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所長のブログ~ただ今修行中

2021.09.17 グループ/講座
9月の女性のトラウマ読書会~『DVにさらされる子どもたち』を読む最終回

台風が接近しています。大阪の空も暗く、風と小雨に身構える心地です。どうぞ無事に過ぎ去ってくれますように。

さて、先日12日日曜日は、女性のトラウマ読書会前期の最終回でした。前期はバンクロフト氏らの翻訳書『DVにさらされる子どもたち~加害者としての親が家族機能に及ぼす影響 』を読み進めてきました。
今回は、最終章の第9章「加害者の親としてのあり方について専門家の対応を改善する」を読みあいました。

9章では「加害者の親としてのあり方が改善されれば、被害女性と子ども双方の情緒的安定や身体的な安全を促進する手助けとなり、長期的には加害者本人の生活の質も改善されることにつながる」と、専門家それぞれに向けた具体的な助言としてまとめられています。

具体的には、①子ども専門のセラピストや家族療法家、②親権評定の担当者、③家庭裁判所、④児童保護機関や裁判所、⑤親教育の担当者、⑥心理テストや精神鑑定の担当者、⑦加害者プログラム、⑧被害女性プログラム、⑨監督つき面会センター、⑩家事事件専門の弁護士および弁護士、に向けて提言しています。
この章を読んで母子の安全と回復を支援するためには、いかに地域社会全体での共通理解と対応、連携が必要なことかを認識しました。

ここでは、すべての専門家にあてはまる共通する基本原則を紹介します。
第一に「DVが家族の相互関係のパターンに与える影響について認識しなければならない。・・家族関係の力学の高度な分析を可能にするためには、虐待に関連したトラウマや外傷性の絆に関する文献に通じる必要がある」、
第二に「加害者のパートナーに対する行動それ自体に、加害者の親としてのあり方についての重要な情報が含まれている。母親への暴力は、加害者の親としての行動の一環として理解する必要がある。」と言います。

その他、有効な原則に「子どもの安全を確保する最善の方法は、母親自身の安全を増大させることにある」もあります。
また「ジェンダー・バイアスは今なお、DVケースにおける現場での誤りを助長する問題である」と思い込みや偏見についても指摘しています。「どの専門家も『DVにさらされた子ども』ではなく『加害者にさらされた子ども』という表現を使うべき」と強調しています。

今年前期は、バンクロフトさんの研究や活動実績からたくさん学ばせて頂きました。
今回は特に、家族の「力学」を理解、分析する視点を養う一歩になったなと思います。
加害者が子どもに及ぼすリスクは、別居・離婚後にむしろ増大する可能性があることがわかっています。各専門家や専門機関では、別居・離婚後に母子の安全を最優先に、中長期的な支援対策ができるようにと願うところです。

さて、読書会の後期は、11月から全5回で開催します。
後期にとりあげる本は、バンクロフト氏&パトリッシ氏共著『別れる?それともやり直す?~カップル関係に悩む女性のためのガイド』です。バンクロフト氏著書第二弾!

カップル関係に悩む女性をよりよく支援できるように、まずは私たちが女性として、支援者として、学ぶことができればと思っています。
詳しくは、9月末頃にご案内予定です。関心のある支援者の皆さまのご参加をお待ちしています。

〔関連情報〕
DV相談プラス(電話、メール、チャットでも相談できます)
その他、女性への暴力・相談窓口一覧(内閣府HPより)→★



ローズ色のトルコ桔梗。秋らしい色合いにトキメキます。
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