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所長のブログ~ただ今修行中

2021.06.14 グループ/講座
6月の女性のトラウマ読書会は・・

昨晩は夜中の雷にびっくり飛び起きましたが、今朝は晴れていいお天気になりました。

昨日日曜日は、『DVにさらされた子どもたち』読書会の二回目。
今回は第三章「衝撃波:加害者が家族に及ぼす影響」第四章「近親姦を犯すDV加害者」を読みあいました。

第三章では、DV加害者の行動パターン全体が家族の力学に重大な影響を与えることついて、研究や著者の経験を踏まえながら解説されています。重大な影響とは、一言でいうと「家族の絆の断絶」です。子どもにみられる症状の主な原因の一つは、この「家族の絆の断絶」にあると著者は言います。

わかりやすく、一つのエピソード(複数のケースを組み合わせて作成されたもの)を用いながら、母親の権威のおとしめ、母子関係の悪化、子どもを武器ととして利用する等、家族を分裂させていく様が説明されています。

他にも、特定の子どものスケープゴート化、あるいはえこひいき、役割逆転、絶え間ない恐怖にさらすことや情緒的ネグレクト等、子どもへの影響も深刻と言えます。母親の子育ても通常の何倍も大変になります

そのため、子どもを支援しようとする専門家は、「母親の権威の失墜、母親に対する否定的な見方が加害者から子どもに伝わること、虐待が引き起こす家族の分裂という重要な問題を考慮する必要がある」と言います。そして、長期的な回復と福祉の助長のためには、情緒的なトラウマ回復の支援と共に「母親やきょうだいとの絆を修復、強化できるように手を貸すことが重要」と訴えています。

第四章では、まず「近親姦加害者とDV加害者」の関連を先行研究を概観しています。そして、小児性愛者と近親姦加害者との違い、DV加害者と近親姦加害者に見られる共通点や、共通する態度の特徴を解説しています。
そして、精神保健や法律の専門家は、「この二つの虐待に共通する力学を理解することによって、両者の影響を受ける子どもへの対応を強化することが可能」と提言しています。

DVにさらされた子どもには、トラウマの回復のみならず、母子やきょうだい間の絆を回復できるよう、児童福祉はじめ福祉全般、司法、医療や心理など、多層的な支援が必要だということを改めて思います。DVは社会的な問題であることを再認識しました。

一人で読み込むのは難しいですが、読書会では皆で共有できるからこそ、しっかり学ぶことができて有難く思います。

ちなみに、今年度のスタッフ研修のテーマは「解離」です。前半は『トラウマによる解離からの回復~断片化された「私たち」を癒す』(ジェニーナ・フィッシャー著、国書刊行会発行)のスタッフ読書会として学んでいくことになりました。スタッフ読書会は初めての試みです。
昨年、30周年オンラインセミナーで講師を務めてくださった浅井咲子先生の翻訳図書を、今年も引き続いて学び、スタッフ一一同、研鑽に努めてゆければと思います。

ラベンダー色の花弁にうっとり。
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