- 2013.01.16 子ども/子育て
- 子どもの行動に困ったとき~親子の相互関係を育もう
西 順子
癇癪をおこす、ぐずる、すねる、汚い言葉を発する・・など、子どもが親のいうことをきかないとき、親も困ってしまうものです。子どもの問題行動をやめさせようと注意して、かえってひどくなり、エスカレートしてしまうこともあります。
子どもの問題行動が気になるとき、子どもの望ましい行動を増やし、してほしくない行動を減らすための具体的方法を学ぶことが役に立ちます。その方法には、ペアレント・トレーニングがありますが、ここでは親子相互交流療法(以下、PCIT)を紹介することで、ヒントを提供できればと思います。
PCITは、1970年代前半にシーラ・アイバーグ博士らによって開発されたプログラムで、当初は行動障害のある2~7歳までの子どもとその養育者を対象としていましたが、現在では問題行動や抑うつ症状などさまざまな症状がみられる2~12歳の子どもに適用されています。虐待を受けた子ども、里親養育措置などでも効果が認められています。PCITは、室内で、親が子どもに直接遊戯療法を行い、セラピストは別室から親にスキルをライブでコーチするユニークな心理療法です。
基礎となる理論は、愛着理論と行動理論で、プログラムには〈第1段階〉親が子どもへの波長合わせを学ぶこと、〈第2段階〉親として権威をもって子どもの行動に限界を与えること、の二つの柱があります。第1の段階では、親子の相互関係を深めることを目標に、養育者が子どもの肯定的な行動に注目し、「5つのやるべきこと」を学びます。5つとは、①ほめる、②反復する、③まねる、④描写する、⑤熱中する、です。また、子どもとの関係を強化するために、①命令する、②質問する、③批判する、の3つの行動は避けます。否定的な行動を起こしたときは無視し、暴力を起こしたり物を壊したりするときは介入します。
第1段階が習得できると第2段階に進みます。第2段階では、養育者が適切に指示を出せるようになることが目標です。指示を出すときの三原則は、①一貫していること、②予測できること、③終わりまで続けること、です。効果的な指示の方法には、①直接的、②肯定的、③一度に一つ、④具体的に、⑤年齢に即して、⑥丁寧に・・などがあります。
PCITでは、親子の相互関係を育むために、親が温かいサポートを受けながら具体的な方法を習得し自信がもてるようになると言います。
カウンセリングでは、子どもの困った行動のほか、子どもの心身の症状も含めて、気がかりなことについてのご相談をお受けしています。親と子どもとの相互関係づくりのお手伝いができればと願っています。お気軽にご相談ください。
※参考文献:Kristina Konnath「Parent-Child Interaction Thrrapy-Adaptation」
(2013年1月号 ニュースレター特集より)