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トピックス by村本邦子

2014.10.13
避難者たちのこと

 大学でやっている震災プロジェクトの一環で、毎年、きょうとNPOと一緒に、京都でもプロジェクトをやっている。あまり知られていないが、関西にもたくさんの避難者たちがいる。復興庁によれば、2014年7月現在、全国の避難生活者数は31万人、うち約24万人は被災3県にいるが、約7万人は全国に散らばっている。京都には約880人とされているが、実際にはもっと多いはずである。自主避難の母子が多く、今年のセミナーでは「災害時に家族に起こること」として、避難者の体験談を聞かせてもらった。おひとりの方は、夫は故郷に残り、子ども三人を連れて避難してきたが、高校1年生の長男は自分の意志で帰郷したそうだ。仲間関係が重要な自立の時期である。自分の人生を選択した子どもと最終的に子どもの意思を尊重した母親を称えたい気持ちではあるが、母親としての苦渋は推して知るべしである。 

 たまたま「希望の国」を借りていて、台風仕事が休みになった折、観てみると、まさに避難者たちの物語だった。このノンフィクションは、2012年10月には公開されているから驚きだ。園子温監督は、2011年8月から取材を始めたそうだが、2011年3月11日20時50分に避難指示が出たときには半径2 km以内の住人で、だんだん避難指示範囲が拡大し、3月12日18時25分には半径20 km以内、3月15日11時には半径20~30 km圏内に屋内退避、3月25日には自主避難が要請され、4月22日には半径20km圏内が災害対策基本法に基づく警戒区域に設定され、民間人は強制的な退去となり、立ち入ることが禁止されている。 

 映画の中で、主人公小野は、避難指示が出ても、先祖代々の土地に留まる以外考えない。環境を変えることは妻の認知症に良くないし、牛たちもいる。他方、息子夫婦はこれから子どもを産み育てる人たちだからと説得されて、両親を残して避難を決意する。本当に切ない。それでも、この映画には「希望の国」というタイトルがつけられていて、最後には、しみじみとそれ以外のタイトルはないのだと納得するのである。実際、被災地に残って抵抗している人々もいる。警戒区域で、殺処分の対象となった牛350頭余りを飼養している「希望の牧場」については以前紹介した(http://www.flcflc.com/muramoto/index.html)。その後、絵本も出版されている。さらに、この映画で主人公を演じた夏八木勲さんは、膵臓がんの痛みと闘いながらの撮影で、公開前に亡くなられたという。 

 原発事故はまだ終わってなどいない。誰にとっても人事ではないはずだ。再稼働が言われている川内原発も、私の故郷から30Kmである。

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