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2026.03.06 カウンセリング/心理療法について
IFS(内的家族システム)療法~「私」と「私のなかのパーツたち」との関係性をきずく

                                                                         

IFSとの出会い 

内的家族システム療法(IFS)と出会ったのは7年前、2019年の4月。浅井咲子先生と花丘ちぐさ先生がオーガナイザーをつとめる「内的家族システム療法入門講座」が幕張にて開催されました。講師はオーストラリアから来日されたサイモン・ドルソーニャ先生。そこでIFSにはじめて出会い、IFSモデルの素晴らしさと温かさに感銘を受け、基礎から学べる機会を待ち望んでいました。そして昨年2025年7~8月、日本初のIFS公式トレーニングレベル1が開催され、私も参加させていたただくことができました。講師を務められたエイナット・ブロンスタイン先生とヘギョン・クォン先生、そしてアシスタントの皆様の慈愛に満ちたサポートに支えられ、非常に深く豊かな学びの時間を過ごすことができました。現在、学んだことを必要とされている方々に還元できるように臨床実践に取り入れながら、私自身も学び続けているところです。そこで今回は、IFSを紹介させていただきます。

                                             西 順子


                                                       

IFS(内的家族システム)療法とは

 

IFSとは、私のいまの実感から言葉にすると、「私のなかにいるいろなんなパーツ(部分)に気づき、その意図を理解し、優しく受け入れ、安全につながり、関係性を築いていく」そのプロセスを大事にするアプローチです。
パーツは、「怒っている」「悲しんでいる」「落ち込んでいる」感情として現れているかもしれません。過食したり、何かをやり過ぎたり、あるいはすっぽかしたりする、一見「困った行動」をとるかもしれません。モヤモヤ、そわそわ、痛みなどの身体感覚として現れているかもしれません。あるいは「こうすべき」「なんてダメなんだ」「私が悪い」という声として聞こえるかもしれません。こうしたパーツたちはよくないものとして抑え込んだり、排除したり、嫌悪するのではなく、まずは、それらは「私のなかにある」対話が必要な「パーツ」としてまずは関心をむけ、少しずつ理解を深めていきます。それをセラピストはお手伝いしていきます。

IFSは私がこれまで学んできた身体志向アプローチ(SE™、EMDRなど)とも相性がよく、また身体志向アプローチが使えないときにもIFSは役にもたち、その有効性を実感しています。

                                                                               

IFS(内的家族システム)の基本概念

 

内的家族システム療法(Internal Family Systems Therapy)は、家族療法家 リチャード・C・シュワルツ によって開発された心理療法モデルです。

 

1. 私たちの心は「一つの家族」のようなもの(心の多重性)

 

IFS療法の最大の特徴は、私たちの心を単一の塊ではなく、多くの「パーツ(部分)」が集まった一つの「システム(家族)」として捉える点にあります 。 「自分を厳しく批判する声」や「過食や依存で気を紛らわせようとする衝動」、あるいは「深く傷ついた子どものような感情」など、私たちは日々、心の中で異なる声が対立するのを経験しています 。これは異常なことではなく、人間の自然な心のあり方です 。

 

2. 「悪いパーツ」は存在しない(非病理化の視点)

 

IFSでは、どんなに破壊的に見える行動(自傷、依存、過度な批判など)であっても、それはそのパーツが「あなたを守るために」引き受けてくれた極端な役割であると考えます 。

・パーツの意図: 多くのパーツは、過去のトラウマや痛みからあなたを守るために必死に働いています 。

・変化へのアプローチ: パーツを排除したり無理にコントロールしようとしたりするのではなく、そのパーツが抱えている「恐怖」や「重荷」を理解し、感謝を持って接することで、パーツは本来の肯定的な役割へと戻ることができます 。

 

3. 本来のあなた「セルフ(Self)」の力

 

どんなに混乱した状況でも、私たちの中心には傷つくことのない「セルフ(Self)」という本質的なリーダーシップが存在します 。 セルフは、好奇心(Curiosity)、思いやり(Compassion)、落ち着き(Calm)といった資質を持っており、パーツたちが「一歩引いて(Unblending)」スペースを開けてくれることで、自然に現れます 。セラピーの目的は、この「セルフ」が内なる家族のリーダーとなり、パーツたちを癒し、調和をもたらす「安全な場」を作ることです 。

 

4. 科学的根拠に基づいた信頼性(専門性)

IFSは、単なる概念的なアプローチではありません。

・エビデンスに基づく実践: 米国薬物乱用・精神衛生局(SAMHSA)において、全般的な幸福感の向上、不安、抑うつ、恐怖症などの改善に有効であると評価されています 。

・システム思考の応用: 家族療法の「システム思考」を個人の内面に応用しており、場当たり的な対処ではなく、根本的な心の構造の変容を目指します 。

 

参考文献:

INTERNAL FAMILY SYSTEMS THERAPY  2nd』リチャード・C・シュワルツ著(2019年)
悪い私はいない』リチャード・C・シュワルツ著、後藤ゆうこ・佐久間智子・後藤剛訳(2024年)

Internal Family Systems Therapy (English Edition)


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