- 2017.03.05 カウンセリング
- カウンセリングの窓から~花をいけること
西順子
女性ライフサイクル研究所の朝は、花の水替えから始まります。水あげがよくなるよう、茎の先を少し切り、枯れた葉や花を取って綺麗にして、花瓶に入れなおします。
玄関のお花をメインに、カウンセリングの部屋に二つと、残った小さなお花は他の棚や洗面所に一輪挿しにしています。花をいける行為を通して、物理的にも、精神的にも、クライエントさんを迎える準備が整っていきます。自分自身が凛とする、精神が統一する、そんな時間でもあります。
玄関に花を飾る習慣は、1994年に天神橋5丁目に引っ越した頃に遡ります。ワンルームから2DKに移りましたが、玄関に下駄箱が備え付けられていました。毎週月曜日に、前所長が予算1000円で新しいお花を購入してきてくれ、いけてくれていました。カウンセリングに来られるクライエントさんをお迎えするために、花をいける。カウンセリングは準備することから始まる・・という心理臨床の心を、前所長から学びました。
研究所のスタッフとなる前、精神科クリニックに勤務していました。精神科クリニックの朝も、毎日掃除と花の水替えから始まりました。リーダーの精神科ソーシャルワーカーさんが朝からこまめに動き回り、診察室、相談室、待合室など広い場所を綺麗に整えていきます。診察室の机の上には、小さな花瓶にかわいくお花をいけておられました。私も一緒に、先輩についていこうと、見よう見まねで掃除、お花の水替えをしました。ソーシャルワーカーさんからも、患者さんを気持ちよくお迎えするために、その場を整えるという臨床の心を学びました。
そして今、私も毎週、だいたい予算は1000円で、お花屋さんでお花を買うのを楽しみにしています。他のスタッフも一緒に、朝は花瓶の花の水替えと、鉢植えの水やりなど、場を整えることからスタートします。
そしてカウンセリングの時間、お花は見るものに力を与えてくれます。お花の色や形、葉っぱの色や形、その自然界の色は、造花とは違う力を持っています。「生きている」という力とでもいえるでしょうか。
癒し、慰め、和み、優しさ、あるいは、力強さ、生命力、元気、華やかさ、希望・・を、見るものに与えてくれます。部屋にお花があることで、人間はもちろん、その場に力を与えてくれるように思います。
どんなに素敵なお花でも、最後は枯れるときがきます。それは生きているからこその自然の摂理。花に触れ、花を愛でながら、限りある命について教えてくれる「花」に感謝して、花と共に「生きる」ことを大切にしていきたい思う今日の頃です。
花をいけるという営みとその心を研究所だけでなく家でも・・と、最近、自宅でも花をいけるようになりました。お花に感謝。
今週のお花、メインは八重のチューリップ