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所長のブログ~ただ今修行中

2022.01.12 トラウマ
2022年仕事始め&オンライン始め

寒さが厳しくなってきました。
先週1月6日は仕事始め。コロナ感染状況が気になる年明けでしたが、無事にクライエントの皆様とお会いでき、ほっとする気持ちでスタートできました。そして7日は今年のオンライン始めでした。

7日・8日は「IFS、トラウマ、神経科学~トラウマを超越する」オンライン講座、9日は研究所主催の女性のトラウマ・オンライン読書会、10日は「レジリエンスを育む」オンライン講座に参加しました。


★「IFS、トラウマ、神経科学~トラウマを超越する」講座の講師はハーバード・メディカルスクール出身でIFSトレーナーのF・アンダーソン博士。アンダーソン先生は精神科医でセラピストでもあることから、神経科学の知見を踏まえながら、IFSについてとてもわかりやすくお話くださいました。

IFS(Internal Family Systems)は内的家族システム療法のことで、リチャード・シュワルツ博士によって開発されました。IFSでは心は複数の部分(パーツ)によって成り立つというモデルを使用します。私たちは皆、相互交流する無数のパーツがある内的システムを持つと考えます。そして皆にパーツではない核となるSelf(本質というべきもの)があるとし、リソースとなるセルフを感じながら、パーツのニーズに対応していくアプローチです。

アンダーソン先生の講義はとてもわかりやすく、質疑も明解で、時にはユーモアを交えながら楽しくIFSについて学ぶことができました。エクササイズやデモもあり、IFSはなんと受容的で優しく温かいアプローチなんだろうと実感しました。人への共感と思いやり、そして信頼を土台にしているアプローチに心から感銘を受けました。これからもぜひ引き続きIFSを学んでいければいいなと思います。まずはアンダーソン先生の次回の最終講義をとても楽しみにしています。


★「レジリエンスを育む」講座の講師はSE™シニアティーチャーのキャシー・ケイン博士と愛着の専門家スティーブ・テレール博士。今回の講座にはアシスタントして参加させて頂いています。

この講座も、とても人に優しく、温かいものでした。「トラウマの癒し」にとって、まずは「安全であること」を強調されていましたが、安全とはどういうことか、セラピーの場が安全であるためにセラピストはどんなことを大事にする必要があるのか等、理論的にも臨床的にも大変学びになりました。特に発達トラウマについて神経生理学的理論の基礎から学ぶことができました。次回もとても楽しみです。

初めてキャシー・ケイン博士の講義を受けたのが2014年。SEの仲間と一緒に、ロサンゼルスに三度足を運んだことがとても懐かしく思い出されました。今もまた、こうして先生方やSE™を共に学んできた皆様と再びつながれることをしみじみと有難く感じます。


オンラインだからこそ学べ、再会し、つながる機会がありますことに感謝の気持ちを持ちながら、学んだことを活かせるように、コツコツと日々の臨床の時間を大切にしていきたい思います。


★関連図書
内的家族システム療法スキルトレーニングマニュアル』フランク・G・アンダーソン、マーサー・すうぃーじ、リチャード・C・シュワルツ著、浅井咲子・花丘ちぐさ・山田岳訳、岩崎学術出版社。
レジリエンスを育む~ボリヴエーガル理論による発達トラウマの治癒』キャシー・L・ケイン、スティーブ・J・テレール著、花丘ちぐさ、浅井咲子訳、岩崎学術出版社。

★関連記事
ブログ「タッチスキル・トレーニングに参加しました」2014年
ブログ「タッチスキル・トレーニングに参加しました~その2」2015年
ブログ「内的家族システム療法(IFS)入門講座に参加しました」2019年

年末蕾だった菊がきれいに開花しました
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2021.10.04 学び-学会・研究会
EMDR学会大会&継続研修に参加しました。

