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所長のブログ~ただ今修行中

2017.04.04 日々のこと
2017年度がスタートしました

新年度のスタートと同時に桜がようやく開花しました。昨日に引き続き今日もいいお天気、日中は温かく気持ちも晴れやかになります。

研究所では今年度も新しくスタッフを迎え、フレッシュな空気が流れています。
今日は朝から新人研修、夜は今年度第一回目のスタッフ会議。
新人スタッフを迎えるべく、スタッフが惜しみなく温かいサポートを提供してくれることに感謝の気持ちです。

「教えることは教えられること」「コミュニケーションとは変化すること」、何かの本で書いてあった言葉を思い出しながら、自分自身が人との関わりの中で学ばされ、成長させてもらっていることを実感し有難く思います。

所長に就任して4年目の春を迎えられたことにもほっと一息つくと同時に、皆さま方のご支援とご協力に心から感謝する次第です。初心に立ちかえり「初心忘るべからず」と心を引き締め精進していきたいと思います。

今年度もスタッフ一同、よりよい援助を提供できるよう、そして「安全な場を創造できるよう」日々の研鑽に努めていきたいと思いますので、皆さまどうぞよろしくお願い申しあげます。

                   桜が開花しました! 希望を託す気持ちです。
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2017.03.20 グループ/講座
3月の『心的外傷と回復』読書会は・・

週末から三日間、日中はぽかぽか陽気で気分も心地よく過ごすことができましたが、皆さまはいかがお過ごしでしたでしょうか。

土曜日は研究所での面接、日曜日の午後は『心的外傷と回復』女性のトラウマ読書会、その後実家に一泊で帰り月曜日の晩に大阪に戻り・・と、あっという間に連休が過ぎました。

昨日の『心的外傷と回復』女性のトラウマ読書会は、最終章の「共世界」(human commonality)がテーマ。

外傷的事件は個人と社会とをつなぐきずなを破壊します。トラウマ体験の中核は孤立無援感と無力化であるため、トラウマからの回復は「つながりの回復」とエンパワメントにあります。この章では特に、グループ体験の治癒力と、回復の段階ごとのグループについて学びました。

被害者は、ある人が惜しみない度量で自然体で示してくれた、ごくふつうの愛他性(相手の身になって考え相手本位で行動すること)によって、それを鏡として自らの失われた部分を認め、それを取り戻し、そしてその瞬間から人間の共世界(human commonality)に再加入しはじめると言います。

社会のきずなの取り戻しは「一人ではない」という発見を以て始まり、この体験が確実、強力、直接的なのはグループをおいて他にはないと、著者のハーマンは言います。グループの治癒力はその「普遍性体験」にあります。

私自身はこの章を読みながら、女性ライフサイクル研究所の過去から現在までの「グループ体験」が頭の中を駆け巡り、次年度に計画しているグループについても思い巡らせました。

・・・その背景には、ちょうど先日、研究所とNPOについて話を聞きたいと、台湾からのお客様があり(村本が台湾の女性支援機関を訪問したご縁です→★)、1990年から現在までを振り返ると同時に原点の感覚を思い出したことにもよります。

原点の感覚とは、「個人的なことは社会的なこと」と本当にいろんなこと、女性としての体験を語り合ったことです。当時は子育てについて悩み、仕事と子育てに葛藤を抱えていましたが、語り合う中で、「私だけじゃないんだ」「一人じゃないんだ」と普遍性の体験を実感しました。それは、私は私らしく生きていいんだと自己肯定感の回復へとつながりました。それはシスターフッド(女同士の友情)によって支えられていました。
・・・そんなことをこの数日振り返りながら、これからのことを思いめぐらしていました。

読書会が終わった後、4月から3クール目がスタートする読書会の持ち方について、スタッフで話し合いました。この二年間は、私たちが支援者の方と共に本書を元に勉強しシェアすることに重きを置いていましたが、4月からは少し間口を拡げて開催していくことになりました。

この読書会が、虐待、DV、性暴力被害者のトラウマと回復について関心をもっている方々が人や社会とつながる一つの「場」として、提供できればいいなと思います。

この一年、春、夏、秋、冬が過ぎて、また新たな春が訪れました。一つのサイクルが巡り、4月からまた新たなサイクルがスタートすることをしみじみと有り難く、嬉しく思います。


             昨年の10月から次々と新しい芽が出て、花を絶やさず咲き続けてきたシクラメン、すごい!
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2017.03.12 CARE/PCIT
CAREフォローアップグループを開催しました

