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FLCスタッフエッセイ

2017.03.05 カウンセリング
カウンセリングの窓から~花をいけること

                                      西順子

 女性ライフサイクル研究所の朝は、花の水替えから始まります。水あげがよくなるよう、茎の先を少し切り、枯れた葉や花を取って綺麗にして、花瓶に入れなおします。

 玄関のお花をメインに、カウンセリングの部屋に二つと、残った小さなお花は他の棚や洗面所に一輪挿しにしています。花をいける行為を通して、物理的にも、精神的にも、クライエントさんを迎える準備が整っていきます。自分自身が凛とする、精神が統一する、そんな時間でもあります。


 玄関に花を飾る習慣は、1994年に天神橋5丁目に引っ越した頃に遡ります。ワンルームから2DKに移りましたが、玄関に下駄箱が備え付けられていました。毎週月曜日に、前所長が予算1000円で新しいお花を購入してきてくれ、いけてくれていました。カウンセリングに来られるクライエントさんをお迎えするために、花をいける。カウンセリングは準備することから始まる・・という心理臨床の心を、前所長から学びました。


 研究所のスタッフとなる前、精神科クリニックに勤務していました。精神科クリニックの朝も、毎日掃除と花の水替えから始まりました。リーダーの精神科ソーシャルワーカーさんが朝からこまめに動き回り、診察室、相談室、待合室など広い場所を綺麗に整えていきます。診察室の机の上には、小さな花瓶にかわいくお花をいけておられました。私も一緒に、先輩についていこうと、見よう見まねで掃除、お花の水替えをしました。ソーシャルワーカーさんからも、患者さんを気持ちよくお迎えするために、その場を整えるという臨床の心を学びました。

 そして今、私も毎週、だいたい予算は1000円で、お花屋さんでお花を買うのを楽しみにしています。他のスタッフも一緒に、朝は花瓶の花の水替えと、鉢植えの水やりなど、場を整えることからスタートします。


 そしてカウンセリングの時間、お花は見るものに力を与えてくれます。お花の色や形、葉っぱの色や形、その自然界の色は、造花とは違う力を持っています。「生きている」という力とでもいえるでしょうか。

 癒し、慰め、和み、優しさ、あるいは、力強さ、生命力、元気、華やかさ、希望・・を、見るものに与えてくれます。部屋にお花があることで、人間はもちろん、その場に力を与えてくれるように思います。

 どんなに素敵なお花でも、最後は枯れるときがきます。それは生きているからこその摂理。花に触れ、花を愛でながら、限りある命について教えてくれる「花」に感謝して、花と共に「生きる」ことを大切にしていきたい思う今日の頃です。


 花をいけるという営みとその心を研究所だけでなく家でも・・と、最近、自宅でも花をいけるようになりました。お花に感謝。

                今週のお花、メインは八重のチューリップ
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2016.07.23 カウンセリング
もう一人の自分の声に支えられて 

                                      西川 昌枝


「カウンセラーをしています」と話すと「人の相談にのれる位なら自分のことも冷静で悩んだりしないのでは?」と何でも解決する能力があるような印象を持たれる事が、た・ま・に・あります。


私は苦笑しながら「いえいえ、、」と答えるのですが、それは謙遜でなくて、実際に自分はどちらかというと悩みの多いほうで、壁にぶつかる度に乗り越えるのに努力が要ったと感じているからなのです。


若い頃は悩みの出口を見つけられず、悪天候が過ぎるのを待つかのごとく、心の嵐が去るのを待っていた姿を思い出します。考えすぎて落ち込んだり、気持ちが苦しくなったとき、自分なりにバランスをとる方法を探し続けてきました。


そんな私に、いつの頃からかもう分かりませんが、しんどいとき、自然にもう一人の自分からのメッセージが頭に浮かぶようになりました。


悩んでいる自分とは違う考えが届き、気付くのです。「できない」「私はだめだ」と考えていれば間髪入れず、「そんなことないよ、できるよ」「どうなりたいの?」と来ます。


できない言い訳の言葉が思い浮かぶと、今度は「自分のペースでやればいいんだよ」「小さい勇気を出そう」「自分の善いところを出そう」「やり直せばいいんだよ」「やってみれば楽しめるよ」「自分で選べるよ」・・・、そして「自分を信じて、大丈夫だよ」「できるよ」「うまくいくよ」「安心して」「大丈夫、怖くないよ」と・・・。


私の頭の中には、こんな風にさりげなく、もう一人の自分から慰めや励ましのメッセージが送られて来ます。その声は、必要なときやってきて私を助けてくれているようです。


受け取るメッセージは、例えるなら「なりたい自分」から優しさが送られてきた感覚です。


それは、今までに与えてもらった助言や解決したくて読んだ本から私の心に残った言葉が、いつしか自分のものとなり、もう一人の声となって、自分で自分を支えるメッセージとして送られてくるようになったのかもしれません。


私自身は、メッセージのおかげで立ち止まれたり、気持ちが穏やかになったり、冷静さを取り戻せている気がします。もう一人の自分の声に支えられながら、日々を過ごしています。

もし、ちょっとした失敗をしてしまって嫌な気持ちになったとき、自分に肯定的な優しいメッセージを思い浮かべてみませんか? 
試してみてもらえたらいいなと思います。

2015.10.14 カウンセリング
トラウマとレジリエンス~カウンセリングで大切にしていること

西 順子

女性ライフサイクル研究所では、1990年の開設以来、虐待、DV、性暴力など女性や子どものトラウマと回復をテーマに、カウンセリングからコミュニティ支援まで取り組んでいます。

カウンセリングに来談くださる方々から、「カウンセリングって何ですか」「カウンセリングって初めてでよくわからないのですが・・」とよくお聞きします。カウンセリングってよくわからないのは当然です。カウンセラーの私には説明責任がありますので、カウンセリングでできること、今後の可能性と限界など、今できる限りの説明をさせて頂きながら、同意のもとで、カウンセリングを進めていきます。

ここでは、カウンセリングをご検討されている方から、自分の生きづらさや苦悩がどこから来るのかわからない、今どうしていいかわからない・・という方まで、自分を理解しエンパワメントすることに役立てば・・と、トラウマのカウンセリングについて、カウンセラーとして大切にしていることをまとめてみたいと思います。

■トラウマのカウンセリングで大切にしていること

カウンセラーとして、トラウマ被害にあわれた方の回復をお手伝いさせていただくとき、大切にしていることが二つあります。一つは、虐待や暴力など自由を奪われ尊厳を傷つけられる体験はどれほど破壊的な影響を与えるか、被害者の視点からトラウマの影響を理解すること、もう一つは、誰にもトラウマを越えて生き抜く力、レジリエンス(回復力)が備わっていると信じ、レジリエンスを引き出し、レジリエンスを強められるようサポートすることです。

■トラウマの影響

被害にあわれた方が自分の生きづらさ、苦悩がどこに起因するかを理解することで、様々な症状は「自分がおかしくなったのではない」「異常な事態での正常な反応」と理解することが可能となります。自分の症状の理由がわかることは、自己否定、自責感、恥意識を乗り越えて、自己の尊厳を取り戻していく第一歩となります。