10月1日の「衣替え」を過ぎたものの、今日も日中は秋晴れの暑い日でした。今週はまだ暑い日が続くと聞きましたので、まだまだ半袖が必要そうです。

さて、先月23日に開催されたEMDR学会大会に続き、10月2・3日とオンラインでの継続研修に参加しました。研修はスペイン在住のドロレス・モスケーラ先生による「解離性障害の声とワークに取り組む~EMDRセラピストのための実践的ガイド」のワークショップ。スペインの日中時間にあわせて日本時間は16~22時までの開催でしたので、土曜日は面接を終えた後に、日曜日はのんびり休日を過ごした後に参加できました。

会場に出向いての非日常の空間と時間での研修とは異なり、自宅にいながら学ぶという日常の空間での研修のため、意識の切り替えが難しかったですが、貴重な学びの機会をいただけてとても有り難かったです。一年前からご準備くださりご尽力くださいました方々に感謝です。さらに有難いことに、研修に間に合わせてドロレス先生の著書が翻訳出版されましたので、今後自分のペースで本を読みながら、消化吸収できればといいなと思います。

明日はスタッフ勉強会『トラウマからの解離からの回復』の最終章11章の読み合わせです。頭の中が整理できていませんが、消化できたものから少しずつ引き出しに入れていければなと思います。

寒暖の差が激しいですので皆さまもどうぞご自愛くださいませ。

自然を感じたくて、お昼は自転車で公園へ。
お日様の光と緑を感じて深呼吸。

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2021.08.04 グループ/講座
8月の女性のトラウマ読書会&スタッフ読書会

コロナ禍のなか、猛暑が続いています。

あっという間に8月に入りましたが、1日は第四回女性のトラウマ読書会、昨日3日夜はスタッフ読書会と、読書会続きでした。

『DVにさらされる子どもたち』を読む女性のトラウマ読書会では、第7章「回復への支援:加害者が子どもに与えるリスク評価と面会プラン」第8章「変化は本物か? :加害者の親としての変化を評価し促進する」を読みあいました。

7章では、別居後に加害者が子どもに与えるリスクの評価について述べられています。別居後、監督なしに加害者が子どもと接触する際にあらゆる面でリスクが高まることが詳細に書かれており、驚きでした。母親の権威を貶め、母子関係を損なうリスク、権威主義的態度で子どもに関わるリスク、子どもを放任し無責任な態度で関わるリスク、母親に対する新たな脅しや暴力に子どもをさらすリスク・・等。
そのためリスク・アセスメントを行いますが、その際に必要な情報は、本人の他、現在・元パートナー、子ども、友人、親戚、裁判所や警察の記録、児童保護機関の記録、学校の教職員、その他関係者から幅広く収集するということでした。

本書を読んで、米国では(著者の州?)、離婚後の子どもとの面会プランを、評定者が綿密にアセスメントの上で決定し、その後も加害者の変化のステップを評価し続けることがわかりましたが、日本におけるシステムや社会での問題意識の違いには愕然としました。

親権を決定し、面会プランを設定する際の第一の目的は「子どものおもな生活の場となる家庭が安全で安心できる環境にすること」子どもがきょうだいや暴力を振るわない親との間に健全な人間関係を育めるよう支援すること」であり、「まずはこの目的を優先すること」と著者は言います。
別居・離婚後においても、地域社会全体、関係機関で、子どもの安全と安心、傷つきからの回復を第一にする視点とその取り組み方を、わが国の裁判所や関係機関、支援者も学ぶ必要があると思いました。

3日は『トラウマによる解離からの回復』を読むスタッフ読書会。今回は7章「自殺願望、自己破壊、摂食障碍、嗜癖のパーツに働きかける」8章「セラピーの難点-解離性症状と障碍」について読みあいました。
境界性人格障害の症状、DID はじめとした解離症状に、どう働きかけるのか、具体例(セラピー場面でのセラピストとクライエントのやりとり)が書かれているので、とてもイメージしやすくてわかりやすいです。

