- 2006.12.18
- 2006年12月 情報は力なり
つい先日、NPOのDV子どもプロジェクト主催で、オンタリオ州カナダ・ロンドンにあるCCFJS(The Centre for Children and Families in the Justice System)より、リンダ・ベーカーさんとアリソン・カニングハムさんをお招きし、囲む会を開催した。CCFJSは、DVと子どもに関して世界最先端を行く機関であり、私自身は10年程前から注目していたところだけに、なんだか感慨深いものがあった。それを聞いてリンダさんたちは、逆に驚いておられたけど。
ようやくインターネットが普及するかしないかの頃、まだ数少なかったこの分野について調べていて、思春期向けの非暴力プログラムがあることを知り、CCFJS(前はファミリー・コート・クリニックという名前だったけど)につながった。聞いてみると、そのプログラムは三万五千円もするというので、泣く泣くあきらめた記憶がある。4年ほど前にも、DVの影響を受けた子どものプログラムを送ってもらうために、何度か直接、電話した。
このたび、リンダさん、アリソンさんを招くにあたって、HPを中心に下調べをしていて驚いたが、おそらく私が電話した頃に大規模な組織の再編成をしていたのだろう。今や、ものすごい情報源となるHPを公開していた。最新情報満載の本がたくさん、無料でダウンロードできるようになっているのだから驚きだ。「なんと太っ腹!」と感激したが、考えてみれば、つまらない額の印税をもらうより、こうした方が、たくさんの人に情報が届き、ずっと意味のある貢献ができるだろう。
15年ほど前、それこそインターネットもまだない時代、私にとって、性被害に関する貴重な情報源は、カリフォルニアから送られてくる"Healing Woman"という月例のニュースレターだった。そこに出ている書評など見て、洋書を注文していたものだ(当時は、紀伊国屋に注文すると、手元に届くまでに、半年かかった)。ニュースレターに「情報は力なり」というコーナーがあって、サバイバーに役立つ情報が紹介してあった。「情報は力なり」とは本当にそうだと妙に納得しながら愛読していたことを覚えている。「力/パワー」には善いものと悪いものがある。適切な情報や知識は善い力になり得る。インターネットを通じた情報提供は、いろいろな形でどこかの誰かの力の源になるかもしれない。
しばらく一緒に仕事をしていた立命館の立岩真也さんのHPは素晴らしい。情報満載で、著作権やら何やらややこしいことをギリギリ考慮しながら、可能な限り、自分の書いたものを公表し、誰もが利用できるようになっている。偉い研究者だと思う。自分でやっているというのだから、いったい一日のどのくらいの時間をパソコンの前で過ごすのだろうと、想像するだけで途方に暮れる思いだったが、今回、CCFJSの太っ腹な情報開示を見て、立岩さんのHPを思い出した。そして、自分のところでも、そんなふうにしていければ・・・とにわかにやる気に燃えてきた。幸い、私たちのところでは、杉谷さんという心強い助っ人にHPの管理をお任せしているので、情報整理をすれば良いだけだ。著作権のことなどもあろうが、絶版となった本(とくに女神の本)を無料で公開できないかしら?・・・あれこれ知恵を絞って、もっとお役に立てるHPにしていけたらいいな~と思っている。