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FLCスタッフエッセイ

2024.04.03 仕事
復職についての豆知識⑥ 復職後の再発予防

西村 麻里 

 復職についての連載エッセイ、ついに最終回となります今回は、復職後の再発予防についてお話したいと思います。休職中は復職を一つのゴールととらえて過ごすことが多いでしょうが、そこからまた長く職場で働いていくことを考えると、その再スタートの地点でもあると言えます。再発・再休職を防ぐためにも、復職が近づいてきたら、復職後の過ごし方にも目を向け、また実際に復職した後も常に再発予防の意識を持ちながら過ごしていきましょう。

 

 特に復職後最初の3ヶ月は、心身ともにデリケートで疲れやすく、再発しやすい時期と言われています。その大きな理由の一つが、気持ちと実際のパフォーマンスとの落差です。この時期は就業時間中職場に身を置いているだけでも心身がかなり疲弊し、いきなり一人分の役割や業務をこなすのは難しい状態なのですが、復職できたことにより気分が高揚したり、周りへの申し訳なさから焦ったりして、つい過剰に頑張りすぎてしまいがちです。最初の3ヶ月は、何よりも疲労の回復と不安・緊張の軽減が最優先される時期だということを念頭に置いて過ごしましょう。

 例えば、短時間勤務や残業制限を受けている場合はきちんと守る、周囲の人が働いていても必要がなければ先に帰る、具合が悪い時は早めに休養を取ったり受診したりする、といった点は特に意識して実行していただきたいところです。周りに申し訳ないと思っても、今無理をして再発するよりは、翌日以降も元気に出勤する方が職場にとってもありがたいことです。そういう広い視点を常に忘れないようにすると同時に、さらに長期的な意味で、他の人が働いていても帰るということに慣れ、また周りの人にも早く帰らなくてはならない人だと認識してもらうようになることも再発予防には重要です。

 

 また、最初の3ヶ月を無事乗り切ったとしても、まだまだ本調子とは言えません。3ヶ月を過ぎると、残業制限などがなくなっていき、周囲も休職明けという意識が薄くなります。通常の業務を期待され始める一方で、まだ実際にはうまくこなせなかったり、期待に応えられないことも多く、その無力感や憂鬱感から調子を崩すこともあります。ですのでこの時期は、自分がまだ本調子でないことをきちんとまわりに伝えていくことが重要になります。

 復職から半年ほど経つと、仕事のパフォーマンスはかなり回復してきて、その部分のつらさは減っていきますが、今度は働いていることが当たり前になってきて、休職前と同じ働き方(=再発するような働き方)をしてしまいやすくなるリスクが生じます。裏返せば、この時期に休職前とは違う新しい働き方(=しんどくなりにくい、再発しにくい働き方)を確立できると、かなり安定して働けるようになります。

 それぞれの時期に陥りがちなリスクをあらかじめ理解して、焦らず着実に、トータル1年ぐらいの時間をかけて復職を完全なものにしていく気持ちで臨んでください。

2024.03.18 仕事
復職についての豆知識⑤ 復職に際して確認しておきたいこと

西村 麻里

 復職についての連載エッセイ、5回目の今回は、前回予告していましたように、復職に際してやっておきたいことや確認しておきたいことをお話したいと思います。

 これは大きく二つに分けられ、一つは自分自身が問題なく復職できる状態かについての確認、もう一つが職場側の環境や制度についての確認になります。

 

 まず自分自身の状態についてですが、病状が回復してきていても、仕事関連のことに触れると急激に具合が悪くなるということがままあります。これは仕事や職場のことを避けて過ごしていると気づきにくい面でもありますので、できれば実際に復職手続きを始める前に一度そのあたりが大丈夫かを確認しておきたいところです。

 具体的には、同僚などと会ったり職場や仕事のことについて情報交換したりができているか、まだしていない人はできるかどうか(実際復職を盤石にするためにはやっておくことがお勧めです)、職場の最寄り駅や建物の前まで行って気持ち悪くならないか、通勤ラッシュやスーツ・制服などに対して抵抗がないか、耐えられるか、あたりが大きなチェックポイントと言えます。