著者は構造的解離モデルとセンサリーモーター心理療法(SP)を統合し、内的家族システム療法(IFS)なども用いながら、身体と神経系、パーツに働きかけるアプローチを行っていますが、「いま、ここ」を大事にし、内なる対話を大事にした著者のアプローチ法はとても安全で、信頼と温かさに満ちているな・・と大変学ばされます。

今後も一歩ずつ、スタッフと切磋琢磨しながら、研鑽を積んでいきたいと思います。

【関連記事】
2015年12月:FLCスタッフエッセイ「ドメスティック・バイオレント(DV)の家庭で育った子どものトラウマと回復」

猛暑のなかお花が枯れやすいですが、百合は強いな~! 
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2021.06.14 グループ/講座
6月の女性のトラウマ読書会は・・

昨晩は夜中の雷にびっくり飛び起きましたが、今朝は晴れていいお天気になりました。

昨日日曜日は、『DVにさらされた子どもたち』読書会の二回目。
今回は第三章「衝撃波:加害者が家族に及ぼす影響」第四章「近親姦を犯すDV加害者」を読みあいました。

第三章では、DV加害者の行動パターン全体が家族の力学に重大な影響を与えることついて、研究や著者の経験を踏まえながら解説されています。重大な影響とは、一言でいうと「家族の絆の断絶」です。子どもにみられる症状の主な原因の一つは、この「家族の絆の断絶」にあると著者は言います。

わかりやすく、一つのエピソード(複数のケースを組み合わせて作成されたもの)を用いながら、母親の権威のおとしめ、母子関係の悪化、子どもを武器ととして利用する等、家族を分裂させていく様が説明されています。

他にも、特定の子どものスケープゴート化、あるいはえこひいき、役割逆転、絶え間ない恐怖にさらすことや情緒的ネグレクト等、子どもへの影響も深刻と言えます。母親の子育ても通常の何倍も大変になります

そのため、子どもを支援しようとする専門家は、「母親の権威の失墜、母親に対する否定的な見方が加害者から子どもに伝わること、虐待が引き起こす家族の分裂という重要な問題を考慮する必要がある」と言います。そして、長期的な回復と福祉の助長のためには、情緒的なトラウマ回復の支援と共に「母親やきょうだいとの絆を修復、強化できるように手を貸すことが重要」と訴えています。

第四章では、まず「近親姦加害者とDV加害者」の関連を先行研究を概観しています。そして、小児性愛者と近親姦加害者との違い、DV加害者と近親姦加害者に見られる共通点や、共通する態度の特徴を解説しています。
そして、精神保健や法律の専門家は、「この二つの虐待に共通する力学を理解することによって、両者の影響を受ける子どもへの対応を強化することが可能」と提言しています。

DVにさらされた子どもには、トラウマの回復のみならず、母子やきょうだい間の絆を回復できるよう、児童福祉はじめ福祉全般、司法、医療や心理など、多層的な支援が必要だということを改めて思います。DVは社会的な問題であることを再認識しました。

一人で読み込むのは難しいですが、読書会では皆で共有できるからこそ、しっかり学ぶことができて有難く思います。

ちなみに、今年度のスタッフ研修のテーマは「解離」です。前半は『トラウマによる解離からの回復~断片化された「私たち」を癒す』(ジェニーナ・フィッシャー著、国書刊行会発行)のスタッフ読書会として学んでいくことになりました。スタッフ読書会は初めての試みです。
昨年、30周年オンラインセミナーで講師を務めてくださった浅井咲子先生の翻訳図書を、今年も引き続いて学び、スタッフ一一同、研鑽に努めてゆければと思います。

ラベンダー色の花弁にうっとり。
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2021.06.07 日々のこと
今年もオンライン学習が続きます・・

昨日も今日もいいお天気。梅雨の中休み、陽射しを感じ気持ちも晴れやかになります。

この半月、老親の緊急事態で一年ぶりに故郷に帰省する等、バタバタしていました。コロナ禍のなか老親とはすぐ会えませんが、姉妹で顔を合わせて久しぶりに話す時間がもてたことは有難いことと、ほっと安堵と感謝の気持ちでした。車窓から見える田や畑、山の景色にも癒されました。

