- 2015.07.14 コミュニケーション
- 子育て中の夫婦間コミュニケーションのヒント
金山あき子
人と人とのコミュニケーションは、時に難しいものです。特に、子育て中や忙しい時、自分が何かのストレス下におかれている時は、家族やパートナーからのサポートは大事なものですが、そのニーズをコミュニケーションの中で伝える事は、案外難しかったりします。今回は、ちょっとしたコツで夫婦間のコミュニケーションを円滑にしてゆくヒントを、筆者が最近読んだ本、『赤ちゃんを愛せないーマタニティブルーを乗り越える12章』(クラインマン&ラスキン)からまとめ、考えてみたいと思います。
妻自身が忙しかったり、ストレス下にある時には、夫に家事や子育てを手伝って欲しかったり、心の支えになってもらいたかったりなど、相手に対する欲求やニーズが多くなる時期といえます。しかし、多くの女性は、自分の気持ちをストレートに相手に伝える事に、ためらいや違和感がある、といいます。それはあまり主張するのは「女性らしくない」と社会的に思われてきたことから、女性が主張したり、助けを求めることを難しく、恥ずかしいと感じやすいことが原因となっていると言われます。ストレス状況と、そうした社会的なハードルが重なって、女性は相手に自分のニーズを伝えるのがより難しくなる傾向があると言えるでしょう。
では、一体どうしたら、より、パートナーに自分のニーズを健全に伝え、コミュニケーションをより良くできるのでしょうか。以下に具体的な例を交えて「伝え方のヒント」を挙げてみたいと思います。
⒈「あなたは〜」ではなく、「わたしは〜」という言い方をする。
「あなたは・・・」という言い方で始めると、ついつい相手のことを責めるような内容になってしまいがちです。例えば、「あなたは、いつも家に居てくれないのね。」という言い方があります。これを、「私は〜」という風な言い方でしてみたらどうでしょうか。つまり、自分の気持ちを、相手に伝えてみるのです。上の例では、「私は、あなたがいつも家に居ないと寂しいのよ。」というように、「私」の気持ちをベースに言い換えることができます。そうすることで、相手は自分が責められないので、あなたの言いたいことも聞いてみようという気になり、コミュニケーションへのドアが開かれやすくなるかもしれません。
2.まず夫の立場を認め、その上で自分の欲求を伝える。
例えば、夫と話をしたいと思っていた夜、夫が仕事で遅く帰ってきたとします。ここで、「今頃帰ってきて!一体どういうつもりなの」と言ったとします。こうすると、夫は自分が責められたと思い、また自分の状況をわかってもらえないと感じるでしょう。また、妻が「話をしたい」という本当にして欲しかったことを伝えるゴールは遠のいてしまいます。良い例としては、「仕事で疲れているところ悪いのだけど、私とも話をしてほしいの。」というものがあります。こうして相手の状況を理解する内容を入れてみることで、話し合いの場ができるかもしれず、また自分の欲求を伝えることができる可能性も高まるでしょう。
3.曖昧な言い方をせず、はっきりと直接的に欲求を伝える。
たとえば、「もっと手伝って欲しい。」と漠然と言っても、実際に、夫に「何を」して欲しいのかを、具体的に伝えないと、なかなか相手に自分のして欲しいことをわかってもらいにくいでしょう。まずは、こちらが何をして欲しいか、例えば、「子どもがトイレをする間見ていて欲しい」、「食器を下げて欲しい」など、具体的に明確化して伝えると、もっと相手に実行してもらえる可能性が高まります。その際には、1.の「私は〜」の言い方で考えること、2.相手の状況・立場を認めるコツを適用すると、より有効です。
最後に、「ありがとう」は魔法の言葉、とも言われますが、やはり感謝伝えるということは、コミュニケーション上とくに大事なことのように思われます。相手がしてくれることが当たり前になっていることも多いものです。自分の主張や、ニーズを伝えてみて、パートナーがしてくれた行動や、言葉が嬉しかったら、それへの感謝を言葉にして、喜びを伝えてみましょう。きっとその喜びは何倍にもなって返ってきて、二人のコミュニケーションが、ますます素敵なものになっていくことでしょう。
【参考文献】カレン・R・クレイマン+ヴァレリー・B・ラスキン(1996)『赤ちゃんを愛せない マタニティブルーを乗り越える12章』 (村本邦子+山口知子訳)創元社