EMDRは眼球運動(もしくは両極性刺激)を通して、トラウマ記憶を再処理する心理療法です。
アメリカの臨床心理士F
多くの国でPTSD(
脳には情報を処理する能力があり
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■EMDRの治療原理「適応的情報処理(AIP)モデル」について
EMDRは適応的情報処理(AIP)モデルに基づいています。AIPには中核となる三つの原則があります。
① ヒトには古来から進化した情報処理システムが本来備わっており、苦痛をもたらす出来事に対する反応を機能不全状態から適応的な解決状態への再組織化することが可能である。
② 発達段階におけるトラウマティックな出来事や持続的なストレスは、この情報処理システムを妨害して、未解決の経験を不適応的状態で状態特異的な形で貯蔵したままにしてしまう。
③ EMDRセラピー(標準的な手続きと両側性の眼球運動)がAIPシステムのバランスを回復させ、その結果として情報処理を再開させ、その個人にとって適応的な解決に到達するまで続く。
第3の原則は、自己治癒の概念です。
身体的なケガが身体の生得的な修復システムを通して治ることと似ています。しかしながら、心の傷では、その経験を解決するに十分なリソースへのアクセスが欠けていると、情動的・生理的・心理学的状態の一時的悪化を招きうることから、臨床家は「十分なリソースがあること」を確認しなければなりません。十分なリソースがない場合は、トラウマ記憶の処理に入る前に、リソースの構築に取り組みます(アンドリュー・リーズ)。
■アプローチ法: 標準8段階モデルと3分岐プロトコル
[標準8段階]EMDRのアプローチは8つの段階からなります。
第1段階では「生育歴・症状歴」を聴き取り、包括的な治療計画をたてます。
第2段階は「準備」をします。心理教育、EMDRのインフォームドコンセント、セルフコントロールの練習などを行います。
第3段階から第8段階は、過去のトラウマ記憶にアクセスして再処理を行う段階です。苦痛やストレスが軽減し、症状が改善し、自己の見方が変わり、身体的苦痛がなくなるまで行います。
[標準3分岐プロトコル]「過去」-「現在」-「未来」の順に焦点をあててセラピーを行います。
「過去」の段階では、過去のトラウマ記憶をターゲットに処理を行います(3段階~8段階)。
「現在」の段階では、引き続き苦痛を与えている現在の「引き金」をターゲットにして体験を再処理をします。
「未来」の段階では、未来の似た状況に対する望ましい反応を強化します。チャレンジを要するシナリオへの肯定的な連想を強化して成功の確率をふやします。
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