さて、今年度もコロナ禍のなかでオンラインによるZoomセミナーや学習が続いています。
5月は東京EMDR開業者協会主催のセミナー「トラウマから死生学まで」(講師は岡野憲一郎先生)、一昨日は東海EMDR勉強会主催の「三分岐プロトコルによる治療計画の基礎」(講師は菊池安希子先生)に参加しました。岡野先生からは特に解離性障害について、菊池先生からは複雑性トラウマのEMDR臨床のエッセンスを学ばせて頂きました。今までなら現地に足を運ぶのは難しくて参加できなかったセミナーも、オンライン開催だからこそ気軽に参加させていただけて、有り難かったです。

先週は、非常勤講師を務める家族看護の授業がありましたが、今年もオンライン開催です。「複雑な問題を抱えた家族の心理」のテーマでは、毎年「DVと虐待」を取り上げています。DVや虐待が起こる家族への理解と支援について理解を深めていただければ・・と願ってのことですが、毎年、皆さんが熱心に学んでくださり嬉しく思います。

今度の日曜日は、研究所主催のオンライン読書会。「DVに晒された子ども」がテーマですが、まだ追加募集していますので、関心がある方はぜひ!お声かけくださいませ。(詳しくはこちら→★

緊急事態宣言中、感染者数は減少傾向にあるものの変異種増加の心配もありますが、適度に息抜きしながら、ストレスと上手くつきあっていければと思います。皆さまもどうぞお身体を大事にお過ごしくださいませ。

トルコキキョウ、久しぶりです。

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2021.05.09 グループ/講座
『DVにさられさる子どもたち』読書会がスタートしました

日中は汗ばむ陽気。家にいるのはもったいないようなお天気でしたが、今日は朝から一日Zoom。
午前はSEコンサルテーショングループに参加、午後は女性のトラウマ読書会。『DVにさらされる子どもたち~加害者としての親が家族機能に及ぼす影響』を読む、第一回目を開催しました。

本書は、DVの専門家、セラピスト、児童保護機関や裁判所の担当者、被害者である母親や子どもの生活に、個人的あるいは専門的な立場からかかわるすべての人に向けてかかれたもので、「ここに示した考察や実践的提言が、DV被害女性や子どもへの効果的な介入の実現に役立つことが私たちの願いである」と著者は言います。

本日は「序」「はじめに」「第一章ドメスティック・バイオレンス加害者とは」「第二章『力』を行使する親」を読みあいましたが、改めて、本書は子どものトラウマ・インフォームドケアの実践のための必読図書!、子どもと関わる支援者にはぜひ読んでほしい、という思いを強くしました。
著者ランディ・バンクロフトとジェイ・G・シルバーマン共に加害者カウンセリング専門家であり、加害者プログラムのディレクターであることから、広範囲の文献研究と長年の臨床経験を元にした考察と提言は説得力があります。

でも、本書は既に絶版になっていると、本日参加者の方から聞いてびっくり。広く読まれなくなるのはとても残念ですが、バンクロフト氏の本は他にも翻訳されているので、関心のある方にはご一読をお勧めします。(→★

なお、『The Batterer as Parent』の日本語版の本書は、ジャパン・ソサエティが主催した「日米女性リーダー交流プロジェクト」の成果として、アジア女性交流・研究フォーラム、せんだい男女共同参画財団、福島県青少年育成・男女共生推進機構、横浜市女性協会の4つの組織が共同で企画し、2004年に発行されています。ちょうどこの年に、改正・児童虐待防止法では子どもの目の前での配偶者間暴力は子どもへの心理的虐待であるとして明記され、改正・DV防止法では保護命令の範囲が被害者と同居する子どもにも拡げられました。

DV家庭においては児童虐待の観点から子どもの安全を考えることも重要であると、被害母子への支援や連携の必要性が認識されはじめたこの時期に、本書が発行されていることはとても意味深いことだと感じいります。

