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FLCスタッフエッセイ

2015.08.06 子ども/子育て
思春期の子どもの成長を支える~「バケモノの子」を観て思い巡らしたこと

                                                    西 順子


先日、今公開中の映画『バケモノの子』を観ました。バケモノの世界に飛び込んだ少年、九太(きゅうた)と、師匠のバケモノ、熊徹(くまてつ)とが共に成長していく物語。未来を生きる子どもたちへの温かい眼差しと、子どもの成長を応援する深い愛を感じる映画でした。この映画を観て、思春期の子どもと親・大人との関係性について、そして「愛とは何か」を考えさせられました。子どもの視点、親の視点から思い巡らしたことについて書いてみたいと思います。

■映画を観て

少年と父親代わりの熊徹との関係性は、子どもの視点にたってみると「こんな大人がいてくれるといいよなぁ」と理想的です。子どもと一緒にとことんつき合い、向き合う熊徹は、子どもにとって頼もしい存在だろうなと羨ましく思いました。


親の視点にたってみると、思春期になった子どもが変化し反発すること(=自立していくこと)への戸惑いや寂しさ、でも最終的には子どもを認め、後ろに引いて子どもを手放そうとする熊徹に、愛するが故の切なさを感じました。物語の最後、熊徹が表現した愛は、想像を超えていましたが・・(ネタバレにならないために書けませんが、涙があふれそうになりました)。


今の時代にあっては、子どもが成長していくためには、親でなくとも、熊徹のように子どもと体験を共にし、向き合い、愛をストレートに子どもに手渡してあげられる大人の存在が必要とされているのだと思います。


一方、九太と熊徹の関係性と対照的に描かれている親子が、一郎彦(いちろうひこ)とその父親の猪王山(いおうぜん)。猪王山も一郎彦を大切に思い愛しているのですが、その関係性は全く違うものでした。一郎彦と猪王山の関係性は「心の距離感が遠く」、子どもの疎外感と孤独が伝わってきました。そして親も子も、どちらも「本音」が見えずに隠されていました。そこには現代社会における父子(特に父と息子)の関係性が象徴されているように感じました。



■思春期の子どもの成長を支える


大人は子どものためを思い、子どもを愛する気持ちで、大人がよいと思うことを与えます。そして子どもは疑問なくそれを受け取り成長します。
しかし思春期を迎えるとき、子どもは親から受け取ってきたもの(価値感)に疑問を感じ、反発し、それを壊そうとするものです。そして「自分とは何か」を探求し、試行錯誤し、自分の価値感を構築していこうとします。それは親を客観的に見れるようになるからこそできることであり、親離れであり、自立へのプロセスで、それが思春期の子どもの仕事です。


しかし、親からみると「以前はいい子だったのに、どうしてこうなってしまったの?」「今まで子どものためを思って、ここまでしてきたのに・・」と、受け入れがたい気持ちになったりします。
しかし、子どもの人生の主人公は「子ども」です。といっても、まだ子どもから大人への過渡期。子どもが思春期の課題を乗り越えていくには、成長を支えてくれる親、大人の存在が不可欠です。かといって今までと同じ関わりでは役に立ちません。


思春期を迎えた子どもが成長のために必要としているのは、「大人が誠実に、本音で、ありのままの自分と向き合ってくれること」、そして「子ども扱いせずに対等に関わってくれること」です。そのことを、『バケモノの子』を観て再確認させられました。


「思春期の子どもをごまかさない」姿勢が大切なのです。嘘、ごまかしは子どもの信頼を損ねます。子どもが大人を信頼できることが必要で、他者を信頼できることは自分を信頼することとつながるのです。

■思春期の子どもと向き合う


思春期の子どもの心に寄り添いたいとカウンセラーを志してから早30年が過ぎました。そんな私のカウンセラーとしての原点を思い出させてくれた映画でした。これからも、一人の大人として、子どもと向き合い、親や家族に寄り添うことができれば・・と思います。


女性ライフサイクル研究所では、不登校、引きこもり、摂食障害、うつ・不安、いじめ、デートDV、暴力被害・・など、思春期の子どもと親への心理的援助(カウンセリング)を提供しています。子どもが未来に希望をもって歩めるよう子どもの伴走者となりながら、親御さんには、子どもの行動の意味、コミュニケーションの取り方や関わり方を共に考えていければと思っています。


子どもと大人、子どもとコミュニティ・社会とをつなぐ「橋渡し」となれればと願って・・。

お勧め図書:
『思春期の危機と子育て』村本邦子・前村よう子著、三学出版。
『プレ思春期をうまく乗り切る!大人びてきたわが子に戸惑ったときに読む本』村本邦子著、PHP研究所。


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