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トピックス by村本邦子

2016.04.15
古代ハワイアンの教えに学ぶ

 どの子どもも、生まれた時から、完全な光の器を持っています。光の方を向けば、光はさらに強くなり、何でもできるようになります。さめと一緒に泳いだり、鳥と一緒に飛んだり、すべてを知り理解できるようになるでしょう。でも、他の人をうらやましがったり、妬んだりすると、器のなかに石が入ってきます。そうすると、その分だけ光は消え、弱くなってしまいます。光と石は一緒に入れないのです。光の器に石を入れ続けると、光は消え、その人は石になってしまうでしょう。石は成長せず、動きません。もしも、石でいることが嫌になったら、いつでも器をひっくり返して石を捨ててしまえばいいのです。光は戻り、再び輝き始めるでしょう。 

 これは、モロカイ島に口頭で伝承されてきた古代ハワイアンの教えのひとつで(Willis & Lee, 1986)、ハワイアンの子どもたちや若者を支援する機関で紹介されている。子どもたちに、ココナッツの殻で作った小さな器と蝋燭を渡し、羨望や嫉妬を感じたら石を入れ、石が一杯になって嫌になったら、ひっくり返して石を捨てようと言う。

 教育者・支援者たちには、石でいっぱいの器を抱えた子どもを想像してみるように呼びかける。ひとつひとつの石はその子どもの経験の一部であり、被虐待や非行や薬物から来ているかもしれない。そんな器を抱えているのではどんなに重いことか、それを隠すのはどんなに難しいことか。知らない大人から、それぞれの石を勝手に取り出され、非難されたり、説明を求められたりするのはどんな気持ちがするだろう。本当は光こそがその子どもであり、器を置き、心準備ができたものから石を取り出し、捨てていけるよう時間とサポートを与えることが重要だという。

 このお話が採取されたモロカイ島は、ハワイ先住民の人口が多く、ハワイアンの伝統的文化が今なお多く残っている島で、2月、モロカイの人々のコミュニティのなかで1週間過ごすという幸運に恵まれた。初めて知り合った人々からたくさんのアロハ(今というこの瞬間を共にし、分かち合う喜びを伝えつながること)を頂いた。どうしてこんなに人々は寛大で無欲なのだろうと感嘆したが、元々、古代ハワイアンには所有という概念がなかったのだ。神々から与えられた自然の恵みを分かち合えることに感謝しながら、土地のケアをする。

 それぞれが生まれ持ってきた光が輝きこの世が照らされるならば、どんなに暖かく優しい気持ちで生きることができるだろう。実際には、そんな寛容さに付け込まれ、ハワイは西洋植民地主義に乗っ取られてしまった。今の世界は石ころだらけだ。ハワイ王朝転覆から100年以上過ぎてしまった現在、どんな形で文化を取り戻していけるのか、彼らは苦闘している。すべてはつながっている。私たち自身も、所有と共に境界線(バウンダリー)という概念を乗り越えていかなければと思う。まずは、経済効率優先の価値観を捨てることだろう。すべてはつながっているから、人種的にも多様に広がったハワイアンたちが、どんな形で前に進んでいくのか応援しながら、私たちも学び歩んでいきたい。

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