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所長のブログ~ただ今修行中

2016.08.07 トラウマ
絆の回復~トラウマ読書会から

夏本番。毎日暑い日が続いています。

本日は『心的外傷と回復』、トラウマ読書会がありました。今回の読み合わせは、第三章の「離断」。

トラウマ的出来事は基本的な人間関係の多くに影響を与えること、他者や世界と結びついているという絆の感覚(安全感、安心感、信頼という感覚)を壊し、それによって自己の肯定的価値や世界には意味があるという感覚を壊すこと、こうした感覚の回復のためには「人との絆」の再建が必要なこと、被害者の自立性を尊重するケアから社会的支援(社会が認知すること)の必要性まで、被害者の視点から学びました。

「他者と外傷体験を共有することが〈世界には意味がある〉という感覚を再建すめための前提条件である」という言葉が胸にストレートに入ってきました。この言葉をしっかりと心に留めていきたいと思います。

この読書会も、さまざまな立場の支援者の方と「共有」することに〈意味〉があると感じています。
ご参加、ありがとうございました。

        涼を求めて川辺へ。頑張ってますね。
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2016.07.27 日々のこと
映画『さとにきたらええやん』、観にいきました

今日はたまたま夕方からの時間が空き、行くなら今日だ!と『さとにきたらええやん』を観に行きました。一日一回の上映なので、いつ行けるか・・と時間を調整していましたが、ちょうどレディースディでラッキー。映画館は十三にある第七芸術劇場、初めて行きましたが雰囲気がレトロで味がありました。整理券を無事もらった後、17時30分の開場時間まで隣の喫茶店でほっと一息ついてから劇場へ。

『さとにきたらええやん』は、日雇い労働者の街・大阪市西成区釜ヶ崎で38年間活動してきた「こどもの里」の奮闘を描くドキュメンタリー映画。映画は「こどもの里」の日常の光景から自然体の姿ではじまりましたが(何度かフィールドワークで行かせて頂いたことがあるので、その時のことも自然に思い出されながら)、だんだんとそこに映し出される子どもを中心とした「物語」に引き込まれて行きました。

映画を観終わった後は、しみじみとした温かい感動で満たされ、その余韻を味わいながら帰途につきました。頭の中では、劇中で流れていたSHIGO★西成(西成区出身のヒップホップアーティスト)の歌が響きながら・・。

子どもの成長とそれを見守り、支える里のスタッフさん。子どもはもちろん、その親も含め家族を温かく見守っていることに感銘を受けました。そして何より、子どもの生き生きした姿、笑顔は素晴らしい! 温かく、強く、本音でぶつかりあう大人と子どもの関係性、その信頼の「絆」は素敵です。

こどもの里の理念、「誰でも利用できます。こどもたちの遊びの場です。お母さん、お父さんの休息の場です。学習の場です。生活相談、何でも受け付けます。教育相談、何でもききます。いつでも宿泊できます。緊急に子どもが一人ぼっちになったら・・、親の暴力にあったら・・、家がいやになったら・・、親子で泊まるところがなかったら・・、土日祝もあいてます、利用料はいりません」、それがどういうことか、その大切さを実感しました。「誰でも利用できます」、なかなか言えることではないと、とても力強い言葉に尊敬の念です。

子どもの支援、子育て支援に携わる支援者はもちろん、子育てに悩むお母さん、お父さんにもぜひ見て頂きたい映画だと思いました。子育てがしんどいとき、助けを求めたらいいよ、一人で頑張らなくてもいいよ、そんなメッセージが伝わってきます。

  ※『さとにきたらええやん』の詳しいことはこちら→映画『さとにきたらええやん』公式サイト

               夏の夕暮れ。西梅田から
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2016.07.24 CARE/PCIT
2016年夏、CAREワークショップを開催しました!