しかし、日本語版がでた2004年から既に17年たつというものの、DVが子どもに与える影響についての社会的認知はまだ十分ではないと感じます。
私自身も、本書を通してDVの影響について再学習しながら、現在のDV家庭を取り巻く社会的状況についても理解を深め、よりよい支援について考える機会としていきたいと思います。


可愛いアジサイ、ダンスパーティ。ほんと花が踊っているよう♡
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2020.12.23 講師活動
DV研修、講師を務めさせていただきました

先週12月17日、DV被害者支援のための支援者向け研修にて、スタッフの福田と共に講師を務めさせて頂きました。ご依頼は東京都港区の男女平等参画センター様からで、東京と大阪とオンラインでつないでの研修でした。日中のお仕事を終えた相談員の皆さまがアクセスくださり、私たちは女性ライフサイクル研究所から、「DV理解」と「被害者の回復と支援」の二つを軸にお話させて頂きました。

Zoomでは「場」の空気感かわからないため、上手くいくかどうか不安もありましたが、皆さまが熱心に参加くださる様子が伝わり、また温かいお言葉やご感想もいただき、とても有難い気持ちで務めを終えました。少しでもお役に立てたなら嬉しく思います。

ふと振り返ると、今までDV研修の講師で行かせていただいたのは関西を中心に九州、四国、山陰地方と西日本中心で、関東からのご依頼で講師を務めるのははじめてでした。オンライン研修という形でこうした機会をいただき、心から感謝の気持ちです。

コロナの収束がなかなかみえないなか、オンラインによる支援の方法も模索できればいいなと思います。
コロナ感染拡大にストップがかかりますよう、そして皆様が健やかに年末年始を過ごせますよう心よりお祈りいたします。

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2020.10.18 学び-ワークショップ他
浅井咲子先生による神経自我統合アプローチ基礎編を無事終了しました

今日は午前10~16時まで、浅井咲子先生による「トラウマセラピー・神経自我統合アプローチ・基礎編」を開催しました。8月23日の入門編に引き続き、オンラインによるZoomセミナーですが、今回も咲子先生は大阪にお越し下さり、女性ライフサイクル研究所から、ご講義くださいました。

神経自我統合アプローチとは、愛着の問題を含めたトラウマを、神経系・自我状態の4つのゾーンから把握し、安全に癒しを進めていく方法で、トラウマの神経生物学的理論、構造的解離理論をベースに、浅井咲子先生がわかりやすくモデル化されたものです。トラウマによる「生きづらさ」を診断名ではなく、生き抜くための防衛策のあり方(防衛反応、防衛適応)としてみる視点、神経系の自己調整のための全体へのアプローチ、解決・変容のための自己の部分へのアプローチの道筋を学びました。私自身、セラピーでもっとも大切なこと、クライエントさんにとって安全で安心できる場をいかに創っていくかが大事なことを再確認する思いでした。

ブレイクアウトルームを使って参加者同士、グループでシェアいただく時間もあり、あっという間の6時間。
終了後、参加者の皆様からアンケートも届きましたが、皆さま方がそれぞれ熱心に学ばれたことが伝わり、心から敬意と尊敬の気持ちでした。
直接お会いできなくても、同じ思いをもつ皆さまと一緒に時間と場を共にすることで、安全・安心の温かい輪のつながりと拡がりを実感し、エンパワーされる思いでした。

とてもわかりやすく、参加者の一人一人の声を大切にご講義くださいました咲子先生、熱心にご参加くださいました参加者の皆様に感謝申し上げます。安全と安心の「いごこち」のいい時間をありがとうございました♡

縁の下の力もちでセミナーを支えてくたれスタッフにも感謝です。
学ばせてもらったことを、クライエントさんの回復に役立てるよう、スタッフ皆で研鑽に努めていきたいと思います。