回復の第一歩は、「被害者であることを受け入れること」とよく言われます。
しかし「被害者である」と受け入れることは難しいことかもしれません。また受け入れるまで、とても時間がかかるものでもあるでしょう。「もっと何とかできたはず」「人に腹を立てたり、嫌悪したりする、愚痴ったりする自分が嫌。そんなことさっさと忘れて、前を向いていきたいのに」「自分が弱いから、もっと自分が強くならないと」「自分さえ我慢すればいい」と考えることもよくあり、それも自然なことです。

しかし、身体は症状や生きづらさとしてさまざまな形で訴えてきます。トラウマ的な状況や苦境を生き抜くなかで、その「傷つき」は、さまざまな症状や対人関係上の問題となって、「もう限界だよ」「これ以上無理だよ」と、声なき声として教えてくれているのだと思います。
「被害者であること」あるいは「傷つき」を受け入れることは、無力になることではありません。逆境を生き抜いてきた自分自身に敬意を示して、労わることであると思います。

カウンセリングでは、声なき声にも耳を傾け、「傷つき」を受け入れられるよう、症状について説明し、「傷つき」への理解を深めていきます。そして、症状とうまくつき合えるよう、コントロールするためのスキルを学んで頂いたり、心身へのアプローチ法を用いながら症状や苦悩の軽減を図ります。

■レジリエンス

トラウマ体験の中核は、恐怖感、無力感、孤立無援感です。「自分にはどうすることもできない」「一人ぼっちだ」という体験です。トラウマ的出来事に晒され被害を受けることで、自己や他者、世界に対する安全感、、安心感、信頼感が奪われるという、深刻なトラウマ(傷つき)を受けます。
一方で、誰もに、逆境を生き抜いてきたレジリエンス(回復力)があり、「強み」があります。「傷つき」を認めることが大切であるのと同様に、自分自身のもつ「強み」に目を向けることも大切です。

カウンセラーとしてできることは、自分がどうやってその状況を生き抜いてきたのか、そして今、どうやって何とかしのいでいるか、自分にあるレジリエンスに気づいてもらいながら、それを支持することです。そして、レジリエンスを強めることです。
回復のプロセスは、トラウマの影響を減らして、レジリエンスを強めていくことと言えるでしょう。
では、レジリエンスにはどのようなものがあるかと言うと・・、

レジリエンスの一つにコーピング・ストラテジー(対処戦略)があります。
自分がどうやってここまで生き抜いてきたか、そこに目を向けていただくことで、対処方法が見えてきます。自分自身は無力ではなく、生き抜いてきた自分があるのだと気づくことは自己を発見するプロセスでもあります。

例えば、子どもの頃であれば、「絵を描くのが好きだった、絵を描いているときは忘れることができた」「先生に読書感想文を褒められて嬉しくて、それから本をよく読むようになった」「漫画やアニメが好き」「とにかく勉強を頑張った。自分で自立して仕事ができるようにと」・・などがあります。

大人になってからであれば、「水泳をしているときは気分が晴れる」「美味しいものを食べにいると、気分転換できる」「アロマオイルなど、香りが好き」「仕事が支えてくれている」・・などがあるでしょう。

対人関係に困難を抱えているときには、「あまり関わらないようにする」とその人と距離をおくことや、味方になってくれる人の助けを求める・・などの対処をとることもあるでしょう。


レジリエンスの構成要因として、環境も大切です。私たち人間は環境との相互作用のなかで生きています。人は、コミュニティからアイデンティティ、所属感、意味を引き出します。安全な環境、安全な人との何らかの「つながり」があることは、レジリエンスを強めます。子どもの頃は環境を選べませんが、大人になって、可能な範囲で、安全な環境を選ぶことができればと思いますし、その選択肢が広がればと思います。


例えば、パートナーからのDVに晒されているというとき、「パートナーが怒りを爆発させ、きれそうなときは、家を出て、友だちの家に身を寄せる」「職場で理解してくれる人がいる。その方に相談にのってもらっている。」「自分のことを話せる友達が一人いる。しんどいときは、時々、話を聞いてくれる」「主治医の先生に話を聞いてもらっている」「子どもの心配ごとについては、保育所の先生に相談している。話を聞いてもらうとほっとする」・・など、逆境にあっても、安全な人とのつながりを保つことが大切です。

■回復のプロセス

このようにトラウマのカウンセリングでは、トラウマの影響への理解を深めながら、回復への道標となるレジリエンスを発見し、強めていけるよう取り組んでいます。トラウマから回復は、トラウマの影響を減らしながら、自分のもつ力を発見し、「つながり」を回復していくプロセスでもあるのです。それは、希望を見失わず、命を肯定することであると思っています。

回復のプロセスは、お一人お一人が違い、個性的なものです。来談くださった方の希望やニーズ、意思、選択を第一に寄り添いながら、伴走者となって、回復の道を歩むお手伝いができればと思っています。


※カウンセリングについては、こちらをご覧ください。⇒カウンセリングについて

※トラウマからの回復とレジリエンスについてはこちらもご参照ください。
  ⇒「トラウマからの回復とレジリエンス・モデル~回復の3段階と8次元」


■関連記事
2015年4月FLCエッセイ「セルフケアのヒント
2014年6月FLCエッセイ「女性のトラウマとセルフケア
2009年6月FLCエッセイ「心と身体をつなぐトラウマケア
2007年7月FLCエッセイ「トラウマ反応とケア
2006年11月女性ライフサイクル研究第16号「レジリエンス~苦境とサバイバル
1999年11月女性ライフサイクル研究第9号「生態学的視点からみたトラウマと回復
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2015.08.06 子ども/子育て
思春期の子どもの成長を支える~「バケモノの子」を観て思い巡らしたこと

                                                    西 順子


先日、今公開中の映画『バケモノの子』を観ました。バケモノの世界に飛び込んだ少年、九太(きゅうた)と、師匠のバケモノ、熊徹(くまてつ)とが共に成長していく物語。未来を生きる子どもたちへの温かい眼差しと、子どもの成長を応援する深い愛を感じる映画でした。この映画を観て、思春期の子どもと親・大人との関係性について、そして「愛とは何か」を考えさせられました。子どもの視点、親の視点から思い巡らしたことについて書いてみたいと思います。

■映画を観て

少年と父親代わりの熊徹との関係性は、子どもの視点にたってみると「こんな大人がいてくれるといいよなぁ」と理想的です。子どもと一緒にとことんつき合い、向き合う熊徹は、子どもにとって頼もしい存在だろうなと羨ましく思いました。


親の視点にたってみると、思春期になった子どもが変化し反発すること(=自立していくこと)への戸惑いや寂しさ、でも最終的には子どもを認め、後ろに引いて子どもを手放そうとする熊徹に、愛するが故の切なさを感じました。物語の最後、熊徹が表現した愛は、想像を超えていましたが・・(ネタバレにならないために書けませんが、涙があふれそうになりました)。


今の時代にあっては、子どもが成長していくためには、親でなくとも、熊徹のように子どもと体験を共にし、向き合い、愛をストレートに子どもに手渡してあげられる大人の存在が必要とされているのだと思います。


一方、九太と熊徹の関係性と対照的に描かれている親子が、一郎彦(いちろうひこ)とその父親の猪王山(いおうぜん)。猪王山も一郎彦を大切に思い愛しているのですが、その関係性は全く違うものでした。一郎彦と猪王山の関係性は「心の距離感が遠く」、子どもの疎外感と孤独が伝わってきました。そして親も子も、どちらも「本音」が見えずに隠されていました。そこには現代社会における父子(特に父と息子)の関係性が象徴されているように感じました。



