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所長のブログ~ただ今修行中

2015.11.08 グループ/講座
トラウマと回復~援助関係について学ぶ

今日は雨が降ったりやんだりの一日でした。雨の日は憂鬱な気分になりがちですが、研究所に到着するとお花や植物に迎え入れられ、気分も爽やかに。

本日午後の『心的外傷と回復』読書会は、「第七章 治癒的関係とは」についての読みあい。この章は、次の第八章「安全」と共に最も読み返すことが多かった章ですが、治療・援助関係についての原則が書かれています。特に冒頭の言葉は力強いです。

心的外傷の中核は何であろうか。それは無力化と他者からの離断である。だからこそ、回復の基礎はその後を生きる者に有力化(エンパワメント)を行い、他者との新しい結びつきを創ることにある。
回復は人間関係の網の目を背景にしてはじめて起こり、孤立状態では起こらない。生存者は心的外傷体験によって損なわれた歪められた心的能力を多の人々との関係が新しく甦るなかで創りなおすものである。・・(略)・・回復の第一原則はその後を生きる者の中に力を与えることにある。その後を生きる者自身が自分の回復の主体であり判定者でなければならない。    (P205より引用)

エンパワメントと自己コントロール権の回復という原則に始まり、治療者、援助者としての責任、態度、倫理、限界・・など、身が引き締まる思いで再確認しました。

トラウマは伝染性があるため、援助者もトラウマに晒されます。援助者・被援助者の関係に、加害者の影が第三者として入ってくるからですが、被害者と援助者と双方の安全を守るために、そして良質の
援助のために援助者へのサポート・システムが重要であることも、再確認しました。

私自身、今日もご参加くださった皆様方の真摯に学ぶ姿勢、謙虚な姿勢に触れさせて頂き、コミュニテイへの信頼と安心感、つながりを感じて、温かくも力強い気持ちになりました。これが人間のコミュニティ感覚というものなのかな・・と、とても有り難い気持ちでした。

毎年11月12日~25日は「女性に対する暴力をなくす運動」期間です。大阪府男女共同参画局よりチラシが届きましたが、平成13年から内閣府で取り組まれています。私たちもコミュニテイの一員として、研究所としてできることを・・、模索していきたいと思います。


             この期間、パープルリボンを飾ることにしました♪
IMG_0641.JPG             ※パープルリボンは、女性への暴力根絶のシンボルです。
               
          園芸店で目にとまったパープルのビオラ。一つ100円で、かわいいです。
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2015.10.28 講師活動
DV研修、講師をつとめさせて頂きました。

温かい日が続いていましたが、今週に入り急に冷え込んできました。

昨日はDV研修のため、スタッフの金山と大阪弁護士会館にいってきました。司法修習生の皆様への選択実習として「DV被害者の心理と援助」を担当させて頂いて、早いもので7年目。女性がおかれている状況に目を向けながら社会的文脈からDV被害者の心理を理解していただくことに主眼をおいていますが、しっかりと学び吸収して下さったことを感じ、とても嬉しく思いました。
来年から弁護士として実務につかれるとのこと、これからのご活躍とご健康をお祈りして、心からエールを送りました!!

終了後、17時を過ぎるとずいぶん日は暮れていましたが、少し身体を動かして・・とブラブラ徒歩で帰ることに。講師が終わると、急にお腹がすいてき、途中で天神橋商店街にある紅茶とケーキのお店に立ち寄り、ほっと一息つきながら、今日の振り返り作業。また次の機会に向けて、内容やすすめ方をブラッシュアップしていければと思います。

夜は、皆で会社ミーティング。濃い一日でしたが、充実感で一日を終えることができました。皆さまに感謝です。

           シクラメンが美しい季節になりました・・♪ 研究所、玄関前より。
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2015.10.18 講師活動
親に気をつかう子ども、思春期の心理についてお話させていただきました。

今日は京都府の私立中学・高等学校の先生方の教育研究会、分科会にて講師をつとめさせて頂きました。

テーマは「親に気をつかう子どもたち」。親に心配かけたくない、悲しませたくないとつらい気持ちをため込みながら、恋愛依存関係に入ったり、不登校や引きこもってしまう子どもをどう理解し、どのように関わっていけるか・・、という先生方の問題意識に対して、トラウマ臨床に携わってきた立場、経験からお話させて頂きました。

毎年、講師の話とグループワークとで、参加者の皆様が話し合う時間を十分とられているとのこと。グループにはファシリティターの先生がつかれ、保護者の方も一緒に話し合われるというのが素晴らしいなと思いました。教師も保護者も、子どものことを大切に思う気持ちを同じ。子ども達のことを思い、どうしたらいいんだろうと悩み心配する、そんな教師や親の見守りが子どもを支えているのだろうと、希望を感じ温かい気持ちになりました。