 

 そして職場側については、まず人事・労務的な面で、時短勤務や職務内容の軽減、残業時間の制限といった措置が受けられるかどうか、どの時点から正規の就業として勤務するのか、給与や有給休暇の付与はどうなるのかといったことが挙げられます。これらは密接に関係しており、かつ、職場によってかなり運用や規則が異なるので、自分の職場がどうなのかを確認することは重要です。

 例えば、ある職場では、時短勤務の間は休職中のリハビリという扱いで給与も交通費も支給されず(代わりに傷病手当等がある場合はそれが引き続き受け取れます)、フルタイムの勤務になった時点から正規の就業となって給与が発生するのに対し、別の職場では、正規の就業として時短勤務を扱うため交通費や労災などは適用される代わりに、時間が短い分受け取れる給与は少なくなる(そして傷病手当も受け取れない)といったことがあります。

 有給休暇についても、休職前に残っていた分が持ち越せるところもあれば、最初は全く付与されず、勤務を継続するにしたがって法に準じた日数分付与していく形を取るところもあります。復帰後に調子を崩した時や通院したい時に安心して休めるかどうかはかなり大きいことなので、しっかり確認しておきましょう。

 また環境面では、仕事中に調子が悪くなった時に休める場所があるかどうかを事前にチェックしておくことも大切です。休憩室やロッカールーム、保健室などがあればぜひ事前に一度様子を見に行っておいてください。またそういった施設が職場内にない場合、人のあまり来ない階段や廊下、あるいは近所の公園やコンビニなど、どこか避難できる場所を探しておきましょう。

2024.03.06 仕事
復職についての豆知識④ 復職における主治医・産業医の役割

西村 麻里

 復職についての連載エッセイ、ここまでは主に休職中のリハビリに焦点を当ててお話してきましたが、4回目となる今回は、リハビリも進んできて、実際に復職に向けて動き出す時期に目を移したいと思います。

 具体的に復職の話を職場との間で進め始めると、いろんな役割の人物が関わるようになってきますが、その中でも特に重要な役割を果たすのが主治医と産業医です。

 復職するにあたってまず必要になるのが、復職可能という主治医の判断です。その形は職場によって、診断書の提出を求められる場合もあれば、さしあたっては口頭で許可が得られればよしの場合もありますが、いずれにせよ主治医に「働けるくらい病状が回復した」と認められて初めて、復職手続きのスタートラインに立てるのです。また、復帰後の業務軽減や配慮の程度に関しても、主治医の判断が影響力を持つ場合が少なくありません。ここで重要なことは、仕事の内容や職場の制度について、主治医に十分な情報を提供することです。仕事の内容や忙しさ、また復帰時にどの程度の勤務が求められているのかによっても、最適な復職のタイミングが変わってきます。また、復職可能の判断が出た後は、職場側に主治医の見解を伝えることも大切になってきます。病状の説明や今後の治療計画、就業上必要な配慮などについて、自分から積極的に情報をもらい、職場側に伝えるようにしましょう。主治医と職場が本人を抜かして直接やり取りすることはありませんので、自分がパイプ役であることを肝に銘じてください。

 そして職場側で復職の判断を行うのが、多くの場合、産業医となります。主治医が病気が治ったかどうかの「疾病性の判断」をするのに対して、産業医はもう一度働くことができるかどうかという「機能性の評価」が仕事になります。つまり、病状の回復だけでなく、職場環境などの条件も含めた上で、本当に職場復帰が可能なのか、可能であればどのような方法で復帰をしたら再発を防げるのかなどを判断し、職場に助言することが産業医の役割となります。実際、主治医の許可は下りていたのに産業医の許可が出ず、休職延長となるケースも存在します。再発防止の観点からもそれは必要なことではあるのですが、産業医と会えるのは1回ないし数回の産業医面談の時のみ、という人も多いでしょうから、その時に自分の回復の程度をしっかりとアピールできるようになっておくことも重要です。

