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所長のブログ~ただ今修行中

2020.03.16 講師活動
援助者の二次受傷とセルフケア、講師を務めさせていただきました


先週3月11日は、兵庫県明石市の男女共同参画センター女性相談員さんの研修にて、講師を務めてさせていただきました。テーマは「援助者の二次受傷とセルフケア」。

当日は少人数にも関わらず、とても広い部屋をご用意くださり、明るい陽射しのなかお花や音楽でお迎えくださり、参加者の皆様方の温かいお心遣いにほっこりと癒される気持ちになりました。

二次受傷とは、トラウマ被害者/サバイバーと関わる援助者が間接的な形でトラウマの影響を受けることです。
被害者に共感的な関わるほど他者に起こったトラウマによって援助者自身が傷つき、影響を受けてしまうことが研究で明らかになっています。

今回の研修では、援助者という仕事に含まれるリスクを認識し、予防と治癒ために意識的な努力をすること(セルフモニタリングとセルフケア)について
お話させて頂きました。

セルフケアの一つとして「支持的な職場環境」はとても重要ですので、少しでも皆で体験を共有できれば・・とグループの時間がとれるよう努めましたが、2時間はあっという間・・でした!

研修最後は、時間がきたことを名残惜しく感じながら、援助者同士少しでも共有させていただけたことに感謝しつつ、皆様の益々のご活躍とご健康を祈りました。


今回の研修の準備の過程で改めて自分自身を振り返りましたが、こうして長い年月、女性ライフサイクル研究所での臨床を続けてこられているのも、周囲の皆様からの温かいご支援があってのことと、改めて感謝の気持ちを持ちました。本当にありがたいことと感謝いたします。

2月より、新型コロナウイルスへの対応で、誰もが皆様々なストレスを感じ、心身ともに疲弊していることと思います。
互いに支えあいながら、この状況を乗り越えられたらと思います。

皆様もどうぞセルフケアを大切にし、ご自愛くださいませ。

この日はいいお天気。明石海峡、明石海峡大橋を見るのが大好きです。素敵な景色を見て、元気をもらいました!
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2020.03.10 トラウマ
3月の女性のトラウマ読書会は・・

昨日は3月のトラウマ読書会。
今回は新型コロナウィルスへの対応として、担当スタッフ3名でSkypeを使って行いました。
初の試みでしたが、今回が最終回となるので、実施できたことに安堵しました。


2年かけて読み進めてきた『生きる勇気と癒す力~性暴力の時代を生きる女性のためのガイドブック』、
今回は本書の最後「訳者あとがき」「被害者を支えるまなざしとは-新装改訂版あとがきにかえて」「被害当事者が語る意味-解説にかえて」を読み、感じたことや印象に残ったことを語り、聞きあいました。

あとがきでは、新装改訂版が刊行されるまでの経緯や思いが綴られています。本書は日本で初めてできた女性サバイバーのグループメンバーにより、7年の歳月をかけて翻訳され、そして刊行後一年足らずでの入手困難となるも、7年後に新装改訂版として復刊されるに至ったのですが、本書の出版を待ち望む人々の声、応援によってこうして本書が再びこの世に出ていることが本当に素晴らしいこと、尊いことと思いました。

訳者あとがきから、女性たちの思いが伝わり、胸に響きました。たくさんのサバイバーの声から生まれ、待ち望まれ、翻訳された本書から、サバイバーの魂の声を聞かせてもらったように思います。

本文はかなりのボリュームがあるので、最初から一人で読もうと思うと圧倒されるかもしれませんが、そんな時はまず最後の「訳者あとがき」から読んでみるのもお勧めです。

本書は、虐待から回復するためには何が必要か、自分を癒すとはどういうことか、それによって人生はどう変わるかなど「癒し」に焦点があてられいています。癒しの過程、具体的にできること等、とても丁寧に紹介されているので、目次をみて、関心のあるテーマから読んでみるのも役に立つと思います。

「誰もが自分自身の人生の専門家」であり、自分の感覚を信頼していいこと。

著者が伝えてくれたこのメッセージを大切に、カウンセラーとしての自分を絶えず振り返ることに努めたいと思いました。

次年度の読書会の予定はまた改めてご案内させていただきます。

            温かくなり、一週間でヒヤシンスが咲きました!

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2020.02.21 トラウマ
子どものトラウマとケア、講師を務めさせて頂きました。

先週16日の日曜日、滋賀県で開催されたスクールカウンセラー研修会にて「子どものトラウマとケア」をテーマに講師を務めさせて頂きました。

今まで「DV家庭で育った子どものトラウマとケア」や「性的虐待」については講師の経験がありますが、「子どものトラウマ」に焦点をあてるのは初めてこと。
私で少しでもお役に立てることがあればと、これまで学んできたことや経験したことを整理し、お話させていただきました。

もっとも大切な「安全」をキーワードに、トラウマ・インフォームド・ケアの視点にたち、ACE(小児期逆境体験)研究、子どものPTSD、慢性的トラウマについて、そして子どもと安全につながるために、神経系への影響、レジリエンスを育てるARC(アタッチメント・調整・能力)の枠組みなど、エクササイズと共に紹介しました。

どんにふうに受け止めてくださるか・・とドキドキでしたが、臨床心理士の先生方が熱心にご参加くださり、熱意と真摯な姿勢に私自身もとても学ばせて頂きました。子どもに心を寄せて学校現場で果敢に取り組んでおられる姿に、心から尊敬の気持ちを持ちました。