発達トラウマ、解離からの回復に関心がある方は、ぜひ咲子先生が翻訳された『レジリエンスを育む~ポリヴェーガル理論による発達トラウマの治癒』『トラウマによる解離からの回復~断片化した「わたしたち」を癒す』をご覧くださいませ。『トラウマによる解離からの回復』の著者、ジェニーナ・フィッシャーは「本書は専門家だけでなく、トラウマで苦しんでいる人々にも参考にしてもらいたいと願って書きました」と言っています。人は「いろいろな部分がある全体」として理解できることで、自己受容の一歩になるのではないかと思います。

では朝夕とずいぶん寒くなってきましたので、皆さまご自愛くださいませ。


今日のお花。百合がまだ蕾。いいお天気になってよかったです。
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2020.09.13 グループ/講座
9月の女性のトラウマ読書会~『あなたに伝えたいこと~性的虐待・性被害からの回復のために』

本日13日(日 )13:30~15:00まで、オンラインによる女性のトラウマ読書会を開催しました。5月より月一回で読み進めてきた『あなたに伝えたいこと~性的虐待・性被害からの回復のために』(誠信書房)も、本日が最終回となりました。6月~8月は、第Ⅱ部「助けを求めよう」第Ⅲ部「さらなる前進」、本日は第Ⅳ部「知っておきたいこと」を読みあいました。

この本は、性的虐待・性被害からの回復について、10代の子どもに向けてわかりやすい言葉で語りかけてくれていますが、実際には、子どもを支援する大人が知っておく必要があることだと思います。私たち参加者もしっかり理解できていなかったことを整理したり、確認したり、また知らなかったことについて新しい知識を得て、学びを深める機会となりました。

本日読みあった第Ⅳ部「第14章友だちとして知っておきべきこと」から、大切なポイントを抜粋してここで紹介したいと思います。
まずは子どもの身近にいる、親、教師、支援者など子どもと関わる大人が、子どものSOSの声に耳を傾け、受け止められるよう、そして必要なことをしっかりと伝え、また更に子どもを傷つけないように対応する必要があると思います。

★性暴力を受けたことをうちあけてくれた友だちにつたえてあげたい3つのこと
1.「あなたを信じているよ」
2.「あなたのせいじゃないよ」
3.「あなたはひとりじゃないよ」

★性被害にあったことをうちあけてくれた友だちに、言ってはいけないこと
1.「まさか、信じられない」
2.「どうして、あの人があなたにそんなことをしたの? あなたがなにかしたんじゃないの?」
3.「もう忘れなよ。先に進まなくちゃ」
4.「あなたの気持ちはわかるよ」
5.「かわいそうに」
6.「あなたにそんなことをしたやつは許せない」
7.「誤解してるんじゃないの?」

どうしてこの3つを伝える必要があるのか、また言ってはいけないのか、ぜひ本書を読んで理解を深めていただければと思います。

最後の章「第15章サバイバーからあなたへのメッセージ」では、性暴力被害を受けた若いサバイバーの紹介と共に、著者自身のことにも触れられいています。
著者は「これまで出会ってきたサバイバー全員に共通するテーマは勇気です」と言います。著者も性的虐待サバイバーとして、勇気をもって、自分自身の決断を信じ、痛みを抱えながらも、人生の歩みをすすめてこられたことが伝わってきました。
著者からの想いがこもったメッセージも、ここで紹介したいと思います。著者のメッセージが、少しでも多くの人たちに伝わりますように。

*****
最後にわたしからあなたへのメッセージです。
たくさんの天使があなたの人生に舞い降り、あなたを慰め、あなたの価値と大切さに気づかせ、その傷を回復へと変える手助けをしてくれますように。痛みを乗り越えた先は、きっとあります!どうしてわかるかというと、わたし自身もかつては、あなたと同じ場所にいたからです。回復への道のりを歩むことは楽なことではありません。まっすぐな道ではないし、短い道のりでもありません。でも、そこにたどり着いたとき、きっとあなたはがんばったかいがあったと思えるはず! 癒し、愛、友情、慈愛が、あなたの人生や心に注がれることでしょう。そこは、あなたの人生やありのままの、あたりまえのひとりの人間としていられるところです。あなたは、そういう存在として生まれてきたのです。天の恵みを、恵みを、そして恵みを!  シンシア・リン・メイザー
*****