■思春期の子どもの成長を支える


大人は子どものためを思い、子どもを愛する気持ちで、大人がよいと思うことを与えます。そして子どもは疑問なくそれを受け取り成長します。
しかし思春期を迎えるとき、子どもは親から受け取ってきたもの(価値感)に疑問を感じ、反発し、それを壊そうとするものです。そして「自分とは何か」を探求し、試行錯誤し、自分の価値感を構築していこうとします。それは親を客観的に見れるようになるからこそできることであり、親離れであり、自立へのプロセスで、それが思春期の子どもの仕事です。


しかし、親からみると「以前はいい子だったのに、どうしてこうなってしまったの?」「今まで子どものためを思って、ここまでしてきたのに・・」と、受け入れがたい気持ちになったりします。
しかし、子どもの人生の主人公は「子ども」です。といっても、まだ子どもから大人への過渡期。子どもが思春期の課題を乗り越えていくには、成長を支えてくれる親、大人の存在が不可欠です。かといって今までと同じ関わりでは役に立ちません。


思春期を迎えた子どもが成長のために必要としているのは、「大人が誠実に、本音で、ありのままの自分と向き合ってくれること」、そして「子ども扱いせずに対等に関わってくれること」です。そのことを、『バケモノの子』を観て再確認させられました。


「思春期の子どもをごまかさない」姿勢が大切なのです。嘘、ごまかしは子どもの信頼を損ねます。子どもが大人を信頼できることが必要で、他者を信頼できることは自分を信頼することとつながるのです。

■思春期の子どもと向き合う


思春期の子どもの心に寄り添いたいとカウンセラーを志してから早30年が過ぎました。そんな私のカウンセラーとしての原点を思い出させてくれた映画でした。これからも、一人の大人として、子どもと向き合い、親や家族に寄り添うことができれば・・と思います。


女性ライフサイクル研究所では、不登校、引きこもり、摂食障害、うつ・不安、いじめ、デートDV、暴力被害・・など、思春期の子どもと親への心理的援助(カウンセリング)を提供しています。子どもが未来に希望をもって歩めるよう子どもの伴走者となりながら、親御さんには、子どもの行動の意味、コミュニケーションの取り方や関わり方を共に考えていければと思っています。


子どもと大人、子どもとコミュニティ・社会とをつなぐ「橋渡し」となれればと願って・・。

お勧め図書:
『思春期の危機と子育て』村本邦子・前村よう子著、三学出版。
『プレ思春期をうまく乗り切る!大人びてきたわが子に戸惑ったときに読む本』村本邦子著、PHP研究所。


関連記事:
FLCスタッフエッセイ「カウンセリングの窓から~思春期の娘と母〈母編〉
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2015.05.31 カウンセリング
カウンセリングの窓から~母娘の心理と癒し〈娘編〉

                                            西順子 

女性ライフサイクル研究所では、女性が抱える傷つきや生きづらさ、あるいはトラウマについて、女性の視点から取り組んでいます。女性が抱える生きづらさを考えるとき、「娘であることの傷つき」は普遍的なテーマの一つといえるでしょう。

「自分に自信がもてない」「何をやってみても自信につながらない」「人からどう思われるか気にしてしまって、人と関わるのもしんどい」・・といった生きづらさの背景には、娘としての傷つきが関係していることがあります。その背景には、親(主たる保護者)から褒められたり、認められたという実感がないということがよくあります。

今回は、母と娘の関係における娘の傷つきに焦点をあて、娘はその傷をどう癒していけるのか、そのヒントを提供できればと思います。女性は誰もが母の娘です。娘の立場からお読みいただければと思います。

●母と娘の心理

まず、母と娘との間で形成される心理について、女性の視点からその特徴を紹介しましょう。一般に女性は、ジェンダーの社会的要請を受けて、子どもの頃から人の世話をし、ケアをする役割を期待されて育てられます。それは「私は~したい」「私は~が好き」を優先するよりも、「~しなければいけない」「~すべき」と他者の欲求や要求に従い、優先することが求められます。その結果、女性は育つ過程で、自分の欲求を抑えることを学ぶことになります。自分の欲求を我慢し、抑圧することで生きてきた女性が母親となるとき、娘との関係性はどうなるでしょう・・。

オーバック、アイケンバウム(1988)は、母親であることがもたらす積極的な喜びや満足感とは別に、母親がもつもう一つの自己像について明らかにしました。自分自身の欲求や欲望を長年に渡りきり詰めてきた結果、母親は「欠乏感に悩み、十分な愛情を受けていないと感じ、しかもそれを受ける資格もなく、不十分で、自分の要求をはっきり口にだすことすらできない」という自己像をもつと言います。オーバックらは、この「愛情を求める」母親自身の一部を、「内なる少女」と呼びました。母親が娘をもつとき、この「内なる少女」が露呈すると言います。

母親は娘と性とジェンダーを共有することから、無意識的に娘と同一化します。その結果、娘が欲求をあからさまに示すのを見て戸惑い、なぜ同じように自分の欲求を抑えないのかと、娘に対して怒りと不同意を示して反応してしまいます。
例えば、息子には身の回りの世話をやいても、娘には「自分のことは自分でしなさい」と情緒的な甘えを許さないことがあります。母にとって、息子は「他者」であるのに対して、娘は自分の延長線上にあるように感じ、同一化してしまうのです。

そして母親は情緒的ケアを求める渇望や願望を娘に投影し、娘に愛情、慰め、ケアを求めると言われます。例えば、「母親の愚痴を聞かされて、自分の話は聞いてもらえなかった」という娘の声はその一つでしょう。


娘は母親からケアテーカーであることを求められ、母の自己実現を求められると、娘は自分の欲求を抑えこみ、隠しておかなければならないものとなります。母から娘へと「愛情を求める渇望や欠乏感」が再生産されていくといえるでしょう。

●情緒的ケアの喪失と女性の人生への影響

子ども時代に情緒的ケアを受けられない状況のなかで、娘は「内なる少女」や「本当の自分」を隠して、その環境に適応する自分を育てることで生き抜いていきます。


しかし、大人になり、青年期、成人期に入り、この対処法では通用しなくなってくるときがきます。子ども時代の対処法が壊れるきっかけには、20代、30代での「親密な関係のバランスの変化」があると言われます。


20代、30代では、恋愛/失恋・結婚・妊娠・出産・子育て・離婚など、パートナーや子どもとの親密な関係に変化が生じやすく、女性にとって人生の危機となることもあります。 危機にあっては、苦悩とともに、さまざまな心身の症状となって現れることもあるでしょう。


例えば、「内なる少女」の情緒的な飢餓感、空虚感は、身体的なぬくもりや一体感を求めて、性関係を求めるということもあるでしょう。しかし自己肯定感の低さから、自分を傷つけるパートナーと一緒になり、それが人生の危機となることもあります。


また、十分に情緒的なケアを受けられなかった傷つきは、女性が子どもを生み、育てるときに、抱えきれない不安となって現れることもあります。「自分も母親のようになるのではないか」あるいは「同じことをしてしまう」と不安や怖れがついてまわることがあります。

