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FLCスタッフエッセイ

2013.05.10 トラウマ
環境とつながる~「今、ここ」にいること

西順子

 今年4月28日~5月3日まで、神戸で開催されたSE(Somatic Experiencing)トレーニングに参加させて頂いた。今回講師のHoskinson先生は、初級トレーニングから神経生理学的知識を教えて下さり、とても学び深かった。神経生理学的基礎を学ぶことで、私たちは「生きもの」であること、「生きている」ということを実感する。

 さて、今回最も印象深く残っているのは、「感覚をとおして環境とつながる」ことである。トラウマとは、「今ここに、いることを不可能にしてしまう」と言われる。なので、解離せずに「今、ここ」にいるためには、感覚を通して環境とつながれるよう、外界のものを意識したり、工夫したりすることが大切となる。特に、外界にある心地よいものとつながることが大切である。

 私自身もまた、外界の心地よいものとつながれる時間を意識したいと思っているが、まず最も心が惹かれるのは、自然である。日中は部屋の中なので、朝が一番自然と触れ合えることに気が付いた。お天気の日の朝の空を見上げるのは心地がよい。胸が拡がり、胸に空気が入る。そして心も広々と開放的な気持ちになる。公園を通ると木々の緑が美しい。最近、公園横の道を通ると、鳥の鳴き声がよく聞こえることに気づいた。鳥の鳴き声に注意を向けていると、さらによく聞こえるようになってくるから不思議だ。陽の光も明るくて、心地よい。そして、朝早くFLC本社に着くと、東側に玄関があるので、ちょうど陽の光が差し込んでいて、すがすがしい。朝少しでも早く起きると、こうして五感で心地よさを感じ、探索できる時間をもてると気づいた。

 本社の面接室のなかは、陽の光が差し込まないのは残念であるが、その代わりに様々な工夫をしている。ランプの温かいオレンジの光、観葉植物、そして絵をいくつか飾っている。好きなものを周りに置くことで私自身、居心地よく過ごすことができる。カウンセリングで来談くださった方々にも、「今、ここ」の場で、少しでも安全に感じて頂くことができればと願っているが、この部屋という環境のなかで、少しでも心地よいと思うものがあれば嬉しい。

 トラウマに圧倒されているとき、心地よいものとつながることは難しくもあるが、日頃から心地よいものと親しむようにすることでレジリエンス(回復力)を高めることができる。突然「引き金」を引いて過去の辛い記憶が出てきたとしても、辛さが少しでも緩和するように、外界に注意を向けることで「今、ここ」に戻ることも可能となる。

 そして環境とつながるために最も大切だと思うのは、安心できる人とのつながりである。人の顔を見て、話をしたり、聞いたり、笑ったり・・と、人がそこにいて、やりとりすることが、安心と信頼をもって環境につながることである。仕事の一つとして、NICU(新生児集中治療室)で赤ちゃんやお母さんと出会うが、赤ちゃんがお母さんに抱っこされるとぴったり泣き止んだり、じーっとお母さんを見る姿に、赤ちゃんはお母さんを通して、この世界(環境)がどんな世界であるかを感じているのだなということを実感している。

 心地よい感覚を探索することをもっと楽しめればいいなと思う。それは「今、ここ」に私は生きているんだという実感、生きる喜びともつながるものである。皆さんにとって、心地よい感覚の経験はどんなものでしょうか。心地よい感覚を探索してみませんか。

 

(2013年5月)

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