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FLCスタッフエッセイ

2014.06.15 コミュニティ
「居場所とは何か」~学会発表のご報告~

                                                        仲野沙也加

 先日、コミュニティ心理学会でポスター発表を行った。学生時代に一番熱心に取り組んだ修士論文を何らかの形でまとめたいと思い、もう一度振り返る作業を行い、発表することとなった。題目は「居場所の概念の検討―「場の居心地」「人の心の拠り所」に着目して―」であった。今回のエッセイでは恥ずかしながら発表させていただいた論文の一部を紹介したい。

 

 修士論文に取り組んだきっかけは、「居場所」支援にかかわったことであった。「居場所」という言葉は、心理臨床や学校現場に関わる人たちをはじめ、私たちの間で随分と馴染みのあるものになってきている。では、そのように関心が高まってきている「居場所」とは何なのであろうか。また私たちは、どのような場所と関係を築き、そこを自らの「居場所」と定め、そこに「居る」のか問題意識を持った。

 人がある場所に「いる」ということは最も当たり前かつ自然で、だからこそ深い意味を持つのではないだろうか。人の「居場所」の選択の背景にはさまざまな要素の組み合わせで移り変わる環境のなかで、その人それぞれの思いを抱きながら、自分の居場所を選択している。しかし自ら「居場所」を選択することが困難な人は、周囲の環境をコントロールすることが難しく、自らの意思を表現する力が十分でない。

 一方で、「居場所」を選択することに困難を感じない人たちは、どのような要因を意識しながら「居場所」を定めているのだろうか。この問いに目を向けることは、「居場所」を選択することに困難を感じている人に対しての生活環境の設定・計画にあたって一定のヒントを与えうるものになるだろう。

  以上のような問いを持って大学生にインタビュー調査を行った。今回の調査から、人は心の拠り所となる・安心感のある、場所・人に対して「居場所」と感じるということが分かった。また、場所については、「自分のあるがままを受け入れてくれる人物」がおり、その人と大切にしている場所が「居場所」になることが分かった。一方で「一人でいる場」も大切であり「居場所」と感じている人が多かった。また、ある関係性(クラスメイト、部活・サークル仲間)について「居場所」と感じる人は、そこに自分が自主的に参加していること、自己肯定感を得られることが大切になってくることが分かった。そして、「居場所」を選択することに困難を感じない人は、いくつかの「居場所」を持っており、それぞれの「居場所」から力をもらい、力を与えていることが分かった。

  「居場所」を選択することに困難を感じる人にとっても一番大切なことはその場を「居心地が良い」と感じることができるかである。支援者はまずはその人にとって「居心地の良さ・安心感」を提供するためになにができるか考え、生活環境を設定する必要がある。その上で、その人が自主性を発揮でき、所属していることを感じるには、何らかの役割を持ち、認め合う関係を築くことが良いのではないかと考える。そのような「居場所」は社会において何か迷いがあった時、力を与えてくれるものになるのではないかと考える。

  発表を終えて、いろんな方から意見を頂いた。多くは「居場所」の多様性ゆえの定義の難しさであった。その人それぞれの「居場所」、「居場所」から得る効果も様々で一見定義を得ることは難しい。しかし、人は大切な場・人・関係性を求め、そこで力を得る、居たいと思う場・人関係性となる。この一番シンプルなところは、通じるものであることを再確認した。

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