●傷つきを癒す

では、娘はどのようにして、傷つきを癒し、人生の危機を乗り越えていけるでしょうか。 まず、子ども時代の喪失を悼む作業が必要です。そして他者に助けを求め、自分自身のケアに取り組むことが必要です。

自分自身へのケアとは、自分に対して、優しさ、慰め、励まし等を提供することです。
落ち込んでいるときは慰めを、努力したときには自分を褒め、疲れているときには労わる等、自分に対して共感的に関わることです。
自分でケアするのが難しいときは、自分の気持ちに共感してくれそうな友達やパートナーに話を聴いてもらう等、他者からケアや協力、助けを受けることも大切です。ケアには、身体的なケア、情緒的なケア、スピリチュアルなケアがあるでしょう。

バソフ(1996)は、癒しのプロセスを完了させるための方法として、「母に代わる人との出会い」「自然による癒し」「創造による癒し」を挙げています。

例えば、動物や植物の力強い生命力に触れることは傷ついた心や魂を深く慰めてくれます。自然とふれあうなかで、宇宙との一体感を経験し、その一体感のなかで様々な感情を解き放つことができると言います。

母もまたかつて娘であったし、今もまた娘であるでしょう。年齢や立場を超えて、女性が自分のなかの「内なる少女」を抱きしめ、優しく接する気持ちで自分と関われることを願っています。

娘の女神ペルセポネーがそうであったように、娘が母といったん分離し、自分の傷つきを癒し成長した後には、母との関係が変容するかもしれません。

「渇望は、内なる知識と必要なことを知らせる導き」と言われます。女性が自分の内にある欲求に気づき、内なる声に従って自分の「生」を肯定して生きることができれば、娘を抑圧することはなくなるでしょう。それが可能となる環境(あるいは社会)となることを願います。


女性ライフサイクル研究所では、現在娘である方も、母親の立場にある方にも、娘としての傷つきをケアし、喪失を悼む作業をお手伝いしながら、命の肯定と未来への希望を伝えていくことができればと願っています。

 

【参考文献】
アイケンバウム、オーバック(1988)『フェミニスト・セラピー』(長田訳)新曜社。
バソフ(1996)『娘が母を拒むとき~癒しのレッスン』(村本邦子・山口知子訳)創元社。

関連記事:
2015年3月FLCエッセイ「カウンセリングの窓から~思春期の娘と母〈母編〉」
2014年5月メディア掲載 「母娘の「毒の吐き合い」壮絶食卓バトルから見えるものは・・映画『8月の家族』たち」
2012年4月メディア掲載 朝日新聞「お母さんキライ・下~人生つづり心取り戻す」
2000年10月年報10号「女性の自己実現と心理療法~『血と言葉』を女性の視点から読み直す」(西順子)
1999年10月「娘に女性としての自分を投影する母親たち」(村本邦子)
  『子育て情報センターKANAGAWAまいんどブックレット64号』

2015.03.29 カウンセリング
カウンセリングの窓から~思春期の娘と母〈母編〉

                                            西 順子

 「いったい何を考えているのか、わからないわ」「今まで、とってもいい子だったのに、どうなってしまったのかしら」・・、思春期になった娘の変化に戸惑い、どう対応したらいいのかと途方に暮れた母親から、よく相談をお受けします。
 思春期の娘の変化は、「門限を守らない」「反発する」「何も話してくれない」という行動から、摂食障害、不登校、引きこもり、親への暴力、リストカットなど心身の症状となって現れることもあります。
 母親から見て、危なっかしくて心配な思春期の娘には、まだまだ親の「助け」が必要ですが、思春期を迎えた娘への「愛」には、相手から離れることが必要になってきます。
 ここでは、母親が思春期の娘を理解し、「離れる」ことの喪失を受け入れ、母親として自分自身を成長させるヒントを提供できればと思います。

思春期の娘と母親
 思春期の娘たちにとって一番大きな仕事は、親とは違う自分だけのアイデンティティを獲得することです。そのためには、自分の信念や価値観や抱負をもち、自分らしい生き方を見つけ、家族の保護から離れて自分だけで生きていける自信を身につけることが必要です。そして、「私は誰か」という人生の根源的な問いに、自分なりの答えを出さなければなりません。

 『母は娘がわからない』の著者イブリン・バソフは、「こうした仕事を(娘が)やり遂げるためには、自分の成長を脅かす存在から離れる必要がある。そしてほとんどの場合、母親たちこそ彼女の成長を脅かす、もっとも大きな存在なのだ」と言います。母親像とは、よい意味でも悪い意味でも圧倒的な力を含んでいるものです。思春期の娘たちは、守ってほしい、という強い内的欲求と闘いながら、母親との間に精神的距離を置き、その影響から少しずつ離れていこうとしています。

 「蝶」になる前に「さなぎ」の時期があるように、娘が自分の周りに防御壁をつくり、母親を遠ざけようとすることがあっても、それは成長のために必要な時間です。内面にエネルギーを注ぐ時間です。娘が完全に大人になり自分に自信をもてるようになったとき、娘は安心して母の元に戻り、大人の女性同士として、つきあうことができるようになるでしょう。

「母親」を越えて成長する 
 娘との強い結びつきを緩め、娘との間に距離をおくことは、母親にとっては一種の喪失の体験です。母親としての役割とその関係を失うことで、「空の巣抑うつ」といわれる空虚感とうつ状態に陥いることが知られています。喪失を受け入れることには痛みを伴いますが、ライフサイクルの変化を受け入れ、喪失と向き合い、悼む作業が必要です。
 また思春期の娘との「子離れ」は母親にとって成長の機会です。バソフは、「女性の人生において、智慧や成熟や人生の意味を獲得するうえで、これほど大きなチャンスはない」と言います。

 では女性は、「子離れ」という喪失の体験をどのようにして乗り越えていくことができるでしょう。ギリシャ神話に登場する母なる女神デーメーテールの物語から、喪失を乗り越えるためのエッセンスを紹介しましょう。

母娘の物語
 母なる女神デーメーテールは穀物の女神として、および乙女ペルセポネーの母親として崇拝された女神です。もっとも有名なのは娘ペルセポネーの誘拐とデーメーテールの反応をめぐっての神話です。娘がある日突然、冥界のハーデースに誘拐されてしまいます。デーメーテールは娘を不眠不休で捜しますが見つからず、ついに失望して一切の女神の仕事をやめてしまいます。その結果、地上の穀物が育たなくなり飢饉がおそって人類が滅びそうになりました。とうとうゼウスは黙って見ておれなくなり、使者をハーデースのもとに派遣し、娘を地上に帰還させました。デーメーテールは娘と再会してから、大地に豊穣と成長を回復させました。この神話が下地となり、エリウシースの秘儀が起こりました(二千年以上にわたって古代ギリシャの神聖かつ重要な宗教的儀式)。

自分自身のよい母親になる
 子どもに注いできた世話とエネルギーを、自分自身に焦点を合わせて行うことを学ぶ必要があります。自分の母親になり、自分自身の欲求やニーズに応えてあげれるよう行動することが大切です。「これが本当に今自分がしたいこと」と自分に尋ね、自分のために時間を使いましょう。

