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トピックス by村本邦子

2014.09.10
お話の力

 8月末、丸森で開催された「宮城民話の学校」という2泊3日の合宿に参加した。レジリエンスモデルで東北を見た時、際立って見えてくるのがお話の力だ。2011年11月、遠野を訪れて「物語る力」として書いたことがある(/muramoto/2011/)。語り継がれてきた民話は、先祖たちからのメッセージであり、苦難や回復の物語を含む宝でもある。避難所から来てくださった語り手さんたちを囲んで、地域のお話や被災のお話を聴いた。語り手と聴き手の呼吸が合うにつれ、場の凝集性が高まり、エネルギーが高まっていくのがわかった。とても良かったオマケの体験は、夜、同室になった遠野の語り手さんから寝物語を聞かせてもらったこと。子どものような気分で幸せに眠りについた。最終日はフィールドワークで、被災された地元の語り手さんたちにガイドをして頂いて、福島県新地町、宮城県山元町、名取市閖上を回った。 

 9月頭、今度は、長く「宮城民話の会」をまとめてこられた小野和子先生をお招きして、お話をお聴きした。45年も前から、宮城の各地を回ってお話を聴き集めてこられた方だ。最初のお話との出会いや経過のエピソードそのものが、また新たなお話となっているようだった。実は、震災の年、第7回目宮城民話の学校を予定していたが、会場自体を流され、お仲間たちも何人かは海の向こうへ行ってしまわれて、いったんは断念したものの、生き延びた語り手たちが互いの消息を確かめ合うなかで、あらためてお話の力を感じ、「被災の体験を語り継ごう」という企画として実行されたそうだ。何もなくなってしまっても、人が残れば、お話が残る。人の体のなかで、お話は語られ、聴かれるのを待っている。ひとたび口が開かれると、そこには別空間が広がっていく。この話は、東北記録映画三部作のなかの『うたうひと』に収められ、せんだいメディアテークでは、「民話 声の図書館」をスタートしているという。 

 今年は10月の多賀城でのプロジェクトに「多賀城民話の会」の方々を招いて、地元のお話を聴く企画を入れてみた。新しい出会いや新しい動きにつながっていくといいなと願いながら。

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