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FLCスタッフエッセイ

2015.08.20 こころとからだ
日々のほのぼのエピソード探し

 福田ちか子

 

ある日,電車での移動中に、心があたたかくなるような二つの場面に出会った。

 

 一つ目は、とある駅で、4歳くらいの男の子とそのお父さんが乗車してきたときのこと。お母さんが一緒じゃなくて電車に乗るのが初めてだったのか、初めてお出かけする先だったのか、男の子はとても不安そうな顔で、ドアが閉まって電車が動き始めると、「お母さぁぁぁぁん」と声を上げて泣き出した。迷惑そうなものから心配そうなものまで、乗り合わせた周囲の人々の視線は、様々だった。

 

 お父さんがかがみ込んで、「もうすぐ着くよ、大丈夫」「怖いなぁ~、よしよし」と、ゆっくり声をかけると、男の子は、お父さんにしがみついて、少しずつ泣き声を収めていった。電車が駅に停まり、開いたドアが再びしまって動き出すと、また込み上げるように「お母さぁぁぁぁん」。お父さんが「よしよし。怖いな~」。

 

 三駅目の手前で、お父さんが「よしよし。(降りるの)次やで」と声をかけると、お父さんにしがみついていた男の子が顔を上げて「とうちゃく?」と尋ねた。お父さんは頷いて「頑張ったね~」。そうしている間に電車がホームに入ると、男の子は泣き止んで、心なしか得意そうに涙の跡を残した顔で、お父さんと手をつないで降りていった。

 

 みている側には、ローカル線でたった三駅分の、あっという間の出来事だったけれど、男の子にとっては大冒険だったに違いない。「ちょっとの間我慢しいや!」などと大人の物差しで測らずに、でも抱きかかえたりして大冒険を台無しにすることもせずに接していたお父さんの姿も印象的だった。あの男の子は、頑張れる自信がついたことだろう,とほっこりした。

 

 二つ目は、車椅子にのった高齢の男性がホームで電車に乗り込むところで、その妻とおぼしき高齢の女性と、白いシャツと背広のズボン姿の男性が二人、乗り込むのを手伝っていたときのこと。二人の男性の姿から、駅員さんだとばかり思い、ホームでよくみかける光景だなぁと思っていたら、乗り込みを手伝い終えると、男性二人は老夫婦に会釈し、それぞれにカバンを抱え、慌てて別々の改札口の方へと走って行ってしまった。どうやら駅員さんではなかったらしい。仕事で急ぐ足を止めて、手を貸していたのだと思うと、ほんのりうれしい気持ちになった。

 

 思いがけずあたたかい場面に居あわせて,ほんのりと心が動かされる心地良い感覚を味わうことができた。

 

 たくさんの情報が、いろいろなメディアから流れている今日この頃。より多くの人の注目を得ようと競う結果か、ワイドショー的な要素が強いもの程,どれだけ異常かということが強調されている風潮が目立つ。一つ一つを真剣に受け止めると、気分が落ち込むなどの影響がでそうなぐらい、刺激の強いものも多い。

 

 深く考えないようにしてそれらをやり過ごすことや、見ないように好きな物事に没頭する、ということが無意識のうちに習慣になっていて,心が動かされる感じを忘れがちになっていることがあるのではないだろうか。

 

 そんな時,ほのぼのするエピソード探しをしてみると,心地よく心が動かされる感覚を思い出すことができるかもしれない。

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