この一週間もあっという間に過ぎました。・・19日火曜日の晩は研究所スタッフのお食事会。スタッフ歓迎会&暑気払いで、全員が顔を合わせてお料理とお喋りを楽しみました。はじめての薬膳料理&飲み物も、とても美味しかったです!何より身体が元気になりそうでした (お店は中崎町にあるル・ブィーブル。再生を意味するそう)。21日木曜日は朝10時から13時までの3時間、フェリアンスタッフと一緒に年報会議。あともう一息・・です。

そして昨日は、第4回援助者向けのCAREワークショップを開催しました! 今回は参加者を募集してすぐ満員御礼。口コミ、ありがたく思います。締め切った後にも参加のお問合せを頂き、CAREに関心を持って下さる方が増えていることを嬉しく思います。

これまで援助者向けワークショップでは、心理、福祉、医療、教育など子どもや親と関わる様々な職種の方にご参加いただいてきましたが、今回は臨床心理士、相談員さんの他、助産師、保健師さんもご参加くださいました。職種を超えて、現場に即した形でCAREを支援に役立てていただけそうで、本当に嬉しく思いました。

 参加者の皆様からお寄せいただいたご感想もぜひご覧ください。→「援助者向け・CAREワークショップ参加者の皆さまの声」。

皆さまに楽しみながら学んでいただけたのも、参加者の皆様の熱心で温かいエネルギーのおかげです。たくさんの笑顔と笑い声に、私も元気をもらいました。ありがとうございました!

            「ようこそ、CAREワークショップへ」夏バージョンIMG_1540 (226x300).jpg

2016.07.16 講師活動
ママのためのストレスケア講座、講師を務めさせて頂きました

 前回のブログから早二週間。研究所での日々のカウンセリング面接の他に、先週日曜日は『心的外傷と回復』女性のトラウマ読書会、今週14日は講師のお仕事をさせて頂きました。

 今回、講師として伺ったのは、大阪・北摂で「発達の気になる子をもつ親の会」として活動されている「ゆう・きっず」さん主催の学習会。「ママのためのストレスケア講座~しなやかな子育てのために」と題して、ストレスケアについてお話をさせて頂きました。日々の子育てのストレスやストレス対処を皆で振り返って共有した後、後半では「簡単にできる」リラクセーション法をいくつか体験頂きました。

 リラクセーション法では、先日学んだタッチから一つ、体験していただきましたが、その場が「ほわ~」と温かい空気に包まれて、お母様方の温かいエネルギーが素晴らしいな~、グループの力が素晴らしいな~と感動。私自身もあったかい~気持ちになりました。日頃子育てに、家族のためにと頑張っているお母さんに、瞬間でもほっと一息リラックスする時間をもっていただけたらな・・と思っていたので、ほっとししました。

 このたびのご縁で、「ゆう・きっず」さんのことを知りましたが、発達が気になる子の親同士が集まり、互いに支えあうことを目的とした自助グループとして、月一回の定例会を開かれ、情報交換をしたり学習会を開いたり、子育ての悩みを話し合われているとのこと。きっと同じ悩みをもつ親や子どもの心強い味方になっているのだろうなぁと、素晴らしい活動に心から敬意の気持ちを持ちました。
 私自身、自分の体験から、子育てで一番大事なのは「自分だけじゃない」と感じられる「仲間」だと思っています。これからも、その「つながり」を大切にしてくださいねという気持ちで、心からエールを送りました。
 
 今日は午前と夜間の面接の合間に、第二回目のアタッチメント・セミナーに参加してきました。今日のお話もとても勉強になりました(知らないことがいっぱいで)。複数の人々とのアタッチメント(子どもが不安や不快を感じたときに、くっつく。それで安全感を得ること)があるほどよいし、子ども同士でもアタッチメントの関係性が育まれることなど・・、共同子育てのお話にも言及され、とても興味深かったです。

 来週はCAREワークショップを開催します。親と子どもの絆、温かい関係性づくりの支援を一歩ずつ進めていけたらな・・と思います。

              アイビーの生命力、すごいです!
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2016.07.03 学び-ワークショップ他
自己調整とレジリエンスを学ぶ~ハンズオン講習会を終えて

昨日・今日と、この土日は研究所にてハンズオン講習会。今日で5日間の全プログラムを終えました! とても穏やかに落ち着いて、安心できる雰囲気のなか学びを深めることができ、講師の浅井咲子先生にも、参加者の皆さまにも、感謝、感謝の気持ちでした。

ポリヴェーガル理論(多重迷走神経理論)をもとに構築された自己調整のためのタッチは、腎臓、脳幹、消化器からスタートして(初日の様子はこちら)、縦隔、肝臓へ。そして今回は内分泌系、免疫系への働きかけを学びました。甲状腺、膵臓、下垂体、松果体、脾臓、胆のう、胃、胸腺、下垂体・・など、こんなにいろんな器官、ホルモンが働いていて、ストレスの影響を受けたり、ストレスに対処してくれているのだと思い、すごいな~と身体に感謝の気持ちになりました。

