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FLCスタッフエッセイ

2011.10.10 トラウマ
市民の力~被災地に心を寄せる人々

西 順子

 東日本大震災から7カ月が過ぎた。春、夏が過ぎ、秋も終わり、もうすぐ冬を迎えようとしている。この間、自分に何ができるのか・・自分なりに模索してきたが、結局は自分を落ち着かせ(過覚醒と無力感との間で揺れていて、やっと落ち着いてきたのが夏頃か)、自分の持ち場の責任を果たすことでやっとのことだった。日常を超えることはできず、日常のなかで「できることを」と思ってまず始めたのが、ツイッターである。

 支援者関係のメーリングリストからツイッターやfacebookを利用して情報交換をし、支援しようとしている人々がいることを知った。大阪にいながらも何かできることがあればと、ツイッターに登録してみることにした。
 ツイッターでは、新聞やテレビでは報道されていない被災地の様子や人々の生の声が聞こえてきた。そして、被災地の支援をしようとしている一般市民の方がこんなにたくさんいるんだということを知った。インターネットを利用して、支援システムができていく様子も、ITに弱い私はただ感嘆するばかりだった。例えば、被災地の経済復興のために、被災地のお店で物を購入して、被災地に届けるという、そんなシステムを作られた方々もいる。しかも、被災地で必要とされているけれど、個人1人では高価で買えないものも、「共同購入」という形で、一口3000円程度で購入できるようになっていた。また、物の支援だけではない、子ども達に遊びや遊び場を提供したりしようというグループもたくさんあった。

 女性の立場から特に印象に残ったのは、女性に<物づくり>の仕事を提供し、支援しようとする取り組みだ。2011年5月に「大槻復興刺し子プロジェクト」が立ちあがった(現在はNPOと有志で運営)。そして、最近知ったのが、<ふんばろう東日本支援プロジェクト>の活動の一つ「ミシンでお仕事プロジェクト」。これも、ミシンを送って被災地の女性達に元気になってもらい、仕事を見つけてもらおうというもの。私もずいぶん昔になるが、若い頃は物づくりが好きだった。手芸、編み物、ミシンで服を作ったり、出来栄えに関係なく、自分のオリジナルを創作するのが楽しかった。なので、手づくり、物づくりの楽しさと、それが仕事になり、収入になるという喜びと、また皆で一緒につくるというコミュニティでの人とのつながり・・が生まれる、そういうシステムづくりを思いつかれ、それを仕事としてシステム化していける人々の知恵が凄いなと思う。

 一方では、表にはでにくい暴力の問題に取り組むため、被災地での女性や子どもへの暴力防止のために活動するグループもある。「震災後の女性・子ども応援プロジェクト」では、暴力防止のための安全・安心カードを作成・配布したり、女性や子ども向けの支援物資を届けてきた。災害直後の暴力予防活動は10月末で終了し、今後は、東日本大震災女性支援ネットワークのチームの一つとして活動していくと言う。

 被災者の視点、そして女性や子どもの視点にたち、市民レベルで、さまざまなプロジェクトが立ち上がり、中長期的な支援へとつなげていこうとする努力には、本当に頭が下がる思いである。

 ただ、私にできることは、1人の市民として、自分の枠内で支援物資を購入すること、ツイッターでその情報を他の人にも知らせ、知ってもらうこと。そして、被災地のことに「関心を持ち続けること」。阪神大震災の時は、当初の支援の取り組みの後、関わらなくなってしまった・・という思いが残っている。なので、まずは「関心を寄せること」は続けていきたいと思っている。刺し子で創ったコースターは、研究所の本社で使わせて頂いてるが、直接支援は何もできないけれども、刺し子のコースターを見て触れることで、作られた女性たちのことをふと身近に感じる瞬間がある。
 
 先日、ツイッターで「一度現場を見に来て下さい」と呼びかける支援者の方の声があった。その言葉に、少し心が痛んだ。今もその言葉は心に残っている。実際に見て初めてわかることがたくさんあると思うし、行かなければわからないことがあると思う(それは南京を訪問して実感したこと)。いつか行くことができればいいなと願う。何かのご縁でつながりができれば・・と思いながら、今は一市民としてできることを、細いながらも長く続けていければ・・と思う。被災地に心を寄せる人々、その声を伝えてくれる人々と、細くだけれども長く・・つながっていければと思う。
 
 市民の手で、素敵な素晴らしい取り組みがされています。私が知るのはそのほんの一部ですし、皆さんも既にご存じかもしれませんが、ご紹介させて頂ければと思います。

大槻刺し子プロジェクト http://osp2011.web.fc2.com/index.html

ミシンでお仕事プロジェクト http://fumbaro.org/about/project/machine/

※この他にも、<ふんばろう東日本支援プロジェクト>では、「ハンドメイドプロジェクト」「おたよりプロジェクト」「ふんばろうエンタメ班」など、さまざまなプロジェクトが立ち上がっています。

震災後の女性・子ども応援プロジェクトhttp://ssv311.blogspot.com/2011/10/blog-post_27.html

(2011年10月)

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