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FLCスタッフエッセイ

2016.06.21 子ども/子育て
「スマホに依存している」といわれる姿の向こう側

福田ちか子

 

 電車の中で,ふとまわりをみると,ほとんどの人がスマホを見ていた。ネット依存やスマホ依存,SNS上のトラブルなど,マイナスの面が話題になることもあれば,幅広く簡単に情報を発信でき様々なネットワークづくりを実現させるもの,災害時のつながりを支えるもの,としてプラスの面が話題になることもある。コミュニケーションのツールとして,スマホは生活の中に急速に根を張り,広がっている。

 

スマホのマイナス面が強調されるのは,スマホがコミュニケーションを阻害する場合であることが多い。その中で,スマホが大人(親世代)と子ども世代のコミュニケーションを難しくさせる状況について,NHKの「あさイチ」という番組で,昨年7月に放送された特集「こどもリアルスマホライフ 10代の本音」をみて考えさせられることがあった。

 

大人側の視点を入口に,10代のこどもたちにスマホ事情についてインタビューをするという企画だったが,まず親世代にとってと,子ども世代にとってのスマホの存在感の違いが,とても大きいことに改めて気づかされた。

 

 学生時代にスマホが無かった親世代からみると「スマホをしている」という大きなくくりで捉えていることが多く,その段階で「意味がわからない」「ネットに依存している」や,「携帯ばかりして勉強をしない」「無駄遣いが多い」などの注意や拒否反応につながり,その向こう側で起きていることのイメージが持ちにくい様子がみられた。

 

 実際には,「スマホをしている」の中にも,音楽を聴いている,動画を見ている,本や漫画,小説を読んでいる,ゲームをしている,SNSで情報を共有しているなどなど,様々な場合がある。また学級や部活動の連絡網として機能しているケースも多い。

 

特にSNSは,子どもたちにとって日常の中で実際の会話と同じくらい影響力や存在感のあるもので,番組の中で,例えば友だちと実際に会ってしゃべりながら,同時並行でSNSにもコメントをのせ,その場にはいない人ともつながりながら,その場の会話が流れていくことや,SNSのアカウントを 「本アカ」「趣味アカ」「闇アカ」などいくつも作って,日常的に会う友だちに伝えるアカウント(本アカ)と,友だちには話しにくいことを話すアカウント(趣味アカや闇アカ)とを場合によって使い分けたりすること...などが紹介されていた。

 

 紹介した例は,ほんの一部だけれど,子ども世代のスマホ事情は奥が深く,「スマホをしている」中にも,本人の興味関心や特技,趣味が反映されていたり,時には友だちづきあいやその悩みが反映されていたりする。四角い箱の中に広がる世界なので,外から見えにくいのが難点だと思うけれど,大人世代とのつながりを断つもの,コミュニケーションを阻害するものとして排除するのみでは,少しもったいないように思う。「スマホをしている」姿の向こう側に興味をもって親子で話すことが,コミュニケーションの切っ掛けにもなると思われるので,是非一度,子どもたちのスマホ事情に興味をもって話し合ってみることをおすすめしたい。

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