今日も日中はいいお天気。午後は、CARE専門家向けワークショップを修了された方を対象とした、CAREフォローアップグループを開催しました。

改訂版CAREハンドアウトを使って改訂のポイント、CAREの実践について話をした後、最後は心理教育のロールプレイに取り組み、あっという間に時間が過ぎました。

CAREは、子どもとよりよい関係をもちたいと思うすべての大人のトレーニングに用いられるプログラム。子どもが言うことを聞いてくれなくて困ってる・・という子育て中の親御さんにCAREを知ってもらうことで、少しでも子育てが楽になって、親も子どもも楽しい時間が増えればいいなと願っています。
今日のディスカッションを通して、よりよく届けられるような工夫、枠組みを私自身も考える機会になりました。

次年度のCAREワークショップ開催の日程も決まりました。女性ライフサイクル研究所では、次年度も引き続き、トラウマ予防として、親子の絆・よりよい関係づくりに取り組みます!


                                                水仙の華やかな香でリラックス♡
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2017.03.01 講師活動
女性のトラウマと回復、講師を務めさせていただきました

 今日は、愛知県の女性問題相談員ネットワーク事業研修にて、「続 女性のトラウマと回復~女性のDV被害者の方のために、そして、とともに~」と題して講演を務めさせていただきました。

 昨年3月初め、初めて伺ってから早一年。今年も講師としてお声をかけて頂き光栄です。昨年は、DV虐待の暴力の影響から回復するために「安全なコミュニティとのつながりを回復すること」をテーマにお話させて頂きました。

 今年も、昨年のアンケートによるフィードバックを受けて、引き続き「安全なコミュニティへの生態学的橋渡しを考える」を目的に、「コミュニティ心理学的支援からみたコミュニティ介入」と「支援者の二次受傷とセルフケア」についてお話させて頂きました。100名近くの女性相談員さんが熱心に聞いて下さり、真剣なまなざしに、私もとてもエンパワーされました。

 講師としての仕事をさせて頂く機会は、自分の臨床を相対化して振り返る機会になります。何を一番に伝えたいか、と考えていくと、日頃大事にしていることを再認識したり、不足していたことや他の選択肢に気づかされます。

 大事にしていることは、安全、安心、つながり、そして信頼関係を築くこと。支援に答えはありませんが、当事者の方と共に、一緒に「回復への道」を見出していけるよう、試行錯誤しながらも、その過程を共に歩んでいければ・・と改めて思いました。

 DV被害女性、DV家庭で育った子どもが安全に安心して暮らしていくために、コミュニティの資源が増え、充実していくことを願いながら、私にできることをコツコツと・・積み上げていけるといいなと思います。

 私もまた頑張っていこうと力を頂きました。貴重な機会を頂きまして、ありがとうございました!
ご担当者の方のご尽力にも感謝いたします。

                 雨のなか、風情がありました。
                 帰りに立ち寄った名古屋城より
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2017.02.20 グループ/講座
2月の女性のトラウマ読書会は・・

昨日、2月19日(日)の午後は、『心的外傷と回復』を読む、女性のトラウマ読書会でした。
今回は回復の第三段階「再結合」がテーマでした。

回復の第一段階の「安全の確立」、第二段階の「想起と服喪追悼」(トラウマ的な出来事の記憶を再構成し人生に統合する)の後には、回復の第三段階は「再結合」が課題となります。

第三段階では、外傷的な過去の出来事に決着をつけた後、未来を創造するという課題が待ち構えています。新しい自己を成長させ、新しい人間関係を育て、自分を支える信念を改めて発見することが課題です。新しく創った安全の基地から出て、世界に積極的にかかわり、試行錯誤し、現実生活の場で力を持つことに取り組みます。そして、自分自身と和解すること、他者との信頼関係を深めること等について、学びました。

この章の最後には、心理学者メアリー・ハーべイの「トラウマ解消の7つの基準」が紹介されています。

第一はPTSD症状が管理できる範囲に収まっていること
第二はトラウマ記憶と結びついている感情に耐える力をもつようになっていること
第三は記憶の支配権を持つようになっていること(思い出すかどうかを自分で選択できる)
第四はトラウマ的出来事の記憶が首尾一貫した語りものになっていること、それに相応した感情が結びついていること
第五は自己評価の損なわれた分が回復していること
第六は重要な対人関係が再建されていること
第七は意味と信念の首尾一貫したシステムが再建され、外傷ストーリーも包含していること

