- 2018.03.18 グループ/講座
- 3月の女性のためのトラウマケア・グループ&『心的外傷と回復』読書会
今日は一日研究所にて、グループ。
午前中は「女性のためのトラウマケア・グループ」の第5回目「思考と感情を統合する」、午後は『心的外傷と回復』女性のトラウマ読書会。どちらも今日が最終回。5月から一年弱、ご一緒してきた喜びとちょっぴり寂しさとでしみじみ感慨深い気持ちでした。
『心的外傷と回復』の読み合わせは最終章の「共世界(human commonality)」。回復の段階(第一段階安全の確立、第二段階服喪追悼・記憶の統合、第三段階再結合)に応じたグループについて、何に焦点をあて、どんな構造で、どんな点に注意を払わないといけないか・・など詳細が解説されています。この章もとてもいい章で、一行一行の言葉が意味深いです。この章の冒頭では次の言葉から始まります・・、
外傷的事件は個人と社会をつなぐきずなを破壊する。・・(略)
生存者の証言には、つながりの感覚が取り戻せたのは、ある時、ある人が惜しみない度量を気取らない自然体で示してくれたおかげであるという話が繰り返し出てくる。被害者が不可逆的な破壊をこうむったと思い込んでいる自分の中のものはごくふつうの愛他性(相手の身になって考え相手本位で行動すること)によってもう一度目を覚ます。自分以外の人々の行動を鏡として生存者は自らの失われた部分を認め、とりもどす。この瞬間から生存者は人間の共世界(human commonality)に再加入し始める。
社会のきずなの取戻しは、私は一人ではないという発見をもって始まる。この体験が確実、強力、直接的なのはグループをおいては他にはない。アーヴィン・ヤロムはグループ精神療法の権威であるがこれを「普遍性」体験と名付けている。「普遍性」のもつ治癒力は特に恥辱的な秘密を抱いているために孤立させられていると感じてきた人たちには強力である。(340~341頁より)
「私は一人ではない」という普遍性がもつ治癒力は本当にエンパワメントになること感じます。
女性ライフサイクル研究所では1990年の開設以来、いろんなテーマ、形で試行錯誤しながらグループを開催してきました。グループはスタッフが一緒に取り組むということでは、私にとっても(私たちにとっても)意味深いなぁと感じます。私自身、この世界(common)に所属していること、普遍的なものの一部であること、その交わりの感覚を実感させてくれる場でもあります。
できることは限られているのですが、細くであっても息長~く続けていければいいなと思います。
次年度のグループは二つ、5月から月一回の日曜日、午前中はアートセラピーの手法を使ったグループセラピー「女性のためのセルフケア・グループ」と、午後は女性心理学フリートーク・女性のトラウマ読書会を開催いたします。3月中にはホームページ「インフォメーション」コーナーにてご案内させていただきます。
こんなグループを開催しているよ~と発信することで、グループに参加するかどうかには関係なく、「一人ではないよ」というメッセージとなって届けばいいなと願っています。