】16:00-16:40

 

 ◆ ピアノ・コンサート 演奏: パールノート(長川歩美+村本邦子)

曲目:♪ショパン「プレリュード」から ♪ラフマニノフ前奏曲「鐘」 ♪ガーシュイン「プレリュード」ほか
2010.02.11 関連図書
《FLC21子育てナビ11》親子でストレスに強くなる方法

child11.gif【窪田容子・津村薫 著】

子育て中は、ストレスを抱えやすいものです。私たちは、ストレスを抱えているたくさんの子育て中のお母さんと出会ってきました。その昔、母親がひとりきりで子育てを抱えることはありませんでしたが、今は、母親一人が一手に子育てを引き受け、孤独に奮闘していることが多いのです。子育ての責任の重さから、些細なことが気になり不安になる母親。公園で出会うお母さんたちとのつきあいが苦痛だと語る人、仕事と子育てのどちらも中途半端になってしまっていると語る、働く母親たち。現代の子育てに特有のストレスがあるのです。本書では、ストレスのしくみについて知り、正しい知識を得た上で、ストレスとうまくつきあうためのさまざまなヒントを紹介しています。

また、スクールカウンセラーや、キンダーカウンセラーとしての経験を通して子どもたちも、さまざまなストレスを抱え、いろんなサインを出していることを感じてきました。本書では、子どもがストレスとうまくつきあうためのヒントもご紹介していますので、親子で一緒に取り組んでみましょう。


〈目次〉

1. ストレスに強くなるってどういうこと?
2. ストレスについて正しい知識を持ちましょう
3. ストレスのしくみを知ろう
4. 心身の調子を整えましょう
5. ストレスのサインに気づきましょう
6. 何がストレッサーとなっているか考えてみましょう
7. ストレスになっていることを受け入れましょう
8. ストレス対処法(コーピング)を身につけましょう
9. ストレスを抱えすぎない考え方、受けとめ方をしてみましょう
10. 周囲のサポートを得ましょう
11. 対人関係のストレスへの工夫
12. こんな時どうする? Q&A
13. 相談機関を利用してみましょう


三学出版 四六版 103頁 1,050円(税込)

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2009.11.23 年報『女性ライフサイクル研究』
『女性ライフサイクル研究』第19号(2009年11月発行)

report19.gif年報19号は『からだの声を聴く-肥大化した「こころ」の時代に』を特集しています。
「心身一如」というように、心だけでも、からだだけでもなく、そのどちらをもバランス良くホリスティック(「全体」「つながり」「バランス」といった意味をすべて包含した言葉)にケアしていくとはどのようなものなのでしょうか。
本号は、心理学に足場を置きながら、「からだ」の声を聴くことを重視した取り組みを紹介し、ダンス、演劇、オペラ、制作、バイオフィードバック、アクティブレストなど、様々な視点から、考察しました。


〈目次〉

●序/(女性ライフサイクル研究所)村本邦子
    からだの声を聴く―肥大化した「こころ」の時代に

●歴史の傷/(女性ライフサイクル研究所)村本邦子
    こころとからだで歴史を考える
    "HWH : Healing the Wounds of History(歴史の傷を癒す)"を通じて

●保健室/(女性ライフサイクル研究所)渡邉佳代
    スクールカウンセラーと養護教諭の協同
    からだとこころをつなぐ

●トラウマ/(女性ライフサイクル研究所)西 順子
    「身体感覚」に耳を傾けるトラウマ療法
    ソマティック・エクスペリエンスを学ぶ

●ダンス/(女性ライフサイクル研究所)下地久美子
    ダンスでみずからを取りもどす
    DV被害を乗り越えて

●演劇/(女性ライフサイクル研究所)前村よう子
    演劇でみずからを啓く
    劇団青い鳥・芹川藍さんの自己発見表現講座を通して

●レポート/(女性ライフサイクル研究所)登尾和栄
    オペラ体験を通した、からだと表現

●手づくり/(女性ライフサイクル研究所)森﨑和代
    手のはたらき
    手づくりの鳩を介して、人と人がつながるのを見て

●運動/(女性ライフサイクル研究所)津村 薫
    習慣的に運動すること
    「からだを動かそうプロジェクト」の実践を通じて

●レポート/(女性ライフサイクル研究所)桑田道子
    バイオフィードバックによるアプローチ


80頁 1,050円

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2008.12.10 関連図書
プレ思春期をうまく乗り切る! 大人びてきたわが子に戸惑ったとき読む本

books_otona.gif【村本邦子 著】
子育てのコツは、子どもを存分に愛することと、上手に手放すことにあるのではないかと思います。そして、上手に手放すということが、今の時代、なんて難しいんだろうと思います。子どもの数が多く、貧しく、生活に精一杯の時代には、子どもを手放すも何も、早く出て行ってもらわねば互いに生きていけなかったわけですから、努力しなくても子どもは自立していきました。〈中略〉こんな時代だからこそ、親のほうが、子どもを上手に手放すことを意識しておく必要があります。そのことを意識し始めるのが、プレ思春期と言われる小学校中学年から高学年にかけての頃でしょう。(「はじめに」より)