「母であること」を越えて意識を拡大する
 自分の生活のなかに、「母親」とは違った人間関係を意識してつくる必要があります。子ども抜きで夫や友人と外食をする努力をしたり、ジョギングや瞑想、趣味といった自分だけの活動の時間をとるのもよいでしょう。また、仕事を再開したり、社会活動に参加するなど社会とつながる「意味ある何か」を見つけることもよいでしょう。


抑うつからの回復
 これまで生きがいを与えてくれていたものが無くなったとき、デーメテールは、悲しみにくれて気が滅入り、抑うつ状態に陥りました。デーメテールの物語では、抑うつからの回復と成長には、二つの解決策があります。一つは、誰か他の人を愛し育てることです。もう一つは、「若さ」の元型が戻ってくることです。
 時が過ぎ、涙と怒りの後、何かが芽生えるような感情が動き出します。もう一度生命力と慈愛にあふれる自分にかえっているのに気づきます。苦しみの時期から回復した女性は、智慧と精神的な理解力が増しています。  
                                   『女はみんな女神』より

 思春期の娘と適切な距離をとるのが難しいとき、母自身も母親との関係で適切な距離をとれずにきたということもあるでしょう。そのような場合、自分自身と母親との関係を整理し直し、過去の喪失を悼むことが必要です。母親が喪失を受け入れ成長することは、娘の自立の基盤として娘を支えることでしょう。
 

 ギリシャ神話の女神デーメーテル(母)と女神ペルセポネー(娘)の物語では、それぞれが喪失と苦しみを乗り越えて成長します。季節にはサイクルがあり、冬のあとに春が訪れるように、人も一定のパターンに従って変化していきます。
 女性が母と娘の関係に悩むとき、カウンセリングでは、それぞれが喪失と苦しみを残りこえて成長し、新しい自分と出会うお手伝いができればと思っています。女性ライフサイクル研究所では、娘と母と、それぞれにカウンセラーがついて進めていきます。なお、年齢等に応じて、娘のみ、母のみでお越しいただく場合もあります。詳しくはお尋ねください。


参考文献:
『母は娘がわからない~子離れのレッスン』イヴリン・バソフ著、村本邦子+山口知子訳、創元社。
「9章・穀物、養育者、母の女神デーメーテール」『女はみんな女神』ジーン・シノダ・ボーレン著、村本詔司+村本邦子訳、新水社。

関連記事:
2014年5月メディア掲載「母娘の「毒の吐き合い」 壮絶゛食卓バトル゛から見えるものは・・映画『8月の家族たち』
2013年7月FLCエッセイ「思春期の山を乗り越える」
2010年3月FLCエッセイ「巣立ちの春」

2015.02.24 カウンセリング
カウンセリングの窓から~女性の傷つきと怒り

西  順子

 

 女性のカウンセリングのなかで、傷つきからの回復に「怒り」は重要なテーマです。虐待やDV、性暴力などトラウマをはじめ、他者との関係での傷つきに、怒りの感情を取り戻すことは回復のバロメーターの一つです。

 しかし、怒りの取り扱い方はむずかしく、怒りを感じそうになるや否や感情に蓋をして抑圧してしまうか(あるいは怒りを回避して切り離すか)、我慢をため込んで爆発してしまうか、どちらかになりがちです。本来、怒りとはエネルギーに満ちた生命力です。命を肯定するためには、そのエネルギーを破壊的ではなく、建設的に方向づけていくことが必要です。
 
 今回は怒りのガイドブック『もっとうまく怒りたい!~怒りとスピリチュアリティの心理学』(キャスリン・フィッシャー著、村本邦子訳)から、女性が自分の怒りと取り組む際のヒントを紹介できればと思います。

●感情によい悪いはない

 米国の心理学者ギリガンは「少女から大人になる女性のターニング・ポイント」について研究しましたが、その結果わかったことは、女性が少女から大人になっていく過程は、「沈黙」と「つながりの喪失」の旅だということでした。特に思春期以降になると、本当の感情、特に怒りの感情を表現することをやめます。関係を維持するために、感情を手放し、自分の経験を抑圧して、周囲に適応していくことを学びます。

自分の声を断念することで、女たちは自分の感情すべてを経験する権利や、もって生まれた才能を放棄してしまうのです。 

しかし本来、感情によい、悪いはありません。どの感情も耳を傾けられるべき大切なものです。善悪の判断は感情ではなく、行動に対してなされるべきものです。

こころとからだの「境界」が侵害されるとき、怒りを感じるのは自然な反応です。自己と他者、そして世界とのつながり方がどんなものであるか、怒りを通じて「からだ」からの重要な情報を与えてくれるのです。

怒りを感じることを避けて、怒りから切り離されると、創造的な洞察力は制限され、他者の感情に共感する能力が損なわれます。沈黙させられた怒りは、ひきこもり、批判、過小評価など、変装した表現で現れることもあります。
 

●怒りを認める~気づきの実践

 では怒りと、どのようにしてつながることができるでしょうか。怒りと再びつながりをもつための有効なアプローチには、マインドフルネス(瞑想法の一つ)があります。マインドフルネスは、深い気づきのことで、判断抜きに、あるがままを受け入れるよう励まします。

 判断抜きの気づきが難しいのは、内なる批評家がつねに働いて、何を感じるべきか、感じるべきでないかと口出ししてくるからです。「こんなことに惑わされてはいけない」「こんなことで腹を立てるなんて、もっと広い心でいなければ」「そんなこと感じるなんて、なんて私はバカなの」など、「~すべき」「~べからず」に声を傾けていくと、自分が悪い存在に感じられてしまうでしょう。

 この批判的な声を脇に置き、自分の中で起こっていることに、十分に耳を傾けてみましょう。マインドフルネスの気づきは、ただありのまま、怒りを認めます。判断を下すことをしません。私たちの中にある複数の声に耳を傾けることを許します。

 

●怒りの対処法

怒りのエネルギーを前進させ、生きるエネルギーに転換していけるよう、自分や他者を傷つけることなく、怒りを取り扱う方法を紹介しましょう。

・休止をとる・・時間を置く方法です。夫婦喧嘩などあらゆる個人的関係において、これが有効です。

・腹式呼吸・・ゆっくりと深い呼吸をすることで、「闘争か逃走か」といった身体反応が緩和され、脈拍数が減り、筋肉を緩めることができます。

・からだを動かす・・これによって、高レベルになっている体内のアドレナリンを散らすことができます。どんな活動、スポーツも役に立ちます。

・瞑想する・・瞑想することで、怒りを衝動的に表現するのでも、逆に避けようとするのでもなく、怒りの感情に持ちこたえ、抱えることができるようになります。

・信頼する人に打ち明ける・・自分の感情を洞察するもっともよい方法の一つです。何が起こったのか? なぜ腹を立てているのか? どんな反応ができるのか? 感情に含まれている情報をより分けることに役立ちます。

・思う存分泣く・・女性が怒りを表現するもっとも普遍的な方法のひとつは、泣くことだそうです。涙は怒りを健康に解放してくれます。感情的な涙は、ストレスに対する免疫システムを高める化学物質を含んでいることがわかっています。涙は浄化作用と治癒力を持っています。

・からだで知る・・多くの女性が、からだから切り離されています。これを変化させる第一歩は、自分のからだの感覚に注意を向けることです。からだの声に耳を傾けて、自分の反応とつきあってみましょう。

   ・・・自分にできそうなことはありましたか? うまくつき合うヒントが見つかったでしょうか?
 