 産業医面談で聞かれることの多い内容は、休職中の生活の様子、職務遂行能力(集中力や記憶力、持久力等)の回復具合、休職に至った原因とその対策、復帰後の治療計画あたりです。いずれも、復職に向けてそれらがきちんと考えられていたり、整えられていたりするかが復職可否の判断に関わってきます。嘘や虚勢はのちのち自分の首を絞めるだけなのでおすすめしませんが、必要なことをきちんと落ち着いて伝えられるよう、ポイントを押さえてあらかじめ準備しておくようにしましょう。生活リズムの記録やリハビリのプランといった資料を見せたり、リワークやカウンセリングで取り組んでいることがあればその内容を伝えることもおすすめです。

 ちなみにここではわかりやすく産業医とのみ書きましたが、復職可否の判定や復職後の配慮の決定の行われ方は、職場によってかなり違います。シンプルに産業医が単独で行う場合もあれば、産業医や保健師、人事、上司などで構成される会議にかけられる場合もあり、また特に小規模なところでは産業医がおらず、人事担当や経営者がすべてを行う場合もあります。そういう意味では、復職にあたってまず最初に必要なのは、自分の職場の復職判定システムや復帰スケジュールを把握すること、とも言えますね。実際、復職手続きの前後の時期はやっておきたいことや確認しておきたいことがたくさんあります。詳しくはまた次回にお伝えできたらと思いますが、連載1回目でも簡単に触れてはいますので、よければご参照ください。

2024.02.12 仕事
復職についての豆知識③ 休職原因のふりかえりとキャリアの再構築

西村麻里

 復職についての連載エッセイ、3回目となります今回は、前回紹介したようなリハビリがある程度進んできたところで、次に取り組みたい内容についてお話ししていきます。

 リハビリがある程度進んで、気分や生活リズムもそこそこ安定し、仕事のことを考えたり、休職前のことを思い出したりしても調子が崩れるようなことがなくなれば、いよいよ後半戦。復職に向けてより具体的な内容に取り組んでいく時期となります。

 ここで主に取り組みたいことは大きく二つ、一つは休職に至った原因を分析して、復職後に同じことにならないよう対策を考えること、もう一つは、休職(場合によっては発病とも言い換えれますが)を踏まえて自らの今後のキャリアを見直すことです。休職原因にもよりますが、この二つは相互に関連していることも多く、同時並行で進めたり、あるいは休職原因のことがある程度つかめてから、キャリアについて考えていくことがおすすめです。

【休職原因の振り返りと対策】

 休職原因については、復職にあたっての産業医面談や上司・人事との面談でもよく問われることであり、復職を進める上では避けて通れないテーマとも言えます。一方で、考えろと言われたからってすぐ考えてわかるものでもないのがこのテーマの難しいところです。よく使われる手法は、しんどくなり始めてから休職に至るまでの経過を時系列で振り返ることですが、ただ振り返っても、自分の思い込みなども影響して、中々正確なところはつかみづらいものです。紙に書くなどしてできるだけ客観的に、できれば第三者の視点も取り入れて行えるのがベストですので、この作業は特にカウンセリングやリワークプログラムなどを利用しながら取り組むことがお勧めです。

 対策については大きく3つの方向性が考えれます。①自分の仕事の仕方やスタンスを変える、②自分の考え方や捉え方を変える、③職場側に環境調整などの対応を求める、の3つです。このうち③については、自分の職場がどこまで対応できるのか、制度的にも状況的にも見極めた上で、産業医面談や上司・人事面談などの場で交渉していくことになります。

【キャリアの再構築】

 休職せざるを得ない状況に至った、ということは、多くの場合、これまでと同じ働き方ではもうやっていけないことを意味しているとも言えます。もちろんその要因は様々で、異動や昇進などによって仕事内容が変わったからであったり、年齢や体力、あるいはプライベートの状況の変化などが影響している場合もあるでしょう。また最近では、時代の流れの中で会社自体が大きく変化した、というのが原因の一つである場合も少なくありません。いずれにしても、これまでと同じ働き方が難しい=これまで想定していたキャリアの進路を見直す必要があります。もちろん、見直した結果、これまで通りでも行けるだろうと判断されるなら、それも一つの結論です。ですが、一度お休みして余裕のあるこの機会に自らのキャリアを見直すことは、復職だけでなく今後の人生をよりよいものにするためにも大事なことです。