講師としてお話させて頂く機会を頂くことで、私自身も頭を整理して、学び直す機会になります。先生方のご意見に、私自身もとても学ばせて頂きました。貴重な機会をいただき、感謝いたします。

今週も一つ一つ、落ち着いて丁寧に・・を心がけていきたいと思います。

※お知らせ・・思春期の子どもをもつ保護者向けCAREワークショップの開催が決定しました。
 子どもとの〈絆〉を強めるコミュニケーションのコツを学ぶプログラムです。関心ある方はぜひこちらもご覧ください。⇒CARE・思春期の子どもをもつ保護者向けワークショップのご案内


             とても気持ちのいいお天気でした。春には素敵な桜並木になるのでしょう・・♪
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2015.10.12 グループ/講座
『心的外傷と回復』読書会、後期がスタートしました

今日は久しぶりに、自宅で過ごす休日。先週の土日は、神戸で開催された自我状態療法のワークショップに参加。今日は自宅で、夏物の洗濯をしたり衣替えをしながら、次の講師の準備などにいそしみました。

昨日の日曜日は、『心的外傷と回復』読書会でしたが、第二部の「回復」へといよいよ入ってきました。今回は第6章「新しい診断名を提案する」の読みあいとシェアリング。

この章では、長期反復的トラウマ(虐待やDVなど)の症候群にぴったりくる診断名がないことから、著者のハーマンが「複雑性PTSD」という診断基準を提案するという内容です。PTSD(外傷後ストレス障害)は、もともと帰還兵やレイプ、自然災害など単回性のトラウマを対象にできた概念で、対人関係のなかで繰り返されるトラウマを含んでないため、PTSDで説明するには不十分として、複雑性PTSDとして概念化しています。

読書会がなければ、本をしっかりと読み込むことはできなかっただろうと思います。読書会の機会があって本当によかったな、といつも思います。一人で読むのとは違って、いろんな人の話や意見を聞く中で、頭の中がシャッフルされる感じで、いろんな考えや記憶が呼び覚まされ、考えを深めたり気づいたりできる機会になります。ご参加くださった皆さま、心を寄せてくださっている皆さまに感謝です。

さて今週もタイトスケジュールですが、一つ一つ、一日一日、時間を大切に過ごしていきたいと思います。


2015.09.27 講師活動
患者心理、講師をつとめさせて頂きました

26日(土)の午後、大阪府臨床検査技師会主催の研修にて「患者心理」をテーマにお話をさせて頂きました。
生きていくうえで病気は避けて通れないもの、私自身も患者という立場を経験します。また患者の家族という立場も経験します。
患者心理とは大きなテーマですが、患者の立場にたったとき、どう接して頂きたいか、どう配慮してほしいかという観点から考えてみることで、援助者としての自分自身も振り返る機会となりました。

昨年、講師を務めさせて頂いたご縁がつながっての今回のご依頼でした。担当者の皆さまが温かく迎えて下さり心から感謝です。

講師を終えた後は、夕方から実家へ。今までお盆と正月くらいしか帰省してませんでしたが、今年から老親の病気や介護のため月一回は帰省することを目標にしています。

日曜日は地元で暮らす妹がオープンしたばかりのカフェにランチに連れて行ってくれました。自然のなかの一軒家という感じでとっても素敵なお店。旬の野菜中心に10品とコーヒーもついて1300円!タルタル風?和風南蛮ソースやすりおろしリンゴのドレッシング・・と、手作りの心のこもった手料理に、ほっと心が和みました。そしてテラスから見える景色にも心がゆったりと癒されます。夜はこのテラスから月も見えるとのこと。この景色のなかで見る中秋の名月はさぞかし素敵だろうな~と想像しつつ、ぜひ次回は夜に月見をしてみたいと思います。

9月もあと少し。一週間お休みを頂くとその前後はタイトスケジュールですが、一つ一つ丁寧に・・を心がけていきたいと思います。

          のどかな景色をみていると、何だか懐かしいような・・郷愁を感じました・・
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2015.09.23 ソマティック・エクスペリエンシング®
SE神戸トレーニングを終えて

この一週間はSE神戸トレーニングにアシスタントとして参加していました。三年間、ゴールデンウィークとシルバーウィークはトレーニングでしたが今回は最終回。最終日の今日、皆さまの修了式にはじーんと感慨深い気持ちになりました。三年間、私も共に時間を過ごさせて頂き感謝の気持ちです。