 怒りを生命のエネルギーへと変容させていくために、怒りの感情あるいは怒りの反応(身体でとらえられる感覚)に気づき、あるがまま認めることが第一歩です。

 しかし、怒りとつき合うのが難しく、怒りに圧倒されてしまい罪悪感に悩まされたり、怒りが内向して抑うつが続いたり、無力感に苛まれてしまうとき・・など、一人では対処できないようなときは、いつでもご相談ください。

 フィッシャーは「怒りとは、本来、よりよく愛することのひとつの側面」であり、「健康なスピリチュアリティに不可欠なもの」と言います。女性ライフサイクル研究所では、内なる怒りの声(声なき声)に耳を傾けながら、その声の理由や意味を理解し、よりよく生きるエネルギーへと変換していけるよう、カウンセリング/心理療法を通してお手伝いができればと思っています。
 
 ⇒カウンセリングについてはこちらをご覧ください。

 ⇒文献 『もっとうまく怒りたい!~怒りとスピリチュアリティの心理学』(キャスリン・フィッシャー著、村本邦子訳) ※怒りを深く理解し、癒しのプロセスについて学びたい方に、お勧めです。こころとからだ、そして魂とつながるヒントが得られることと思います。

                                                                               もっとうまく怒りたい!
                                     

2015.01.13 カウンセリング
カウンセリングの窓から~人生の選択に迷うとき

西 順子

 人生とは旅のようなもの。ライフサイクルの段階に応じて状況も変わり、質的な変化を求められます。
 
 進学、就職、再就職など、どんな進路に進むのか進まないのか、どんな仕事につくかつかないか・・。
 恋愛、結婚、離婚、再婚など誰といつどんな関係をもつのか持たないのか・・誰と共に人生の旅をするのか・・など。
 人生の変化の節目ではさまざまな選択の「とき」があり、どの「道」を選ぶのか選ばないのか、選択に迫られると言えるでしょう。
  
 人生の節目は危機でもありメンタルヘルスに不調が現れやすいものです。これまでの旅の疲れを休め、エネルギーを充電しつつ、次の人生の方向性を見出すときでもあるでしょう。

 しかし人生の分岐点では、あなたが自分で決断する前に、誰かが「こうすべき」「こうしたほうが、あなたのため」と圧力をかけてくることもあります。

 ではどうやって、自分の人生の「道」を選択し、歩んでいけばいいのでしょう。あなたが本当に納得いくためには、何を指針に選択すればよいのでしょうか。

 人生の「選択」をするときの指針、あるいはヒントとして、ここでは『女はみんな女神』から、著者ボーレンの言葉を紹介したいと思います。

 「人生は自分で選んだのではないさまざまな状況にみちているが、常に決定を行わなければならない瞬間がある。それが結節点となって、物事のなりゆきが決まったり性格が変えられたりする。自分の旅の主人公になるためには、女性は、自分のおこなう選択が決定的に大事だという態度で始めなければならない。あるいは、初めのうちはあたかも大事であるかのように振る舞わなければならない。」(350頁より)

 つまり、自分が行うこと、行わないこと、自分の態度によって自分を決定していくと言います。このことを精神科医であるボーレンは自分の患者さんから教えられたと言っています。

 たとえば、親から見放され、虐待されながら生き延びてきた人々が、自分を虐待した大人のようにならなかったこと、トラウマ的経験は爪痕を残し、無傷ではないけれど、それでも信頼や愛と希望、自分を大切にする気持ちは残っていること。それは「なぜそうなのか」と考えたところ、こうした人々は、子どもの頃、何らかの仕方で自分を恐ろしいドラマの主人公として自分を理解しており、心のなかの神話、空想生活、想像上の友達をもっていたと言います。
 自分をお姫様だと感じて空想生活に逃げ込んだり、戦士だと考えて、どうすれば家から出られるかの計画を練っていたり・・、どのように反応したらよいかを自分で選んでいたのです。自分がどのように扱われているかとは別個に、自分についての感覚を維持したのです。 

 またボーレンは次のよう言っています。重要な決定をしなければならないとき、特に状況が混沌としているときは、「女性が自分の内面を正直に見つめ、自分のもろもろの感情、価値感や動機をふるいにかけ、重要でないものから重要であるものを選り分けること」(328頁)が大切です。

 たとえば、仕事と家族の問題が重なって鬱になり仕事を辞めたがもう一度仕事につきたいというとき、何を大切にするかによって、さまざまな選択肢があります。 

 家族(例えば子育てや介護)や家庭生活とのバランスがとれる条件で再就職の道を探る・・、
 今は働くよりも、将来的に自立できるようまずは資格をとる勉強から始める・・、
 以前していた仕事の経験を活かせるよう、同じ職種でもう一度働けるところを探す・・
 家族とは離れて自活して暮らせるよう、やりたい仕事よりも条件のよい職を探す・・、
 心身の健康を第一にして、まずはボランティア活動を通して自分の生きがいを見出す・・等、

 長期的なスパンにたって未来を見ながら、何を優先して何をあきらめるのか、優先順位をつけながら、自分にとってもっとも大事なものを理解していくことが必要となるでしょう。

 そのためには、慌てて答えを出さず、まずはじっくりと考えて、自分のペースで決心する事を大切となってきます。人生の選択に迷うとき、あなたにとって大切なものを、自分の心にすんなりと受け入れられるかどうかに基づいて決断することが大切です。
 なぜなら、その結果を引き受けて生きていくことになるのは自分に他ならないからです。
 
 女性ライフサイクル研究所では、人生の道に迷いこみ、暗くて先が見えない時、十字路で立ち止まるとき、自分にかなう「道」を発見できるようお手伝いができればと思っています。必要なときはいつでも、カウンセリングの「場」を訪ねてみてください。

関連記事:
FLCエッセイ「カウンセリングの窓から~私って誰?本当の私らしさって?」
論文「女性の自己実現と心理療法~『血と言葉』を女性の視点から読み直す」
論文「想像力とレジリエンス」
年報「特集:人生の選択に迷うとき~新しいライフサイクルをめぐって」
 『女性ライフサイクル研究』第15号

2014.11.02 カウンセリング
カウンセリングの窓から~私って誰?、本当の私らしさって?