 キャリアを見直すにあたっては、復職後どう働くかという目先のことだけでなく、まずはそもそもなぜ今この職場でこの仕事をするに至ったか、それは自らのそもそもの希望と一致するものだったか、さらに、今の自分(特に休職を経験した自分)は以前と同じ希望を持っているのか、望むことは変わってきているのか、といったことを広く考えてみましょう。そうすると段々、今の自分が望むことと、それが自分が復職後にやるであろう仕事や働き方とどの程度一致して、どの程度一致しないのか、が見えてくるはずです。ここまでくればもうあと少し、自分がこの先職場に戻った時に、何を大事にして、何は妥協するのか、自分の優先順位を正確につかめれば、かなり見通しも立てやすくなるでしょう。そしてこのあたりのことは、先の休職原因への対策の検討ともつながってくるところとなります。

 これらの内容は、後半戦だけあって取り組むのも大変ですし、また一人進めていくのが難しい内容でもあります。一方でこれらがきちんと押さえられているほど、この次に控える復職にあたっての職場とのやり取りもスムーズに進めやすくなりますし、再休職の防止にも効果的です。これだけのことに取り組める状態だと、もう働けるくらい回復しているのではと感じられて復職へといそがれる方も多いのが現実ですが、復職を万全のものにするためにも、ぜひ焦らずにじっくり取り組んでいただきたいところです。

2024.01.31 仕事
復職についての豆知識② リハビリを行う際のポイント

西村麻里

 復職についての連載エッセイ、1回目では休職から復職までの流れを概観しましたが、続いては、実際に復職に向けてリハビリを始めるにあたってのお話をしていきたいと思います。

 リハビリを始める時期の目安については前回お話ししましたが、この時期の大きな特徴としては、回復してきた分、色々なことを考える余裕ができることで、かえって復職への不安や焦りが出てくることが挙げられます。焦りから急いで復職したもののやはり心身がついていかず再休職、となってしまう方も多いのがこの時期です。回復=復職ではなく、ようやく前半を終えたところ、ここから復職に向けてリハビリで整えていく後半戦が始まるのだ、という意識を持つことが、再休職を防ぐ上でも大切になってきます。

 さて、ではリハビリとは具体的にどういうことをしていけばいいのでしょうか。大きく4つに分けて説明していきたいと思います。

1.生活リズムの把握と回復

 特に睡眠覚醒リズム(いつ寝ていつ起きているか、昼寝も含めて)を中心に、できれば記録シートなどを活用して客観的に把握した上で、徐々に働いていた時に近い生活リズムへ近づけるよう整えていきます。ただ、リハビリ中はリハビリの負荷による疲労が蓄積されやすいので、普段より長めの睡眠時間を確保するよう心がけてください。

2.身体機能の回復

 療養生活によってどうしても身体機能や体力が低下しています。身体的疲労による再発を防ぐためにも、ウォーキング等の軽度な運動を少しずつ取り入れていきましょう。最初からやりすぎず、少しずつステップアップすることが重要です。疲れて他の活動に支障が出てはやりすぎなので、今の自分にとってちょうどいい運動量を見極めましょう。

3.認知機能の回復

 身体機能だけでなく、集中力や記憶力、注意力といった認知機能も療養生活において錆つきがちです。最初は漫画や雑誌などの軽いものを読むところから、徐々にレベルアップさせていきましょう。読むことがある程度できるようになったら書くリハビリも取り入れてください。市販のドリルや脳トレなども有効です。

4.復職に向けた心のトレーニング

 自分の考え方のくせや問題解決パターン、ストレス解消法などを見直し、再び職場でストレスにさらされた時に、前とは違う新たな対応ができる自分を獲得し、再発防止を目指します。これは一人で取り組むのが一番難しいリハビリです。市販の復職のためのワークブック等でも取り組むことはできますが、客観的視点が入るほど有効なリハビリでもあるので、一人ではあまり効果を感じられない場合は、リワークプログラムやカウンセリングでの取り組みも検討してみましょう。