実習では、セラピスト役とクライエント役とを交代して練習しあうので、自分自身もタッチをしてもらうことができますが、いつも、これがまたとても興味深い体験です。今回も、二日前には過覚醒モードだったのが、タッチをしてもらってすぐに落ち着き、今日はさらに「いい感じ」になりました(言葉で表現するのは難しいですが)。

次回のアドバンスコース開催も決まり、今から楽しみです。まずは自分自身の自己調整のために、自分のセルフケアとしてタッチを使っていきたいと思いますし、また機会あるごとにセルフケアの方法としてお伝えしていけるといいなと思います。

真夏日が続いていますので、皆さまもお身体ご自愛くださいませ。

                三台のベットが活躍、ありがとう!
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2016.06.18 日々のこと
「場」でつながる

今朝は気持ちのいいお天気で一日がスタートしました。
この一週間もあっという間。今週は、女性ライフサイクル研究所のグループルームが、コミュニケーションの場、学びの場として、フレキシブルに活用された一週間でした。順に振り返ると・・

火曜日の夜は定例のスタッフ研修。皆で面接技術を高めるべく、切磋琢磨して臨床について学びあう時間はとても貴重な時間です。スタッフみんなの熱心さに、私自身もエネルギーで満たされました。

木曜日の午前~昼過ぎまで、年報会議。女性ライフサイクル研究所フェリアンと力を合わせて、年報『女性ライフサイクル研究』の発行に向けて、月一回の会議を重ねています。論文にまとめていく過程のディスカッションは考えさせられ、思考を深める機会となっています。今日も様々な発見と気づきがあり、視野が広がりました。

木曜日の夜は、家族看護援助の前期授業一日目。毎年一コマ目は、複雑な問題を抱える家族の心理として、「DV被害者と家族」「子ども虐待と家族」を取り上げています。一番伝えたいことは、回復の指針として、「生活コミュニティのなかに味方が増えること」。「人との信頼のつながり」です。しっかりと受けとってくださり、嬉しく思いました。スタッフもお手伝いで参加してくれました。

そして今日はハンズオン講習会二日目。今日も講師の浅井咲子先生がポリヴェーガル理論をとてもわかりやすく教えて下さいました。マッサージテーブルを使ったハンズオンワークで自律神経系のリズムを感じることはとても興味深いです。身体の不思議というか、生理学の世界に生命の神秘を感じます。「今、ここ」にいる空間と時間を参加者の皆さま、そしてスタッフも一緒に学ぶことができて感謝です。

女性ライフサイクル研究所が、一つの「場」として、活かされることはありがたいことです。今日も「いい場所ですね」「参加できてよかったです」と声をかけてくださり、しみじみと嬉しかったです。「場」として活かされることは、ここに集ってくれる「人」がいてこそ。人とのつながりに、皆さまに・・感謝です。


お勧め情報
★2016年7月3日(日)13:00-15:30  「夏の交流会」のご案内
NPO法人FLC安心とつながりのコミュニティづくり主催で、今年は夏に「交流会」があります。パールノートピアノ演奏&団士郎さんのトークライブ「家族のないしょの話」です。
どなたでも参加できます♪ ぜひご参加ください。 →詳しくはこちら

★映画「さとにきたらええやん」のご案内
「こどもの里」は大阪市西成区釜ヶ崎にある、子どもたちの遊びと学びと生活の場です。この映画では「こどもの里」を舞台に、子どもも大人も抱える「しんどさ」と関わり向き合いながら共に立ち向かう姿を追っています。こどもの里を応援しています♪ →詳しくはこちら

なお、昨年、こどもの里館長の荘保さんにインタビューをさせて頂き、ささやかな論文としてまとめました。こちらもお読みいただければ嬉しいです。→『女性ライフサイクル研究第24号:特集 抵抗とレジリエンス』


            今朝の一枚。一か月以上咲いてくれています。すごい。
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2016.06.12 学び-学会・研究会
EMDR学会・継続研修に参加しました