〈目次〉

第一章 プレ思春期における親の心準備
 1 プレ思春期は大人への第一歩
 2 親世代と大きく違うイマドキ思春期
 3 「子どもを手放す」覚悟を決める
第二章 プレ思春期の友だち関係
 1 家族より友だちに比重あり
 2 友だち関係のトラブルや悩みの対処法
 3 友だち関係で親が心得ておくこと
第三章 大人びてきたわが子の見守り方
 1 子どもとの距離感を見極める
 2 日常生活のトラブルや悩みへの対処法
 3 IT機器との上手なつきあい方
第四章 子どもの体の変化と性への芽生え
 1 プレ思春期における体の変化とアドバイス
 2 親子で考えたい性への関心
第五章 プレ思春期のメンタルサポート
 1 プレ思春期に見られる気になる行動
 2 心のケアが必要なとき
 3 子どもが感情をコントロールできなくなったら


PHP研究所 2008年発行 186頁 1,260円(税込)

2008.11.23 年報『女性ライフサイクル研究』
『女性ライフサイクル研究』第18号(2008年11月発行)

report18.gif年報18号は「世代を超えて受け継ぐもの―家族・コミュニティ、社会」を特集しています。上の世代のひずみが、下の世代に影響を及ぼすことは少なく ありません。上の世代の基盤が回復しなければ、下の世代はより良く生きられないのではないでしょうか。その中で、私たちの世代が果たせる役割とは何でしょ うか。次世代に、何をどのようにつないでいけば良いのでしょうか。本書では、世代を超えて受け継ぐものについて、家族、社会、援助者とコミュニティの視点 から取り上げ、考察しました。


〈目次〉

●序/(女性ライフサイクル研究所)村本邦子
    世代を超えて受け継ぐもの

●戦争とトラウマ/(女性ライフサイクル研究所)村本邦子
    家族を通じて受け継ぐもの
    戦争とトラウマ

●戦争の記憶/(女性ライフサイクル研究所)渡邉佳代
    戦争の記憶の受け継ぎを阻むもの
    孤立を超えて

●善と悪/(女性ライフサイクル研究所)長川歩美
    世代間の受け継ぎへのアプローチ
    善と悪のスプリッティングという視点から

●宗教からの脱却/(女性ライフサイクル研究所)前村よう子
    受け継がされた宗教とそこからの脱却

●家族の物語/(女性ライフサイクル研究所)西 順子
    家族の物語を紡ぐ
    次世代に受け継ぐために

●女性の地位/(女性ライフサイクル研究所)窪田容子
    家庭における女性の地位と尊厳
    世代を超えて受け継がれたもの
●お雑煮/(女性ライフサイクル研究所)桑田道子
    わが家のお雑煮
    台所から受け継ぐもの

●家業/(女性ライフサイクル研究所)下地久美子
    家業を継ぐとき

●育児空間/(女性ライフサイクル研究所)森﨑和代
    子どもたちに「育つ空間」を受け渡す
    「ならMsねっと」の取り組みから

●保育現場/(女性ライフサイクル研究所)津村 薫
    次世代に受け渡すもの
    保育の現場から


104頁 1,050円

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2008.03.01 FLCアーカイブ
平成19年度 大阪市きらめき企業賞受賞

ニュースレターNO.73 より(2008年3月発行)
2008年3月 ニュースレター.png

2007.11.23 年報『女性ライフサイクル研究』
『女性ライフサイクル研究』第17号(2007年11月発行)

ワークライフバランス社会をめざして


report17.gif保育所や育児休業制度を整えることで、子育てしながら働く女性を支援する従来のファミリー・フレンドリー施策に対し、ワークライフバランス施策は、 性別や年齢に関係なく、労働者の仕事と生活全般のバランスを支援するという考え方であり、生活には、子育てや家庭だけでなく、地域活動や趣味・学習などあ らゆることが含まれる。根底には、人生は仕事か家庭かという二者択一でなく、さまざまな側面からなり、それらを多様に生きることが仕事上もプラスに働くだ ろうという考えがある。

本号では、女性の視点からワークライフバランスを考えてみる。「女性の視点から」と入れるべきかどうか迷ったが、入れないことにした。ワークライフ バランスを考えるうえで、女性の視点は主流となるはずだからである。これまで、女性たちは、仕事と家族の狭間で悩み、考え続けてきた。完全な役割分担も苦 しいが、両方を担うには倍の頑張りが要求される現実において、どちらに転んでも不完全感と罪悪感にさいなまれ、個としての楽しみは手放さざるを得なかっ た。女性の視点から仕事について見直すとき、それはそのまま普遍的なワークライフバランス論議となるのではないか。女性たちからの問題提起として読んでも らえると嬉しい。

(本号序「ワークライフバランスをめざして」〔村本邦子〕より)

 


〈目次〉

●序/(女性ライフサイクル研究所)村本邦子
    ワークライフバランス社会をめざして

●仕事観の形成/(女性ライフサイクル研究所)村本邦子
    仕事観の形成とワークライフバランス

●キャリア教育/(女性ライフサイクル研究所)津村 薫
    若者たちへのキャリア教育を考える

●シングル女性/(女性ライフサイクル研究所)渡邉佳代
    漫画『働きマン』にみるワークライフバランス

●子育て/(女性ライフサイクル研究所)窪田容子
    子育て期のワークライフバランス

●男性の育児休業/(女性ライフサイクル研究所)下地久美子
    父親とワークライフバランス
    男性の育児休業のゆくえ

●病児保育/(女性ライフサイクル研究所)桑田道子
    病児保育にみるワークライフバランス

●夫の単身赴任/(女性ライフサイクル研究所)森崎和代
    夫の単身赴任による夫婦のワークライフバランス
 妻の立場から

●再就職/(女性ライフサイクル研究所)前村よう子
    四十代からの再就職にみるワークライフバランス

●離婚/(女性ライフサイクル研究所)西 順子
    離婚とワークライフバランス
  女性の人生に仕事がもたらす意味


96頁 1,050円

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