今日は私の誕生日。三年間、アシスタント仲間に祝ってもらえて幸せな誕生日でした。

振り返ればSE(ソマティック・エクスペリエンス)トレーニングに初めて参加してから早7年。あっという間に月日が流れました。今回のトレーニングでは講師の先生の「好奇心をもって」「探究心をもって」の話からスタートしましたが、身体への好奇心は尽きません。またこれからも好奇心、探究心をもって、学び続けていければいいなと思います。

人生は旅のようなもの、一つの終着点は次のスタート地点。この道に続く次の旅路を楽しみにしたいと思います。

                昼休み、芝生の上から空を見上げて・・。
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2015.09.13 講師活動
親子の絆を育むために~講師を務めさせていただきました

このたびの関東・東北地方での豪雨で被害に遭われた皆さまにはお見舞い申し上げます。

今朝の大阪はさわやかなお天気。朝に大阪を発ち、福井県主催の子育てマイスター研修会に講師として伺いました。タイトルは「保護者とのコミュニケーション~親子の絆を育むために」。

親子の絆づくりをサポートするため、保護者との温かな関係をつくるコミュニケーションについてお話させて頂きました。

コミュニケーション・スキルとしては、私がこの一年、力を入れて取り組んできたCAREプログラムから、そのエッセンスをお伝えしましたが、親支援のヒントとして役立てていただければいいな・・という思いを込めました。

後半のグループ演習では「いいとこ探し~ほめ言葉を伝えよう」をテーマに取り組んで頂きましたが、皆さまがとても温かく、敬意の気持ちをもってグループ・メンバーのお話をよく聴いておられることに感銘を受けました。

皆さまの笑顔、穏やかな笑い声に、私自身もほっと温かい気持ちになりました。進行役の私の声も、講演の時とはトーンが変わり、静かに穏やかに、ゆっくりになっているのが自分でも不思議でした。

母親が余裕をもって子どもと関われるためには、周りからの温かな眼差し、寄り添うコミュニケーションがとても大切だと思います。
今日は、そんな温かなコミュニケーションのキャッチボールの輪が会場を包み、私もほっこりしました。

こちらは、今日のテーマをイメージしたパワーポイントのスライド。無料イラストを使って工夫を加えましたが、気に入りました!

温かな関わり (240x180).jpg素敵な時間を共にさせて頂き、ありがとうございました!すがすがしく、ほっこりした気持ちでサンダーバードに乗ると、ほどよく揺れる車内で爆睡。あっという間に大阪に到着しました。

今回で福井は四回目の訪問。前回お世話になった担当者さんともお会いできたのも嬉しかったです。またいつかお会いできる日を楽しみに、また日々の仕事にいそしみたいと思います。

11月には年に一回のPCIT・CAREの合同研究会があるので、そこでまた学びを深めつつ、いろんな方と情報交換ができるのを楽しみにしています。
                     

          のどかな越前市武生駅。サンダーバードがもうすぐはいってきます・・
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2015.08.30 グループ/講座
2015年度前期グループを終えました、後期は・・

先週週末は研修のため東京に行きましたが(8/23ブログ)、その知的興奮や余韻も冷めやらぬまま、あっという間に一週間が過ぎました。

今日の午前はセルフケア・グループの最終回と、午後は『心的外傷と回復』の読書会でした。

セルフケア・グループのアートワークの時間は、色を塗ったりハサミとのりを使ったり・・と、手を動かしながら自分と向き合う静かな時間となります。私自身もファシリティターとしてその時間を共有させて頂き、とても心地よく、心が落ち着きます。

読書会は、今月は「児童虐待」の章。
慢性的に繰り返しトラウマを被れば、子どもにどのような影響を与えるかについての記述は、読んでいて苦しくなり、悲しくなる章でした。しかし、読書会として皆で読みあうことで、一人で読むよりも、より理解が深まります。また頑張っていこう~と、毎回、私自身がこの場からエネルギーを頂いており、とても有り難く思います。

グループの後は、スタッフ会議。後期のグループや講座について話し合いの時間を持ちました。
グループや講座を皆で一緒に力を合わせて取り組むプロセスそのものが、好きだな~と思います。

いろいろと企画したいこと、できたらいいな~と思うことはあるけれど、日程の確保を含めて、実際に現実に可能となるのは限られています。焦点を絞りながら、まずは、自分たちにできることをできるところから、思いを形にしていければと思います。

