- 2017.02.20 グループ/講座
- 2月の女性のトラウマ読書会は・・
昨日、2月19日(日)の午後は、『心的外傷と回復』を読む、女性のトラウマ読書会でした。
今回は回復の第三段階「再結合」がテーマでした。
回復の第一段階の「安全の確立」、第二段階の「想起と服喪追悼」(トラウマ的な出来事の記憶を再構成し人生に統合する)の後には、回復の第三段階は「再結合」が課題となります。
第三段階では、外傷的な過去の出来事に決着をつけた後、未来を創造するという課題が待ち構えています。新しい自己を成長させ、新しい人間関係を育て、自分を支える信念を改めて発見することが課題です。新しく創った安全の基地から出て、世界に積極的にかかわり、試行錯誤し、現実生活の場で力を持つことに取り組みます。そして、自分自身と和解すること、他者との信頼関係を深めること等について、学びました。
この章の最後には、心理学者メアリー・ハーべイの「トラウマ解消の7つの基準」が紹介されています。
第一はPTSD症状が管理できる範囲に収まっていること
第二はトラウマ記憶と結びついている感情に耐える力をもつようになっていること
第三は記憶の支配権を持つようになっていること(思い出すかどうかを自分で選択できる)
第四はトラウマ的出来事の記憶が首尾一貫した語りものになっていること、それに相応した感情が結びついていること
第五は自己評価の損なわれた分が回復していること
第六は重要な対人関係が再建されていること
第七は意味と信念の首尾一貫したシステムが再建され、外傷ストーリーも包含していること
トラウマの解消に完全はなく、発達の新しい段階に入るとトラウマ記憶が蘇り症状が再発することもありえます。といっても解消のもっともよい指標は、生活のなかで楽しみを味わう能力と自分以外の人々との関係に全面的に入る能力とを取り戻しているかどうかです。過去よりも現在と未来に多くの関心をもち、世間に近づくのに恐怖よりも讃嘆と畏怖とを以てするようになると言います。
毎回、読み直すたびに気づき、発見があり、日頃の臨床を振り返る機会になっています。
しかしこれは決して一人ではできないこと。グループで話あうからこそ生まれる気づきであり、発見であり、自分のなかに消化されていくのだと思います。今回もそれを実感して、「わかちあう」ことができることは本当にありがたいことと、参加者の皆さまに感謝です。
一年を通して読み進めてきた『心的外傷と回復』読書会も、来月はいよいよ最終章です。
次回のテーマは「共世界」。グループについて、つながりの回復について・・振り返ることを楽しみにしています。
なお、ハーベイによるトラウマからの回復の定義については、当研究所のホームページでも紹介しています。関心のある方はこちらも合わせてお読みください。
→「生態学的視点から見たトラウマと回復」(ハーベイ著、村本邦子訳)
→「トラウマからの回復とレジリエンス・モデル~回復の三段階と八次元」
この日、女性ライフサイクル研究所の前のバス通りから。
いいお天気で気持ちよかったです。