11月からの後期の読書会は、DVをテーマにします。
近いうちにご案内させていただきますので、インフォメーションコーナーでご確認くださいませ。
女性の支援に携わる皆様のご参加をお待ちしています。

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2020.05.04 トラウマ
人との「つながり」に感謝して

連休のさなか、皆さまいかがお過ごしでしょうか。

緊急事態宣言が発令されて一か月が経とうとしています。
新型コロナウィルス感染拡大防止のために、最前線で働く医療従事者の皆様、また地域医療を支える医療従事者の皆様に心より感謝申し上げます。
そして、私たちの生活を維持するために働いてくださっている皆様にも感謝申し上げます。
休校が続くなか、子どもの命、生活を守るために、様々な工夫をしながら日々子育てに奮闘されている子育て中の皆様にも敬意の気持ちです。

今私にできることは、自分も含めて大切な人の命を守るため、医療崩壊を防ぐために、三密を避け、外出自粛、社会的距離を保つ、手指消毒・・と感染防止を意識した生活を送っています。

コロナ禍は、カウンセラーとしての仕事の仕方だけでなく、価値観にも影響を与えました。
これまで、カウンセラーとして「安全な場所を提供すること」を大切に、研究所の理念として「安全な場所の創造」を第一に掲げ、取り組んできました。
女性ライフサイクル研究所は2002年の法人化と同時に今の場所に引っ越しましたが、それからずっと私にとっても、この場所(=女性ライフサイクル研究所)は大切な場所、愛着のある場所、愛着のある部屋として大切にしてきた想いがあります。
それが今、「何が安全か」を問い直さざるを得ない事態となりました。

密室は避けないといけない、人との距離もあけないといけない・・と、対面により、話し合うというカウンセリングという援助方法、面接室がリスクを伴うこととなりました。
この事態のなかで、クライエントさん、カウンセラーの安全を守るためにはどうしたらいいか、安全だけど安心じゃないことも起こり得る(外に出なければ安全は守られる、かといって安心できるわけではない)、じゃあ、より安全で安心できる方法はないか・・と葛藤しながら、情報を集めつつ試行錯誤する一か月でした。

ようやく連休明けからオンラインカウンセリングを導入できる体制となり、一段落しましたが、これからも生じうる課題に取り組まなければ・・と、試行錯誤は続くだろうと思います。

ただこうした状況のなかで、改めてというか、やはりというか、大切なのは「人とのつながり」であることを実感した一か月でした。
感染防止のために、社会的距離(ソーシャル・ディスタンス)、人と人との間の距離を1.8m~2mあけないといけなくなりましたが、だからこそ、人とのつながり、心のつながりがより必要で、大切だと思いますし、実際、いろいろな人とのつながりで、今の状況を何とか生きられていることを実感させられました。

他者と話をするのは「オンライン」上となりましたが、スタッフとのメールのやりとりはもちろん、ミーティングもオンライン上で経験し、この状況のなかでつながれることが有難く、温かく、力づけられることを実感しています。

またオンラインカウンセリングを導入するにあたり、スタッフはじめ周囲の皆様から、学びのための様々な情報をいただきました。また臨床関係のメーリングリストや所属学会からは、コロナ禍における心理支援について、有志の方々が最新の情報を翻訳し届けてくださいました。そのなかで、人やコミュニティ、ネットワークの網の目のなかで支えられていることを実感し、本当に有難く思う次第です。いただいた情報を整理し、自分にできることから役立てていかなければと思います。

これからも「安全な場」として心理的支援を提供できるよう努力していきたいと思いますので、引き続き、女性ライフサイクル研究所の臨床活動をご理解いただき、ご支援いただければ幸いに存じます。

皆さまもご自身のお身体を大切に、少しでも安心できる人とのつながりが保てますようお祈りいたします。
そして一日も早く事態が収束に向かいますよう心よりお祈りいたします。

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