9月のグループはお休みとなりますが、10月から後期日程でグループがスタートします。
後期のセルフケア・グループは、ニーズにお応えして「性暴力被害者のためのセルフケア・グループ」として行います。
後期の『心的外傷と回復』読書会は、10月から毎月第二日曜日で実施します。

詳しくは、こちらをご覧ください。
⇒「性暴力被害者のためのセルフケア・グループ
『心的外傷と回復』を読む~女性のトラウマ読書会

皆さまのご参加をお待ちしています。


                                トルコキキョウの花びらにうっとり。花言葉は「優美」「希望」。

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2015.08.23 学び-ワークショップ他
臨床セクソロジー講座に参加しました

22・23日の二日間、『支援者のためのセクソロジー講座~相談において「性」のテーマを扱うということ』に参加しました。講師は早稲田大学、上智大学などで教鞭をとられているダリュシュ・スコブロインスキー先生(哲学博士、心理学者、臨床セクソロジスト)。

臨床のなかで「性」は重要なテーマにも関わらず、なかなか学ぶ機会がありません。「臨床で性を扱う際に役立つ理論的枠組や実際に臨床で活用できる手法などを学べる講座」という案内文に、ぜひ必要なこと、学んでみたいと、東京まで行ってきました。


今回は講座第一回目で「臨床セクソロジーとセックスセラピー」がテーマ。臨床セクソロジーとは「性機能障害などの研究、個人やカップルに用いられる治療的アプローチや手法に関する研究」のことで、それらを実際に使うことをセックスセラピーと呼ぶ、とのことです。


人口統計学から見て今の日本の状況から、セックスセラピーの倫理から統合的アプローチの理論と実際まで、ワークも取り入れながら先生の経験を踏まえての講義は、興味深く、あ~っという間に時間が過ぎました。今回はイントロダクションでしたが、期待以上に学ばせていただいたという満足感と、更に具体的なことを学びたいという次回への期待感でいっぱいです。


性的虐待、性暴力へのセラピーに役立てれば・・というのが一番の参加動機でしたが、「性」は夫婦や恋人など親密な関係におけるカップルの問題を考える上でも重要なテーマであると再認識しました。
そして、セクシャリティは人間の尊厳、アイデンティティとも関わるとても大切なテーマであるのだと、講座全体を通して気づかされました。


セクシャリティとは、WHOでは「性別、性同一性及び性による役割、性的指向、性欲、喜び、親密さ、生殖。セクシャリティーは、思考、幻想、欲望、信念、態度、価値、行動、実践、役割そして関係性の中において経験され、表現される。」と言います。
まずは自分自身のセクシャリティについて知ること、気づくことがとても大切なのだと思います。


日本の性文化についても考えさせられました。例えば、ポルノがコンビニなど、どこにでもあること等、日本で暮らしていては当たり前になっていることが、外国人から見れば当たり前ではないと知り、子どもたちの置かれている状況に憂慮しました。カップル間の性の問題、子どもへの性被害など、その背景にある性文化の問題について、しっかりと目を向けなければ・・と思います。


人間は性的な存在であると同時に社会的な存在であり、心と、身体と、性と、社会(環境)とはつながっているのだと。


こうして性について、安全に安心して学ぶことができたのも、とても明るくエネルギッシュな先生のお話と、主催者のHEARTカウンセリングセンターの皆さま、スタッフの皆さまのおかげです。温かさと優しさが伝わってくる空間でした。


SEコミュニティ仲間、トラウマ臨床に携わっている心理士さん、DV被害者支援に携わっている支援者の方々・・など、参加者の皆さまとお話できたことも安全感、安心感を増し、エンパワーされました。


とても和気あいあいとした雰囲気で、安全に居心地よく過ごすことができて、心から感謝です。
次回二回目は、性的トラウマがテーマです。またこうして、安全な空間のなかで安心して学べる時間を楽しみにしています。



2015.08.20 グループ/講座
DV講座を開催しました

今日の午後、女性ライフサイクル研究所にて、講座「DV被害女性を支える~家族、友人、知人として」を開催しました。
DVの基礎知識から支援までお話させて頂き、隣人として「何ができるか」について考えました。

「決してDVは他人事ではない」と関心をもって参加くださる方がおられることに希望を感じます。

ささやかな取り組みですが、こうした講座を開催するというアクションが、DVにさらされている女性への応援メッセージとして届くといいな・・と願います。

まずは「被害者の話に耳を傾けること」を確認しあいましたが、「自分にできる」小さな一歩を積み重ねていければと思います。

関連記事もあわせてお読みいただければ嬉しいです。
→FLCエッセイ「DVを受けている女性を支える~家族、友人、知人として」


               女性ライフサイクル研究所のグループルームにて。
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