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FLCスタッフエッセイ

2014.07.02 コミュニケーション
祖母と孫―ジェネレーションギャップ編―

福田ちか子

 

 うちの祖母は、御年90歳になる。7年前に祖父が他界し、一人暮らしだ。90歳になり、これまでの人生をふりかえって、いろいろ思うところがあるご様子。そんな祖母をみていると、孫にもいろいろ思うところがでてくる。

 ◎自分の人生は人と比べて平穏だったとこぼす件。

 毎朝新聞を読むのが日課の祖母。祖母の中では、ニュース欄も、ゴシップ欄もTV欄も同じ扱い。「美智子さま(皇后陛下)も大変ねぇ...」「最近はやれ離婚離婚て多いわねぇ...」「大野君はいろんな人に人気らしいわ(90歳、嵐ファン!!)」。そんな祖母だが、TVで人様の波乱万丈の人生を見聞きするにつけ、自分は平凡な人生だったわ...世間知らずなままだわ...などとぼやく。

 ......何をおっしゃるやら。祖父の兄に気に入られて、祖父の顔を知らずに結婚が決まった祖母。当時満州にいた祖父のもとへ祖父の兄が送った≪ヨメキマル≫の電報一つで夫婦になり、そのまま満州へ。満州で終戦を迎え、ロシア兵から逃れ、夫婦で1歳の娘を抱えて引き上げのご経験ありだ。

 孫世代からみると、驚愕の結婚事情だが、当時はそれが当たりまえ。今も疑う余地なくあたりまえだったと感じている祖母の目には、現代の自由な結婚事情はとても大変なものと映るようだ。〈おばあちゃんの方が大変やったやん〉と伝えたいが、そこはなかなか伝わらず、もどかしい。

 

 ◎恐竜が現代に実在すると信じそうになる件

 いつだったか祖母とTVを観ていて、たまたまロードショーのジュラシックパークが映った時のこと。グラント博士と子どもたちがラプトル(小型の恐竜)に追いかけられるシーンを見て、「あらこわい。これって本物?」と一言。その時、CGがピンとこない祖母に、簡単に説明ができないことに気づいた。CGかどうかの区別って、私たちはどこでつけているんだろう...??? 映像がリアルになればなるほど、現実と空想の境界が曖昧になる...というのはよく耳にするが、身近に実例がいた。

 TVを見ているとき、孫世代の私たちは、自然と現実かそうでないかを判断して映像をみているけれど、祖父母世代には全部現実のように映っているのかもしれない。そう思ってメディアの情報を見ると、祖父母世代は混乱するだろうなと思ったり、実は孫世代が現実だと思っているものもフィクションなのかもしれないと怖くなったりする。

 

 ◎曾祖母の気持ちがわかるわぁと祖母がぼやく件

 ここ20年ほどで、IT化は急速に進んだ。15年ほど前には、誰でもが電話を携帯して道を歩いてはいなかったはず。携帯電話普及の波には何とか乗った祖母だが、インターネットの波には乗らなかった(乗れなかった?)。ネット環境が前提で情報提供がなされているご時世。≪詳しくはWebで!!≫≪今日LINEでさ~≫≪facebook上のトラブルで...≫等々。《犯人はPCを遠隔操作して...》と,祖母が好きな刑事ドラマのトリックまでもがIT化だ。

 情報についていけない悔しさや、ネットが当たり前の現状への憤り、もはやついていく気力はないあきらめなど、複雑な心境がうかがわれる。そんな中、「給湯器が普及してきたときのお母さん(曾祖母)が、世の中変わるなぁ~ってぼやいてた気持ちが今わかるわ」と、繰り返しつぶやいている。孫世代が祖母世代に変わるころには何が起こっているのだろうか...

 

 こうしてみると、時代の変化の中で、祖母世代と孫世代では、ジェネレーションのギャップが大きすぎて、孫世代はもどかしい。相手が自分と同じ世界観だと思い込んで話をしようとすると、かみ合わないことこの上ない。ここまで来ると、異文化交流のような気がしてくる今日この頃だ。最近の変化が特に激しいのか、やはり昔から繰り返されてきたことなのだろうか...。祖母世代も同じ気持ちを感じているのだろうか...。

 ついつい、新しいことに対応できる方が偉いように錯覚して〈そんなことも知らんかったん?〉と上からの視線や口調になってしまうこともあるけれど、祖母の話の中には、キラリと光る生活の智慧が隠れていることがあるので、侮れない。祖母世代の経験智、大切にしたいと思う。

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