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FLCスタッフエッセイ

2024.01.31 仕事
復職についての豆知識② リハビリを行う際のポイント

西村麻里

 復職についての連載エッセイ、1回目では休職から復職までの流れを概観しましたが、続いては、実際に復職に向けてリハビリを始めるにあたってのお話をしていきたいと思います。

 リハビリを始める時期の目安については前回お話ししましたが、この時期の大きな特徴としては、回復してきた分、色々なことを考える余裕ができることで、かえって復職への不安や焦りが出てくることが挙げられます。焦りから急いで復職したもののやはり心身がついていかず再休職、となってしまう方も多いのがこの時期です。回復=復職ではなく、ようやく前半を終えたところ、ここから復職に向けてリハビリで整えていく後半戦が始まるのだ、という意識を持つことが、再休職を防ぐ上でも大切になってきます。

 さて、ではリハビリとは具体的にどういうことをしていけばいいのでしょうか。大きく4つに分けて説明していきたいと思います。

1.生活リズムの把握と回復

 特に睡眠覚醒リズム(いつ寝ていつ起きているか、昼寝も含めて)を中心に、できれば記録シートなどを活用して客観的に把握した上で、徐々に働いていた時に近い生活リズムへ近づけるよう整えていきます。ただ、リハビリ中はリハビリの負荷による疲労が蓄積されやすいので、普段より長めの睡眠時間を確保するよう心がけてください。

2.身体機能の回復

 療養生活によってどうしても身体機能や体力が低下しています。身体的疲労による再発を防ぐためにも、ウォーキング等の軽度な運動を少しずつ取り入れていきましょう。最初からやりすぎず、少しずつステップアップすることが重要です。疲れて他の活動に支障が出てはやりすぎなので、今の自分にとってちょうどいい運動量を見極めましょう。

3.認知機能の回復

 身体機能だけでなく、集中力や記憶力、注意力といった認知機能も療養生活において錆つきがちです。最初は漫画や雑誌などの軽いものを読むところから、徐々にレベルアップさせていきましょう。読むことがある程度できるようになったら書くリハビリも取り入れてください。市販のドリルや脳トレなども有効です。

4.復職に向けた心のトレーニング

 自分の考え方のくせや問題解決パターン、ストレス解消法などを見直し、再び職場でストレスにさらされた時に、前とは違う新たな対応ができる自分を獲得し、再発防止を目指します。これは一人で取り組むのが一番難しいリハビリです。市販の復職のためのワークブック等でも取り組むことはできますが、客観的視点が入るほど有効なリハビリでもあるので、一人ではあまり効果を感じられない場合は、リワークプログラムやカウンセリングでの取り組みも検討してみましょう。

 いずれのリハビリも、その時その時の自分の状態に応じた適度な負荷で行うことが一番有効です。冒頭でも述べたように、この時期は特に焦りが出やすいので、ついやりすぎてしんどくなってしまわないよう、できれば家族や主治医などの周りの声や目も借りながら、着実に進めていきましょう。

 病状も右肩上がりでは回復せず、一進一退となるのが普通です。また、リハビリも、確実な復職を目指すなら最低でも数か月、できれば半年は見ておきたいところです。急いで進めたり、調子の波に一喜一憂せず、数週間くらいのスパンで自分の状態をとらえていくように心がけてください。

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