- 2025.05.11 グループ/講座
- 2025年度がスタートしました
新年度、2025年度がスタートして早くも一か月半が過ぎようとしています。
4月以降も肌寒い日が続いておりますが、花の移り変わりに季節の変化を少しずつ味わっています。
桜の季節に続き、つつじの季節、そして新緑がまぶしい季節となりました。紫陽花の葉も青々としてこれから綺麗な花を咲かせるのが楽しみです。研究所のシクラメンは寒い冬を越えて4月には活き活きと花を咲かせてくれていました。
さて、今日は2025年度の読書会第一回目。今年度から朝活! 午前9時スタートを試みることにしました。日曜日の朝早くは起きづらいかな・・と少し心配もありましたが、参加者の皆様が心地よく日曜日の午前中をお過ごしいただけたようでよかったです。私も朝からエネルギーをいただきました!
今年度読みあう本はジュディス・ハーマンさん著作の『真実と修復-暴力被害者にとっての謝罪・補償・再発防止策』(2024年)。
ハーマンさんの前著『心的外傷と回復』(1996年)はトラウマについてのバイブルと言われる本で、過去に研究所の読書会でも何度か取り上げましたし、私自身も何度も読み返している本です。なので、ハーマンさんの新しい本、これはぜひ読まなければと、今年度取り上げることになりました。
ハーマンさんは前著で、「傷つけられ人の苦しみはただ一人ひとりの心の問題であるだけでなく、社会正義への問いかけでもある」と、女性たちが証言した性的虐待、性暴力、DVといった心的外傷に「名前」をつけました(複雑性外傷後ストレス障害)。そして回復とはその人々に力を与えることと、コミュニティへの復帰を通じて行われること。この二つが治療の根本原則であるとしました。回復のプロセスは三段階あり、第一段階は安全の確立、第二段階は過去の記憶の服喪追悼、第三段階では現在と未来に目を向けて、より広いコミュニティと交わることと記述されています。
その後、ハーマンさんは「回復にはもう一つ最後のステップ、四段階があるのではないか」と考えるようになったとのこと。四段階は「正義」ということです。「個々のコミュニティにある不正義によって外傷が生じているなら、傷を治すためには、より大きなコミュニティから対策を引き出して、不正義を修復しなくてはならない」と言います。本書では、被害者の声を聞くことで「暴力を生き延びた人にとって正義とは何であるか」を示そうとしています。
本書は精神科医であるハーマンさんの専門領域を超えて、法学、歴史学、政治哲学にまで踏み込んでいるということですが、ハーマンさんが被害者の証言から描いた「新しく想像された正義」とは何なのだろう・・。関心をもちながら、一年間、読書会の参加者の皆様と共に学んでゆければと思います。
ところで話は変わりますが、4月は大阪府の女性自立支援センターにて、職員さん対象にCARE(子どもと大人の絆を強めるプログラム)のエッセンスを学んでいただく講座を担当させていただきました。日常の臨床の場、女性ライフサイクル研究所から外に出て、コミュニティでの支援に携わる皆様と出会える場は、私にとって貴重な学びの場であり、つながりの場です。
今年度の活動では、「正義の回復とは」を念頭におきながら、社会やコミュニティとの関わりを大切にしていければと思います。
(一枚目)4月、今年も研究所のシクラメンが満開でした
(二枚目)5月、今週のお花、芍薬がきれいです