研究所においても、トラウマケアの三段階(第一次予防~第二・第三予防まで)に応じて対応できるよう、スタッフ一同研鑽を積んでいきたいと思います。

貴重な機会をいただけたことに感謝いたします。

 緑の蕾が一週間で赤く色づきました。植物の成長に癒されます♡
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2020.02.10 トラウマ
2月の女性のトラウマ読書会は・・

昨日日曜日の午後は2月のトラウマ読書会。
寒さは厳しいですが明るい日差しに和みながら『生きる勇気と癒す力~性暴力の時代を生きる女性のためのガイドブック』「第5章 真実を見すえる-サバイバー攻撃に応えて」を読みあいました。

本書の初版は1988年、1994年の第三版改訂版で「第5章」が加えられました。第5章では1992年から始まったバックラッシュ(性的虐待記憶をめぐる論争)を、著者は多くの文献や情報をもとに分析し、歴史的政治的な文脈で見直しています。そして、サバイバーが自分自身の感覚、身体、記憶を信頼し、癒しに取り組めるようにと、積極的に敬意をもって前進する指針を示しています。

5章は読みながら真に迫るものがありました。たくさんの文献や情報を冷静に分析しながら、サバイバーが傷を深めないよう「一番大事なのは自分の気持ち、要求、そして選択です」と力強くエンパワメントし続ける著者に、深く尊敬の念を抱きました。

最後の項目「将来の展望」では「社会が子どもの安全とすべてのサバイバーの癒しに向けて闘いつづけるか、それとも集団的否認に屈し、再び真実を葬るか。私たちはその岐路にたたされている。虐待された子どもや大人のために、そして現在進行中の虐待をくい止めるためにも私たちの責任を再確認しましょう」と言います。

バックラッシュは2000年代に急速に終息したそうですが、わが国ではどうでしょうか・・。

2020年は刑法性犯罪の見直しの年、性暴力被害の実態に即した刑法改正の実現を目指し、全国各地でフラワーデモをはじめ様々な活動が起こっています。性的安全、そして人権が守られる社会の実現を心より願います。

来月、本書の読書会は最終回を迎えます。関心のある皆様のご参加をお待ちしています。→詳しくはこちら

         暦の上ではもう春。梅が咲いています!
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2020.01.22 トラウマ
2020年1月の女性のトラウマ読書会は・・

1月12日(日)は今年最初の女性のトラウマ読書会を開催しました。

『生きる勇気と癒す力~性暴力の時代を生きる女性のためのガイドブック』、今月の読みあいは「第四章サバイバーを支える」の「パートナーへ」の箇所でした。結構なボリュームですが、パートナーだけでなく、サバイバーの家族やサバイバー自身にとっても役立つものとなっています。

「子どもの頃の性的虐待の癒しに取り組んでいるサバイバーのパートナーであることは、苦悩と恩恵の両方にあずかること」と著者は言います。癒しに積極的に取り組む人と共に過ごすということは成長しあえる関係を持つということ、そして、パートナー自身にとっても自分の内面を見つめ内的成長を促す機会ともなり得るのです。

そのためには、パートナーを支える支援も必要です。サバイバーを支えるパートナー同士の集まりのなかで、パートナーが感情を分かち合い、2人の苦難の時期を乗り越えようとしている様子に、感銘を受けました。本書では、2人が直面している問題の原因は「相手にはない」ということを理解し、味方どうし手をつないでいくための知恵やさまざまな工夫を授けてくれています。サバイバーを支えるパートナーや家族には、ぜひご一読をお勧めします。
小見出しは下記のとおりです。

恩恵
個人攻撃ととらない
羞恥心を乗り越える
支援を得る
味方どうしで手を繋ぐ
コミュニケーション
痛み、悲嘆、抑うつとどう付き合うか
管理欲求
信頼
真の虐待者はだれ
サバイバーの家族
性の感性
この関係を続けたいか/離別/別れないとしたら
強くてすてきな絆

昨年12月は「カウンセリング」「サバイバーを支える家族へ」を読みあいました(ブログはお休みしてしまいました)。
来月は「真実を見すえる~サバイバー攻撃に応えて」です。

二年かけて読みすすめてきた本書もあと2回、2月と3月で読み終えます。

関心のある方はぜひご参加くださいませ。→詳しくはこちら

こちらのシクラメンの鉢、2年ぶり?今年は開花してくれそうです!
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2020.01.08 日々のこと
2020年仕事はじめ

2020年1月6日月曜日が仕事はじめ。

一週間お休みだった研究所は冷え切っているのでまずは部屋を温め、草花に水をあげることから今年の仕事がスタートしました。次の日、火曜日夜はスタッフの会議はじめ。スタッフが顔をあわせて昨年の振り返りや新年の抱負をシェアしながら、いつものカンファレンスを行いました。

今年は女性ライフサイクル研究所創立から30年。30年・・というと長いようであっという間にも感じられます。
この30年という節目の年を大切に思い、感謝しながら、思い出に残る一年にできればいいなと思います。

2020年が皆様にとっても希望にあふれる一年となりますよう心よりお祈り申し上げます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

今年もガーデンシクラメンがたくさん咲きました。その生命力に力づけられます!IMG_5780 (2).jpg

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