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FLCスタッフエッセイ

2015.04.10 トラウマ
セルフケアのヒント~アートセラピーの手法を用いてトラウマに対処する

                                                                     西 順子

 今年度も「女性のためのセルフケア・グループ」を開催します。このグループでは、アートセラピーの手法を用いて、セルフケアの方法を提供しています。ここではトラウマからの回復と癒しのために、アートセラピーがどのように役立つのか、また各回のアートワークにはどのような意味や目的があるのかを紹介できればと思います。

 トラウマから回復するためには、症状を受け入れ、自分自身に共感をもって、他者と関わるための健康的な方法を身につける必要があります。これらの力を発達させる上で、創造性は重要な役割を果たすと言われています。「女性のためのセルフケア・グループ」でおこなっているアートセラピーは、創造性を使って、トラウマによる症状や苦痛を和らげ、本来もっている力を引き出すことを目的としています。

◆第一回「呼吸を描く」
 トラウマは呼吸に影響を与えます。あなたの呼吸はトラウマによる症状や慢性的な不安と関連しているかもしれません。自分の呼吸の質に気づき、コントロールすることで、よい影響をもたらすことが可能です。不安なとき、気持ちを鎮めるためには、自分の呼吸に意識を向けて、ゆっくりと息を吐き出して、呼吸を落ち着ける必要があります。自分の呼吸に意識を集中することで、フラッシュバックや強迫的な思考から離れて、現時点に自分の意識を戻すことができます。アートワーク「呼吸を描く」では、不安をコントロールするために、呼吸をコントロールすることを助けます。

◆第二回「安全な場所のイメージを創る」
 誰にでも、ほっとできる安全な場所が必要です。心の中に安全な場所を持つことは、ストレスに対処することを助け、安全で快適な感覚を高める効果があるとわかっています。安全な場所をイメージすることは、特にトラウマを経験した人の助けになります。恐怖、パニック、自己破壊的な思考で圧倒させられる時、安全な感覚や強さを取戻すために、安らかな心の聖域(ストレスの影響から避難する場所)に行くために、イメージを使うことができます。アートワーク「安全な場所のイメージを創る」は、圧倒するようなストレスを管理する道具として使うことができます。

◆第三回「侵入的な思考や感情を一時的にしまっておく入れ物のイメージを創る」
 トラウマを経験した人は、ストレスに圧倒されて、自分を傷つける行動へと至ってしまうことがよくあります。これが問題となっているのなら、それをしまっておく入れ物のイメージや、しまうためのスキルを身に着けることが役に立ちます。
 このアートワークでは、侵入的なもの(圧倒するような情報、イメージ、感情など)をしまっておく「入れ物のイメージ」を描くことで、再体験からあなたを守る自己コントロールの方法を提供します。

◆第四回「不安をかきたてる感覚を和らげ慰める~スケッチブックを創る」
 トラウマ反応の一つに、トラウマと関連した感覚刺激(匂い、味、視覚、音、触感)の回避があります。回避の反応は、不安や恐怖を減らす代わりに、慰めや楽しみの感覚を奪うかもしれません。しかし、積極的に、肯定的な感覚の経験を自分自身に与えることで、エンパワーできます。例えば、花の匂いを嗅ぐために花壇にいくこと、穏やかな音楽を聞くこと、熟したももや、なしの味を楽しむことなどは、直接的に感覚へとつながる経験です。
 しかし、実際の生活では必ずしもいつも自分を慰めることができるとは限りませんので、想像力を使うともっと便利です。このアートワークでは、肯定的な感覚の経験を呼び出して、雑誌から感覚ごとに心地よい写真を選び、「安息のためのスケッチブック」を作ります。

◆第五回「希望と癒しの箱を創る」
 トラウマを経験すると、不安、怒り、恐れ、絶望のような感情に圧倒されるとき、自分自身を慰めたり、安定させることができないことがあります。圧倒させられる感情が強烈であるために、孤立無援感を感じ、内なる強さ外の助けを借りることができなくななります。こうした時、触れることが出来て、慰めの拠り所があると、助けになります。このアートワークでは、圧倒されたり、苦痛を感じる時に使うために、希望と慰めとなる箱を創ります。
                                                   『MANAGING TRAUMATIC STRESS THROUGH ART』より
                          

 「絵を描く」と聞くと、「絵が苦手」「上手に描けない」と難しいと感じる方もありますが、このアートプログラムでは、特別な芸術的才能はいりません。誰もが簡単にできる工夫がされていますので、ご安心ください。また、アートワークの後、作品を見ながら、アートセラピーの体験を今後の日常生活にどう活かせるか、行動の工夫を考えます。「気づき」を大切にした、より実践的なプログラムとなっているのも特徴です。

 5月17日(日)より全5回でグループがスタートします。前期の「女性のためのセルフケア・グループ」に引き続き、後期は、前期参加者を対象にした「トラウマケア・グループ」も予定しています。
 トラウマの影響による苦痛とどう付き合っていいかわからない、どうしたら少しでも楽にしのげるのか・・と困っていませんか。アートワークを使って、トラウマ反応へのセルフケアの方法について学んでみませんか。

■2015年前期「女性のためのセルフケア・グループ」のご案内は⇒こちらをご覧ください。

※なお、このグループは、個人のトラウマに焦点を当てるものでありません。「今、ここ」での体験に焦点を当てるグループです。
※このグループが有効な方は、現在安全な状況にいる方です(暴力が継続していない、自傷他害の危険性がないなど)。現在通院中の方やカウンセリングを受けている方は、主治医やカウンセラーに相談したうえでお申し込みください。

■参加者の声は⇒こちらをご覧ください。


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2007年7月FLCエッセイ「トラウマ反応とケア」
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