トラウマの解消に完全はなく、発達の新しい段階に入るとトラウマ記憶が蘇り症状が再発することもありえます。といっても解消のもっともよい指標は、生活のなかで楽しみを味わう能力と自分以外の人々との関係に全面的に入る能力とを取り戻しているかどうかです。過去よりも現在と未来に多くの関心をもち、世間に近づくのに恐怖よりも讃嘆と畏怖とを以てするようになると言います。

毎回、読み直すたびに気づき、発見があり、日頃の臨床を振り返る機会になっています。
しかしこれは決して一人ではできないこと。グループで話あうからこそ生まれる気づきであり、発見であり、自分のなかに消化されていくのだと思います。今回もそれを実感して、「わかちあう」ことができることは本当にありがたいことと、参加者の皆さまに感謝です。

一年を通して読み進めてきた『心的外傷と回復』読書会も、来月はいよいよ最終章です。
次回のテーマは「共世界」。グループについて、つながりの回復について・・振り返ることを楽しみにしています。

なお、ハーベイによるトラウマからの回復の定義については、当研究所のホームページでも紹介しています。関心のある方はこちらも合わせてお読みください。
→「生態学的視点から見たトラウマと回復」(ハーベイ著、村本邦子訳)
→「トラウマからの回復とレジリエンス・モデル~回復の三段階と八次元


            この日、女性ライフサイクル研究所の前のバス通りから。
                   いいお天気で気持ちよかったです。
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2017.02.13 講師活動
支援者のためのアートワーク、講師を務めさせていただきました

2月11日土曜日は、午後から大阪市にて、認定NPO法人いくの学園主催「虐待・DVを癒す~支援者のためのアートワーク」講座の講師を務めました。

テーマについての講義の後、アートワークを体験いただき、グループで分かち合う時間を持ちました。参加者の皆さまが互いに尊重しあう雰囲気のなか、アートワークとグループワークと、それぞれの時間を心地よく体験いただけたようで、とても嬉しいです。

今回、体験いただいたアートワークは「安全な場所のイメージを創る」。誰もに安全な場所が必要ですが、イメージによる心のなかの安息地なら、必要なときにいつでも利用することができます。心の中に安全な場所をもつことでストレス対処を助け、安全な感覚を高める効果があることがわかっています。

「今ここ」で、安全な場所のイメージを探索することで、自分にとって大切なものへの「気づき」が自然に生まれてくるように思います。イメージの自律性って素晴らしい!
私自身もほっこりと、安全なコミュニティとの「つながり」を感じる、心地よい時間を過ごさせていただきました。

また機会があれば、支援者向けのアートワークのグループも取り組めるといいなと思います。
講座開催にあたりご尽力くださったご担当者さま、スタッフの皆さま、参加下さった皆さまに感謝いたします。

いくの学園さんでは、シェルター、ステップハウス、電話相談の他にも、今年4月からは作業所もスタートするそうです。コミュニティに根ざした活動、素晴らしいです。詳しくはホームページをご覧ください⇒★

なお今週日曜日、2月19日の午後は支援者向け『心的外傷と回復』女性のトラウマ読書会です! 
第10章「再結合」がテーマとなります。


【関連記事】
FLCエッセイ「セルフケアのヒント~アートセラピーの手法を用いてトラウマに対処する」       

             
          会場のクレオ大阪中央にて。図書館の中にカフェ、素敵な空間です。

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2017.02.02 講師活動
CAREワークショップ、トレーナーを務めさせて頂きました

昨日は大阪府八尾市にて、子育て総合支援ネットワークセンターの職場研修として、支援者向けCAREワークショップを開催させて頂きました。

今回のワークショップは、昨年、女性ライフサイクル研究所主催で開催したCAREワークショップにご参加くださった方が、「CAREを職場でも」とご縁をつないで下さいました。いつもチームとして一緒にお仕事をしておられるという臨床心理士さん、心理相談員さん、保育士さん、保健師さんなど8名が、和気あいあいとした雰囲気のなか、熱心に楽しみながらご参加くださいました。

終了後には「ロールプレイで大人、子どもの両方を体験できるのがよかった。親子関係だけでなく、全ての人間関係に生かせると思います」「わかりやすく、すぐに実践できそう」など、肯定的な感想を頂きました。大人と子どもの絆を強めるコミュニケーションのコツ、CAREプログラムをお伝えできて、私もとても嬉しいです。

CAREはロールプレイを多く使った参加型プログラムとなっているので、講師の私自身もとても温かい気持ちになり、エンパワーされます。ご準備下さったご担当者の方、温かく迎えて下さった参加者の皆さまに感謝です。ありがとうございました!

