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FLCスタッフエッセイ

2008.04.12 ライフサイクル
新車がやってくる!

村本邦子

 人の心は移ろいやすいもの。「自分は一生、絶対、やらない」と思い込んでいたのに、やるようになったってことがあるものだ。私の場合、ふたつある。ひとつは運転、ひとつはピアスだ。

 昔々、プレイセラピーでかなり長い間、おつきあいしたアスペルガーの女の子がいた。愛ちゃんというが、よく、「先生、運転しないの?運転しないと、大人になられへんで」と言われたものだ。愛ちゃんが住むところは、1人一台、車を持っているような地域だったので、大人はみんな運転していたのだと思う。なぜか、自分は一生、運転することはなかろうと思い込んでいた。

 ところが、どういうわけか、たまたま住むことになったところの駐車場が抽選で当たり、使うか使わないかという状況が訪れ、駐車場を使えるということは、かなり困難で特権的なことだということがわかったので、何を考えたのか、突然、運転免許を取ることにした。ちょうど息子が生まれたばかりで、同じく免許を持っていなかった夫と2人で、託児つきの教習所へ通い、苦労して免許を取った。

 子どもたちが小さかった頃は、よく車を使っていた。童謡をいっぱいダビングして、みんなで声を合わせ、繰り返し繰り返し歌いながら、あちこち旅行したものだ。子どもたちが学校に上がると、めっきり運転しなくなった。もともと、夫も私も運転が得意な方ではない。加えて、私は救いようのない方向音痴。迷いながら運転するので、危なっかしくて仕方がない。必要がなくなったこともあり、それから、まったく運転しなくなった。

 正確に言えば、ほんの一時期、なぜか急に運転できるような気がしてきて、運転し始めたことがあった。和歌山に二泊三日の旅行をした。帰る直前までスムーズにいって、かなり自信を持ち、「これからも時々、車で旅行することにしよう」と思ったのも束の間、環状線を降りるレーンを間違えて、あちこちからクラクションを鳴らされ、かなり恐い思いをした。それで、急に自信がしぼんで、再び運転しない状況に戻ってしまった。

 その頃、思っていたことがある。「運転できる」という感覚は、なぜか「自分が一人前の大人である」という感覚に近い。「愛ちゃんが言っていたことは、まんざら間違いでもないな」と時々、懐かしく思い出す。他の人はどうだか話したことがないので、もしかすると、これは、私だけの感覚かもしれないけど。私は、長い間、自分が大人であるという感覚を持てずに生きてきた(いまだに、とっても子どもっぽいところがある・・・)。大人の感覚は、初めて自分名義のクレジットカードを作ったとき、確定申告をするようになったとき、被扶養者でない健康保険証を持ったとき、少しずつ増えていった。運転も、明らかに、この延長線上にある。

 この春、生まれて初めて、外国でレンタカーを借り、自分で運転しながら旅をした。パックツアーでなしにハワイ島を旅しようとすれば、レンタカーを借りる以外に選択肢がないため、決死の覚悟だったが、ハワイ島は車も少なく、道もシンプルで、運転は快適だった。すっかり大人になった気分で、自信をつけて戻ってきたところ、なんと、留守中、夫が息子の引越しをしてやって、壁に当ててしまい、車は相当に悲惨な状態になっていた。修理すると50万かかるということで、いつもながら、いきなりだが、20年近く乗ってきた愛車を手放し、新車を買うことにした。

 子どもたちが大学を卒業したら、カーナビつきの新車を買って、あちこちの温泉地を旅して回るというのが私の夢だったが、なんと急な展開で、夢が実現することになった。ドキドキ・・・。新車は連休明けに来る予定だが、これからは、時々、運転して回るとしよう。今では、大人の感覚をもてないということはすっかりなくなったが、これで運転するようになったら、いよいよすっかり大人になれるような気がする。たぶん、最後のイニシエーションだ。

 「一生、やらないだろう」と思っていたはずのことが、いつのまにか当たり前のようにやることになる。人生とは不可思議なものだ。

(2008年4月)

2007.04.10 ライフサイクル
棚の整理は心の整理

西 順子

 年が明けたかと思うと、あっという間に4月を迎えた。桜の開花とともに春を感じるが、春の季節は、心の「春」を感じる時でもある。心の「春」とは、生命力、新しい成長に向かう力を感じ、新しい影響と変化を受け入れることである。

 研究所が設立して16年半。この間に引越しが2回あったが、現在の場所にきて5年がたった。引越しの機会は、物を整理する機会でもある。しかし、5年もたつといつの間にか、いろんな物がたまってくる。物が増えるのは家も仕事場も同じだ。最初は広く感じた本社の部屋も、随分手狭に感じるようになり、心機一転、3月は、物の整理・棚の整理をしようと思いたった(自宅の場合もそう。突然、むしょうに片付けたくなる時がある)。

 3月中には終わらせる予定が、4月に食い込んでしまったが、いつの間にかたまった諸々の物を、何が必要か不要かと選択しながら、仕分けし直し、ファイリングし直し・・、徐々に部屋や棚がすっきりと片付いていっている。なんて、気持ちがいいんだろう!

 もちろん、1人でできるはずはなく、スタッフの協力を得て、日々の仕事の合間に、手伝ってもらっているが、スタッフがさらに整理のアイデアを出してくれて、どんどんと整理をして片付けてくれるので、とっても有難い。ファイルには、分かりやすくテプラで打った見出しもつけてくれた。「大きなカブ」のお話のように、1人でできないことも、皆の力があわせられれば、思いもよらない力が発揮されるものだ・・と、力を合わせることの感動も、じんわり体験させてもらっている。

 なかには、10年も前の講演会の時のスタッフの写真、その子ども達の写真も出てきた。子ども達の、なんとかわいいこと。私も、若いスタッフから「若い~」と言われて、月日のたつ早さにしみじみ~となった。思わず、アルバムを見てみたくなったが、見ていると時間がない。それはまたいつかのお楽しみにして、一番端の棚の奥に閉まっておいた。

 新たな年度を迎えるために、棚の整理をしながら、心の棚卸しも一緒にしているように思う。物が整理されていくと同時に、心も整理されていく。片付けや整理の作業は、自分の心を静かにするときであり、自分自身の内面に精神を集中するときである。心の棚卸しは、心に「平安」をもたらしてくれる。私にとっては、そんな意味もある。

 綺麗に、機能的に仕事がしやすくなった研究所で、心新たに「春」の気持ちで6年目を迎え、仕事に精を出していこう~。

(2007年4月)

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