 いずれのリハビリも、その時その時の自分の状態に応じた適度な負荷で行うことが一番有効です。冒頭でも述べたように、この時期は特に焦りが出やすいので、ついやりすぎてしんどくなってしまわないよう、できれば家族や主治医などの周りの声や目も借りながら、着実に進めていきましょう。

 病状も右肩上がりでは回復せず、一進一退となるのが普通です。また、リハビリも、確実な復職を目指すなら最低でも数か月、できれば半年は見ておきたいところです。急いで進めたり、調子の波に一喜一憂せず、数週間くらいのスパンで自分の状態をとらえていくように心がけてください。

2024.01.20 仕事
復職についての豆知識① 休職から復職にかけての流れ

西村 麻里

 ブログでも予告していました、復職についての豆知識の連載、1回目となります今回は、まずは休職してから復職するまでにどのような経過があるのか、を概観していきたいと思います。

 厚生労働省が出している「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」では、職場復帰支援の流れを5つのステップに分けています。そのまま載せると難しい言葉が並んでわかりにくいので、わかりやすく書かせていただくと、下記のようになります(元データが知りたい方は厚生労働省のHPに載っていますのでご参照下さい)。

 【第1ステップ】休職を開始し、療養・治療を行う段階

 【第2ステップ】本人からの復職の意志表示や主治医による復帰可能の判断などが示される段階

 【第3ステップ】職場側が、復帰が可能か検討したり、復帰支援プランを作成する段階

 【第4ステップ】最終的な職場復帰の決定の段階

 【第5ステップ】職場復帰後のフォローアップの段階

これを見ていただいただけでも、復職しよう、と考えてから、実際に復職するまでには、結構なステップがあることが想像できます。ただ、こちらの手引きはどちらかというと職場側の視点に立って書かれているもので、特に第3~4ステップなどは休職者側から能動的に何かをする段階ではありません。これを、より休職者、あるいは復職に向けての休職者側の準備、という視点で書き直すと、このようになります。

 【第1ステップ】(前半)治療に専念し病状の回復を最優先する時期

         (後半)一定の回復が見られ、療養中心から復職のためのリハビリに移行していく時期

 【第2ステップ】リハビリをステップアップさせる&休職原因に向き合い再発防止策を検討する時期

 【第3ステップ】復帰後のレベルを想定したリハビリを行う&職場と具体的な環境調整を行う時期

 【第4ステップ】職場への事前挨拶や同僚などからの情報収集等、復職直前の準備を行う時期

 【第5ステップ】復職後、調子を崩さないよう注意しながら少しずつ復職を確実にしていく時期

 こうして見ていくと、復職に向けて自分が今何をしたらいいのか、を考えるには、自分が今どのステップにいるのかを知ることが重要であることがわかります。一つの指標は主治医の判断ですが、おそらく一番判断に迷うのは、第1ステップにおいて、療養中心からリハビリへと移行するタイミングかと思います。焦って早くにリハビリを始めてしまうと、効果が得られないどころか病状の悪化を招きますし、逆にいつまでも休養ばかりしているといざ復職となった時に心身がついていかないという事態になります。

 実際に復職支援を行う際には詳細なチェックシートを利用したりするのですが、ざっくりとした目安としては、夜にまとまった睡眠がとれて午前中から活動することができること、仕事や職場に関わるものに接しても大きく動揺したりしんどくなったりしないこと、の2点をクリアしていればリハビリを始めてもいい時期に来ていると考えられます。

 繰り返しになりますが、焦って十分な療養を行わなかったり、過度なリハビリを行うことは、かえって回復を遅らせます。そしていったん回復してきていた調子が落ちてしまうと、自信の喪失ややる気の低下にもつながりかねません。自分が今どの時点にいるかを常に意識して、できればやや余裕を持ったペースで進めていけるのが理想的ですね。

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