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FLCスタッフエッセイ

2024.03.06 仕事
復職についての豆知識④ 復職における主治医・産業医の役割

西村 麻里

 復職についての連載エッセイ、ここまでは主に休職中のリハビリに焦点を当ててお話してきましたが、4回目となる今回は、リハビリも進んできて、実際に復職に向けて動き出す時期に目を移したいと思います。

 具体的に復職の話を職場との間で進め始めると、いろんな役割の人物が関わるようになってきますが、その中でも特に重要な役割を果たすのが主治医と産業医です。

 復職するにあたってまず必要になるのが、復職可能という主治医の判断です。その形は職場によって、診断書の提出を求められる場合もあれば、さしあたっては口頭で許可が得られればよしの場合もありますが、いずれにせよ主治医に「働けるくらい病状が回復した」と認められて初めて、復職手続きのスタートラインに立てるのです。また、復帰後の業務軽減や配慮の程度に関しても、主治医の判断が影響力を持つ場合が少なくありません。ここで重要なことは、仕事の内容や職場の制度について、主治医に十分な情報を提供することです。仕事の内容や忙しさ、また復帰時にどの程度の勤務が求められているのかによっても、最適な復職のタイミングが変わってきます。また、復職可能の判断が出た後は、職場側に主治医の見解を伝えることも大切になってきます。病状の説明や今後の治療計画、就業上必要な配慮などについて、自分から積極的に情報をもらい、職場側に伝えるようにしましょう。主治医と職場が本人を抜かして直接やり取りすることはありませんので、自分がパイプ役であることを肝に銘じてください。

 そして職場側で復職の判断を行うのが、多くの場合、産業医となります。主治医が病気が治ったかどうかの「疾病性の判断」をするのに対して、産業医はもう一度働くことができるかどうかという「機能性の評価」が仕事になります。つまり、病状の回復だけでなく、職場環境などの条件も含めた上で、本当に職場復帰が可能なのか、可能であればどのような方法で復帰をしたら再発を防げるのかなどを判断し、職場に助言することが産業医の役割となります。実際、主治医の許可は下りていたのに産業医の許可が出ず、休職延長となるケースも存在します。再発防止の観点からもそれは必要なことではあるのですが、産業医と会えるのは1回ないし数回の産業医面談の時のみ、という人も多いでしょうから、その時に自分の回復の程度をしっかりとアピールできるようになっておくことも重要です。

 産業医面談で聞かれることの多い内容は、休職中の生活の様子、職務遂行能力(集中力や記憶力、持久力等)の回復具合、休職に至った原因とその対策、復帰後の治療計画あたりです。いずれも、復職に向けてそれらがきちんと考えられていたり、整えられていたりするかが復職可否の判断に関わってきます。嘘や虚勢はのちのち自分の首を絞めるだけなのでおすすめしませんが、必要なことをきちんと落ち着いて伝えられるよう、ポイントを押さえてあらかじめ準備しておくようにしましょう。生活リズムの記録やリハビリのプランといった資料を見せたり、リワークやカウンセリングで取り組んでいることがあればその内容を伝えることもおすすめです。

 ちなみにここではわかりやすく産業医とのみ書きましたが、復職可否の判定や復職後の配慮の決定の行われ方は、職場によってかなり違います。シンプルに産業医が単独で行う場合もあれば、産業医や保健師、人事、上司などで構成される会議にかけられる場合もあり、また特に小規模なところでは産業医がおらず、人事担当や経営者がすべてを行う場合もあります。そういう意味では、復職にあたってまず最初に必要なのは、自分の職場の復職判定システムや復帰スケジュールを把握すること、とも言えますね。実際、復職手続きの前後の時期はやっておきたいことや確認しておきたいことがたくさんあります。詳しくはまた次回にお伝えできたらと思いますが、連載1回目でも簡単に触れてはいますので、よければご参照ください。

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