来週11日(土)は、NPO法人いくの学園主催の支援者向け講座「虐待・DVの傷つきを癒す~支援者のためのアートワーク」で、講師を務めます。現在、参加受付中とお聞きしています。ご関心のある方は、ぜひお越しください。詳しくはこちら⇒2月アート講座.pdf

      会場にて。1.2階は温かい照明とガラス張りが素敵な図書館でした♪

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2017.01.18 講師活動
相談援助について、講師を務めさせていただきました

今日は今年初の講師のお仕事で滋賀に行きました。テーマは「相談援助の本質と基本的な面接技術」、福祉職の皆さまへの研修で、援助関係を形成するための原則、面接の枠組み等の講義やロールプレイ実習などを行いました。

一番伝えたいことは信頼関係を築くこと、そのために大切にして頂きたいことを経験も踏まえてお話させて頂きました。

皆さまがとても熱心で「聞く・聴く」姿勢が素晴らしいなと気持ちよく講師を務めることができました。真摯に取り組まれる援助者の皆さまの姿勢に、私も頑張ろうと力づけられました。
ご準備くださったご担当者の皆さまにも感謝の気持ちです。ありがとうございました!

                                    帰り道、瀬田駅から。山の向こうは京都です。
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2017.01.12 日々のこと
2017年、仕事始めから一週間がたちました

2017年、仕事始めから一週間がたちました。緩やかに少しずつ・・ちょうどいいペースで仕事モードに入ってきています。

カウンセリングでは、お一人お一人との出会いの時間、対話の時間を大切に、丁寧にお聞きしながら、解決へのお手伝いをさせて頂ければ・・・と、気持ちも新たに新年がスタートしました。

長いプロセスを共に発見的に歩んできた方々がそろそろ終結を迎えようとしていたり、これから一緒に目標に向けての取り組みをスタートさせようとしている方があったり、新年に入って新しく出会う方があったり・・と、人との出会いと別れの日常のなか、落ち着いた気持ちでカウンセリングに向き合えることをありがたく思います。

昨年は親の病気や介護で何かと生活が慌ただしい一年でしたが、親の病や老いから「生きる」ということについて学ばせてもらっていると感じます。今年も、福祉や医療、地域の方々に助けていただきながら、心身ともに余裕をもち、心を鎮め、落ち着ついて仕事ができるように心がけていきたいと思います。

本年もどうぞよろしくお願いいたします!

        雨上がりの空に大きな虹が! お正月に実家に帰って。IMG_2009 (2).jpg

2016.12.26 学び-ワークショップ他
ハンズオン・アドバンス講習会で自己調整とレジリエンスを学ぶ

あっという間にクリスマスも終わり、今年もあと5日となりました。

25・26日の二日間は、浅井咲子さん講師によるハンズオン・アドバンスクラス講習会を開催しました。このアドバンスクラスは、今年の6~7月に開催したハンズオン講習会で(前回の様子はこちら)、アドバンスクラスをぜひ!!という参加者の皆様のご要望により実現しました。

トラウマの影響から自己調整とレジリエンスを取り戻していくために、トラウマの生理学的理解を基礎に、神経系、内分泌系、免疫系にハンズオン(触れること)でアプローチする方法を学ぶこのクラスは、本当に興味深く、身体への知的好奇心、探求心も刺激され、とても満足いく時間でした。また少人数で学ぶクラスのため、和気あいあいとした雰囲気のなか、質問したいことがいつでも何でも聞くことができるのも有り難かったです。

この日、自分自身がでタッチを受けられることも楽しみにしていましたが、タッチはとても心地よく、すぐにストンと寝入ってしまいました。起きた時はスッキリ。毎晩、腎臓へのタッチを自分でしながら寝ていますが、やはり人にしてもらうと違います。タッチでしか感じられない身体感覚や変化はとても興味深いです。

昼休みなど参加者の皆さまとのお喋りも楽しく、一緒に学ぶ仲間がいることを有り難く思いました。遠方より大阪までお越し下さり、惜しみなく教えて下さった咲子先生、オフィスを貸してくださったHさん(今回は研究所が面接使用中のため)、参加者の皆さまにも感謝です。また来年も学べることを楽しみにしています。

             25日の帰り、クリスマスケーキをホールで奮発
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