11・12日の二日間、神戸で開催されましたEMDR学会継続研修会に参加しました。

毎年この継続研修はとても楽しみにしていますが、今回の講師はJim Knipe先生で「EMDRの道具箱」と題して、複雑性PTSDと解離を治療するための方法論について学びました。「道具箱」というとおり、たくさんの資料を元に、回避、恥、アディクション(嗜癖)、愛着と解離・・などをどう解決していけるのか、具体的に教えて下さり、とても充実した学びの深い二日間でした。まだ頭の整理ができていませんが、一つ一つ消化しながら臨床に役立てていければいいなと思います。こうした学びの機会をいただき本当にありがたいことと感謝の気持ちと、希望を胸に帰路につきました。

研修では、女性ライフサイクル研究所Felien(フェリアン)の窪田容子さんともお会いして、一緒にランチを食べたりしながら、二日間、学びと体験をシェアできたことも嬉しく、有り難かったです!  

5月、6月と研修が続いています。土曜日の面接はお休みをさせて頂き、ご不便をおかけしていていますが、どうぞよろしくお願いいたします。

            最近のお気に入りの写真から。さわやかな朝に。
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2016.06.05 学び-ワークショップ他
自己調整とレジリエンスを学ぶ~ハンズオン講習会

今日は一日、自己調整について学ぶ講習会。
東京より浅井咲子さん(SE認定プラクティショナー&グループコンサルタント&プレゼンター)にお越しいただき、「解放のフィジオロジー」と題して、生理学を理論的基盤にした自己調整とレジリエンス(回復力)のためのハンズオンについて学びました。

この講習会は全5日で、参加者はSEトレーニングでご一緒した皆さまを含めて6名。場所は女性ライフサイクル研究所にて。
今日はその第一日目でしたが、和やかな雰囲気のなか、咲子さんのとてもわかりやすい講義と実習とで、あっという間に時間が過ぎました。

今日のテーマ、腎臓へのワークでは、ハンズオンをしてもらうと、すぐに休息モードに入り、ストンと眠ってしまいました。昨年タッチスキルを学んでから、寝るときには腎臓に手を当てていますが、自分でするのと、人にしてもらうのとでは全然違うな~と実感。

目覚めた後はすっきりして、「今、ここにいる」感じ。それは「今、この空間にいる」と「空間にいる自分」=「世界の中にいる自分」が感じられて、「落ち着くとは、そうそう・・こういうことだよね」と久しぶりの感覚と気づきに、嬉しく思いました。もっと落ち着いたトーンで生活できるように心がけたいものです。

ストレスを受けた身体が次の日には回復できるよう、神経系の楽な活性と弛緩のリズムが感じられるように・・。

もてる知識や経験を惜しみなく教えて下さった咲子さん、すてきなSE仲間の皆さま、一緒に会場のお手伝いをしてくれたスタッフに感謝です。次回の講習会は二週間後。楽しみにしています!

           いつもお世話になっているマイ・マッサージテーブルです♪
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2016.05.30 学び-ワークショップ他
支援者のためのセクソロジー講座に参加して-その3

28日・29日の二日間、東京で開催された「支援者のためのセクソロジー講座」に参加しました。今回はいよいよ全三回講座の最終回でテーマは「性虐待や性暴力とセックス・セラピー:子どもの場合と大人の場合」。

一日目は「性暴力とはどんな問題か」、複雑で多面的な問題であることについて、発生率や影響まで基本的知識について学び、二日目の今日はトラウマ治療に焦点をあて、安全にセラピーをすすめるためのエッセンスから、癒しとエンパワメントに役立つスキルやエクササイズまで、具体的に学びました。

これまで、EMDRSEなど身体志向のトラウマ・アプローチを学ぶ機会はありましたが、性(セクシャリティ)に焦点をあてて学ぶのは初めて。なので、今回の連続講座を通して、性(セクシャリティ)を扱う統合的なセラピーについて学べて、本当によかったなと感謝の気持ちです。

性(セクシュアリティ)は、よりよく生きるということと密接に関わっているということを実感。性虐待・性暴力から回復するということは、世界への信頼感やつながり、安全という感覚、生きていることの価値を取り戻し、人生に対する自己コントロール感や選択する力を取り戻すことでもあるのだと、再認識しました。

いろいろご紹介くださったエクササイズを、まずは自分で実際にやってみたり、スタッフと一緒に練習してみたいと思います。

情熱的に熱心に教えてくださったダリュシュ・スコブロインスキー先生、そして安全で温かくてリラックスした場を提供くださった主催者のHEART カウンセリングセンターの皆様、講座のスタッフの皆さまには心から感謝いたします。ありがとうございました!