西 順子

 「私って誰?」「本当の私って・・?」「自分のことがわからない」・・など、カウンセリングをお受けするなかで、自分自身についての悩みをよくお聞きします。
 特に青年期は、「自分とは何か」「自分はこれからどう生きていくのか」と自分に問い、考える時期ですので、自分について悩むのは自然なことです。

 エリクソンは、青年期の発達課題は「アイデンティティの確立」として重視しました。「自分とはこういう人間だ」「自分は自分である」とはっきりとした自分を感じ、自分を発見的に知ることで、アイデンティティ(同一性)が形成されるといえるでしょう。

 さらに、アイデンティティ形成は、青年期のみならず一生涯を通じて続く無意識的な発達プロセスです。女性心理学によれば、女性は「個の確立」よりも「関係性」が優先されて発達すると言われます。現代では女性の生き方も多様化しているため、「個の確立」と「関係性」との相互作用の中で、自分らしさを獲得し、人生の段階によってアイデンティティも変容していくと言えるでしょう。

 今回ここでは、「私らしさ」について知るためのツールの一つとして、ギリシァ神話に登場する「7人の女神」を紹介したいと思います。7人の女神は、女性のなかにある「行動や感情に影響を及ぼしている内的な力」「強力な生得的パターン」あるいは「元型」を人格化したものです。
 これを理論化したのは、ユング派でフェミニストの精神科医ジーン・シノダ・ボーレンで、「自分が何者であるのか」について、女性のなかにある内なる力と、文化や家族がどう影響を及ぼすかの両方の視点から、「女神の物語」を通して記述しています。

狩りと月の女神・アルテミス
 短いチュニックをまとい、弓と矢をたずさえ、ニンフを従えて荒野を歩き回る、野生に親しんだ女神です。月の女神でもあることから、光の使者としても表されます。
 アルテミス元型は、女性の自信と独立心を表しています。好奇心旺盛で、自分の狙った目標に集中し、追求していくことに喜びを感じます。犠牲になっている女や幼い者への思いやりがあり、女同士のつながりを大切にします。男性とは対等につきあいます。
  
知恵と工芸の女神・アテーナー
 ゼウスの頭から、完全な大人の姿で飛び出してきたと言われる女神です。美しい戦いの女神として知られ、鎧に身を包んで、都市を守り、知性を支配していました。
 アテーナー元型は、論理的で計画的な性質です。よく物事を考え、感情的な状況のさなかでも冷静でいられます。英雄を好み、自分が見込んだ男性には、その片腕足らんとし、有能な部下(または妻)になります。手先が器用で、タピストリーなど美しく実用的なものを生み出す才能があります。

炉の女神・ヘスティアー
 炉の中で燃えている火の女神。画家や彫刻家によって、描かれたことがない女神です。人間の形で表されたことはありませんが、神聖なものを象徴し、儀式の中で非常に尊敬されていました。家庭や神殿や都市の中心で燃えている炎の中に存在しています。
 ヘスティアー元型は、日常生活になくてはならないものです。一人の人格のなかにヘスティア元型が現れることも同様に大切であり、自分が無傷であり健全だという感覚が生じます。ヘスティアーが求めているのは静かな心の安らぎであり、孤独のうちに見出せます。

結婚の女神・ヘーラー
 最高神ゼウスの配偶者、正妻として知られています。名前は「偉大なる淑女」を意味します。ギリシァ神話では対照的な二つの側面をもっており、一つは結婚の強力な女神として儀式で崇拝されました。もう一つは、復讐心に満ち、嫉妬深い女として貶められました。
 ヘーラー元型は、喜び、もしくは苦しみを生み出す強力な力です。妻になりたい女性の願望を表しています。パートナーがいないと根本的に何か不完全と感じます。絆を結び、パートナーに誠実となり、一緒に幾多の困難を乗り越えていく力を与えてくれます。

穀物の女神・デーメテール
 娘である乙女ペルセポネーの母親として崇拝されました。冥界のハーデスに誘拐された娘を不眠不休で捜しましたが、ついに失望して一切の女神の仕事をやめてしまったことから、地上の穀物が育たなくなりました。困り果てたゼウスのとりなしによって娘を取り戻すことができました。娘と再会してから、大地に豊穣を回復させました。
 デーメテール元型は、母親元型で、母親になりたいという深い欲求、本能を表しています。他の人を養い育て、寛大な気持ちで与え、世話をやいたりすることに満足を覚えます。育てたいという欲求が拒絶されたり邪魔されるなら、抑うつ状態になります。この元型の養育的側面は母親に限定されず、援助職など職業を通じても表現されます。

乙女、冥界の女王・ペルセポネー
 ハーデスによって地下世界に誘拐された女神です。神話の始まりは、無邪気な少女でしたが、成長してのち、冥界の女王として成熟した姿で描かれています。
 元型としては、永遠の乙女のようで、行動するのではなく他の誰かから働きかけられるのを待っています。従順に行動し、態度が受容的です。また二つの元型パターンとして、乙女から女王に成長するか、心の中で乙女と女王が存在するかになります。春を象徴し、若さ、生命力、新しい成長に向かう潜在力をもっています。

愛と美の女神・アプロディーテー
 誕生と起源には二つの説があります。一つはゼウスと海のニンフとの間に生まれた娘、もう一つは暴力行為の結果として生まれています(「ビーナスの誕生」として描かれています)。アプロデイーテーは錬金術(変容)の女神でもあります。インスピレーションを吹き込んで、変容と創造をもたらす愛の力を象徴しています。
 アプロディーテー元型は、女性の愛、美、性、官能の喜びをとりしきります。誰かに恋し、恋におちるとき、アプロディーテーが存在します。創造的機能、生殖機能の両方を成就させることができます。

 皆さんはどの女神たちに親近感をもたれたでしょうか? どの女神たちが内側にいると感じるでしょうか?
 どの女性の心のなかにも女神がいます。そしてまた、一人の女性のなかにも多くの女神がいます。どの女性も、女神から学び、ありがたく受け入れるべき「女神」から与えられた天賦の才を持っています。魅力、強み、潜在的な力が備わっているのです。
 そしてまた、子ども時代・思春期~成人期(仕事、対男性関係、対女性関係)~中年期~晩年と、人生のライフサイクルに応じて、7人の女神それぞれの人生の物語があります。傷つきと苦しみ、成長のための課題もあります。女神たちの人生の物語から、女神の素晴らしさを知ることはもちろんのこと、女性が苦悩や困難を乗り越える知恵や方法も教えてくれます。
 

 「私ってどういう人間?」「私らしさって?」「私は今どこにいて、これからどこに行くのか?」・・等、人生の道の途中で悩むとき、「女神の物語」を知ることでヒントが得られるかもしれません。自分のなかにある女神元型に気づくことで、「ああそうか」と私であることに納得し、「ありのままの自分でいること」を理解され、肯定され、力づけられたと感じられることでしょう。

 詳しくは、『女はみんな女神』をご覧ください。⇒こちらからダウンロードすることができます。

 なお、今年度は第一日曜日の午前中、『女はみんな女神』の読書会・女性心理学グループを開催しています。関心がある方はぜひご参加ください。⇒グループのご案内 

 女性が、私が私であることを肯定し、自分らしく、自分の人生の主人公となることを願っています。

2014.10.06 カウンセリング
女性のストレスとストレスマネジメント

西 順子

 ストレスは、私たちが生きていくうえで避けることができないものです。何か生活に新しいことや変化があり、そのことに適応していかなければならない時、人はストレスを経験します。人は新しい課題に挑戦し、ストレスを乗り越えようとして成長していくものです。しかし、人生にはうまくいくときもあれば、なかなかうまくいかないときもあり、うまく乗り越えられないときには危機的状況となります。ときには予期せずトラウマとなるようなストレスを経験することもあるでしょう。

 女性のストレスには、対人関係、家族やパートナーとの関係からくるストレス、流産、不妊、妊娠・出産にまつわるストレス、育児ストレス、介護ストレス、職場ストレス、大切な人との別れ・・など、人生のライフサイクル上で起こる様々な出来事や状況があります。