ちなみに、HEART カウンセリングセンター代表の熊谷珠美さん、スタッフの田中美帆さんはSEトレーニングの同期で、SEアシスタント仲間!そして今日は、同じく同期のSEメンバーも数名参加されていて再会を喜びました!そして、EMDRや他の研修でご一緒したり出会った方々・・など、前にもお会いしましたよね、という「つながり」が増えていくのは、とても嬉しく有り難いことです。こうした出会いとつながりの場、学びの場、エンパワメントの場をつくってくださった皆様に心から感謝です。

性虐待、性暴力が減るように、なくなるように・・社会の問題として認識され取り組みが進むことを祈りながら、自分にできることを続けていきたいと思います。


※横浜女性フォーラムで、熊谷珠美さんとフォーラム相談員さんが企画されたグループがスタートします。→「性的な傷つきを体験した女性のためのセルフケア・グループそよら
※FLCのグループも現在受付中です。→「トラウマを経験した女性のためのセルフケア・グループ


        おのくん(奥松島出身)はじめ、ほっと和ませてくれて、ありがとう♪
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2016.05.08 日々のこと
アタッチメント、つながることの大切さを思う

連休もあっという間に明けましたが、金曜日からぼつぼつと仕事に戻っています。
金曜日は、スタッフと一緒にFLCの片付け&掃除。事務スペースや廊下がスッキリして気持ちよくなりました!土曜日は、午前面接と夜間面接の合間に京都に出向き、アタッチメントセミナーに参加。本日、日曜日の午後は、女性心理学フリートーク『心的外傷と回復』の読書会でした。

今年度からスタートするというアタッチメントセミナーでは、アタッチメント理論の研究と実践について、現場に即した内容を第一人者の先生方が系統的に提供くださるとのことで、今回はその第一日目。親子の支援のヒントになれば・・と参加させて頂きました。

アタッチメントとは、「くっつく」こと。ボールビーによれば、人間には「くっつきたい」という欲求がそもそも備わっていて、怖くて不安なときには特定の人のところに逃げ込んで、気持ちを立て直そうとします。いつも守ってくれる人がいることで「何かあればあそこにいけばいい」と、見通しがもてるようになり、それが情緒的な絆になっていくとのことでした。見通しが持てれば一人でできるようになり、どんどんチャレンジしていけるとのこと。とてもわかりやすく、アタッチメントの原理原則を学べてよかったです。

『心的外傷と回復』の読書会では、第一章「歴史は心的外傷を繰り返し忘れてきた」を読みあいました。19世紀以降の心的外傷についての3つの研究、19世紀後期のヒステリー研究、第一次大戦後からベトナム戦争後に頂点を極めた20世紀初期の戦闘神経症、20世紀後期の性的暴力とDVについて、研究が押し進められた社会的・政治的背景と共に再確認しました。

PTSD(外傷後ストレス障害)概念が公認されてから、レイプ・DV・性的虐待後の心理学的症候群も戦闘神経症と本質的に同一であることが明らかとなったいう発見はすごいことと感嘆します。

また、今回印象に残った箇所は、ベトナム帰還兵らが組織した「おしゃべりグループ」と、女性らが真実を語り合った「コンシャスネスレイジング(意識向上)」運動です。親密な関係で仲間同士の「感情的アタッチメントの力」が、真実と向き合うことを可能にし、社会を動かす力となったということに、人とつながることの力強さを感じました。

子どもだけでなく、「安心できる人」の存在は大人にとっても大切です。心が傷つき弱っている時はなおさらです。安全に、安心して「人とつながる」こと、それが自己信頼であり他者を信頼することであると思います。子どもと大人、女性と男性を越えて、つながりを育んでいくお手伝いができれば・・と思います。

ところで、ブログを書いた後、こんなニュースを見ました。熊本地震の後、家に帰るのが怖くなって帰れない子どもたちのために、熊本市こども発達支援センターの職員さんたちが絵本を作ったとのこと。「やっぱりおうちがいいな」。この絵本はホームページからダウンロードできるとのことです。少しでも安心できる状況が戻りますことを心よりお祈りいたします。


                サーモンピンクのベゴニアに魅かれて
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