 ストレスやトラウマを乗り越えていくには、たくさんの助けやケアが必要です。ここでは、ストレスを乗り越えていけるよう、ストレスと上手につき合う(=ストレスマネジメント)ためのヒントを提供できればと思います。

ストレスとは
 ストレスとは何でしょうか。ストレスという用語は、もともとは物理学の分野で使われていたもので、物体の外側からかけられた圧力によって「ひずみ」が生じた状態を言います。ストレスをゴムボールに例えると、ゴムボールを指で押さえる力を「ストレッサー」と言い、ストレッサーによってゴムボールが歪んだ状態を「ストレス反応」と言います。それをハンス・セリエ博士が生理学の領域で適用したのが始まりです。

 ストレッサ-には、物理的ストレッサー(暑さや寒さ、騒音や混雑など)、化学的ストレッサー(公害物質、薬物、酸素欠乏など)、心理・社会的ストレッサー(人間関係や仕事上の問題、家族の問題など)があります。私たちがストレスと呼んでいるものの多くは、心理・社会的ストレッサーを指しています。
 また、ストレッサーには、日常的に起こる厄介な出来事(デイリーハッスル)やライフイベント(人生のなかでの大きな変化。死別や失業、結婚や就職など良いことも悪いことも含まれます)、トラウマとなりうる出来事(自然災害、人的災害、交通事故、暴力被害など)もあります。

 セリエは「ストレスは人生のスパイス」と言いました。ストレスが適量なスパイスとなれば、人生を豊かに味わい深いものにしてくれます。しかし、ストレスが過剰であったり、ストレスとのつき合い方がうまくいかないと、害が生じてしまいます。心身の健康に影響を与えます。

●ストレス反応
 ストレッサー(ストレス状況)によって引き起こされるストレス反応は、身体面、心理面、行動面に現れます。

身体面:不眠、睡眠過多、食欲不振、食べ過ぎ/飲み過ぎ、下痢/便秘、胃痛、頭痛、
     身体のふしぶしの痛み、肩こり/腰痛、動悸・息切れ、過呼吸・・

心理面:イライラ/怒りっぽい、抑うつ(気分の落ち込み、興味・関心の低下)、不安感/緊張感、     無気力、集中できない、自分を責める、悲観的思考/否定的思考・・

行動面:引きこもり、攻撃的行動(人や物にあたる)、アルコール量やタバコ量の増加、ミスの増      加、能率が悪くなる、遅刻・早退・欠勤の増加、金銭の浪費・・

 ストレスを感じたとき、心や身体が変化するのは自然なことです。ストレス反応はストレスのサインです。何より「気づき」が大切です。ストレス反応は人それぞれ違いますので、自分にはどのようなストレス反応が生じやすいのか、自分の特徴を知っておくとよいでしょう。
 ストレスのサインに気づいたら、ストレス反応が軽減するよう、ストレスと上手くつきあっていくための対処(=コーピング)を工夫してみましょう。

●コーピング
 ストレスに対する対処行動をコーピングと言います。コーピングには主に、問題焦点型コーピング、情動焦点型コーピング、認知に対するコーピング、ソーシャルサポートがあります。

・問題焦点型コーピング:情報を収集して問題の所在を明らかにし、問題そのものを解決しようとする方法です。問題解決のために積極的な行動にでる、話し合う、状況を変化させる・・などがあります。

・情動焦点型コーピング:直面している問題にとらわれないように気晴らしをしたりして、ネガティブな情動的なストレス反応そのものを軽減させる方法です。散歩する、漫画を読む、カラオケ、映画をみる、音楽を聴くなどの気分転換、瞑想や自立訓練法、アロマテラピーなどリラクセーションの方法もあります。睡眠を十分にとること、栄養のある食事、休養や適度な運動なども大切です。

・認知的コーピング:認知とは、ものの考え方や見方のことで、それ感情や気分に影響することがわかっています。私たち誰にでも「認知の癖」がありますが、「バランス良く柔軟な考え方をすること」が大切です。例えば、「失敗してしまった」というとき、「もうダメだ。どうせ私は何をやってもうまくいかない」と考えるとドンドン落ち込みます。でも、「失敗は成功の元。何がよくなかったか原因を考えて、次また活かしていけばいいんだ」と思うと、落ち込みも緩和されるでしょう。

・ソーシャルサポート:友達、家族、職場の同僚や上司など人に相談したり、話を聞いてもらうことです。人は、批判したり否定されたりせずに、「そう思うのね」と肯定して話を聴いてもらえると、それだけでも随分とほっとするものです。あなたが信頼できる人に話を聴いてもらいましょう。助けを借りて、自分を労わりケアしましょう。

 みなさんは日頃、どのようなコーピングを使っていますか?人によって有効な方法は違うので、自分のやりやすい方法を見つけておくことが大切です。ストレスの種類や程度によっても有効なコーピングの方法も違うので、いろいろなコーピングの方法を身につけておくとよいでしょう。

 しかし、対処できないほどのストレッサーを経験したり、ストレッサーが長期間続いたりするとストレス反応も慢性化してしまいます。さまざまなコーピングを使っても症状が長引く場合は、早めに専門家に相談しましょう。

●リラクセーション法
 情動焦点型コーピングの一つ、リラクセーション法を紹介しましょう。リラクセーション法は、ストレス反応を低減させ、リラックス反応を誘導し、心身の回復機能を向上させる方法です。リラックス反応は、環境や刺激が、安全・安心で、脅威でないと判断したときに起きる反応で、副交感神経系の活動が優位な状態にあります。多くの文化圏で古来より様々なリラクセーション法が実施されてきましたが、近年、医学的にもその有効性が確認されています。

 リラクセーション法には、漸進性筋弛緩法(筋肉の緊張と弛緩を繰り返し行うことにより身体のリラックスを導く方法)、呼吸法、アファメーション(自分を励ます言葉を声に出す)、瞑想法、自律訓練法、芳香療法(アロマセラピー)、ヨガなどがあります。ここでは、セルフケアとして簡便にできる呼吸法を紹介しましょう。

腹式呼吸法は、下腹部が膨らんだり、へこんだりするように呼吸する方法です。(臍の上に手をあて)体の力を抜いたまま、口からゆっくりと息を長く吐いていきます。このとき下腹部をへこます感じで息を吐いていき、苦しくならないところで、下腹部を膨らませる気持ちで、鼻から息を自然に吸っていく。これを繰り返していくのが腹式呼吸です。
 吐く息に気持ちを落ち着ける効果があるので、吐く息に注意を向けて、ゆっくりと息を吐いていきます。この時に、「リラ~ックス」「落ち着いて~」と体の緊張も息とともに吐き出すようにイメージしながら脱力すると、リラックス効果が高まります。一回5~10分程度行いましょう。

 ストレスに気づいたら、早目の対処が必要です。女性ライフサイクル研究所では、女性が人生で出会うストレスについて、カウンセリングでのご相談を受けています。心身の健康を回復し、ストレス状況を乗り越えていけるよう、ストレス対処からストレス・ケアまで、共に考えていければと思っています。

参考文献:
『女性ライフサイクル研究13号:特集ライフサイクルにおけるストレス・危機とケア』
『女性ライフサイクル研究19号:からだの声を聴く』
『ストレス・マネジメント入門』中野敬子著、金剛出版。・・など。

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