- 2016.03.13 グループ/講座
- 読書会『心的外傷と回復』1クール目を修了しました
今日は『心的外傷と回復 』読書会、1クール目の最終回でした。読書会は昨年5月に第一章からスタートし、月に一回一章ずつ読み進めてきました。今日は最終章の第11章「共世界」と初版から5年後に追加された「付・外傷の弁証法は続いている」を読みあいました。
回復の最終段階のテーマは「共世界」、社会との絆を取り戻すことです。「共世界」は、翻訳者の中井久夫先生がcommonarity(コモナリティ)を翻訳した言葉ですが、意味深いです。
トラウマ的出来事は個人と社会の絆を破壊し、被害者を孤立化させます。本章では、社会との絆の取戻しは「私は一人ではない」という発見をもってはじまること、この体験が確実、強力、直接的なのは「グループをおいて他にはない」と、「普遍性の体験」というグループの力を引き出す回復段階に応じた様々なグループ療法について詳しく紹介されていました。
本章の最後はまた意味深い言葉で締めくくられています。「自分以外の人々とともに共世界を作ると、それに伴って「common」という言葉の持つすべての意味がわかるようになる」、それは、一つの社会に帰属するということ、一つの公的役割をもつということ、普遍的なものの一部であるということ・・、習慣的なこと、ありふれたこと、普通のこと、日々の暮らしに参加するということ、、等を意味しており、「他の人々との共世界をつくりおえた生存者は生みの苦しみを終えて憩うことができる」と言います。
回復をし終えるとはそういうことなのだ・・とこの本の言葉とクライエントさんの言葉(体験であり証言でもあり)とが重なりました。回復とは、ただトラウマの精神症状がよくなる、ということだけではなく、自己への信頼が回復し、人とのつながりが回復し、社会とのつながりが回復し・・、その方が日々の生活で憩うことができるようになること・・、本当にそうだなと思います。被害者の方が心から憩う日が訪れますことを心から願います。
また、この読書会のグループも、とてもエンパワメントの場でした。被害者の支援に携わる方々との「つながり」と「絆」を感じることができて、私にとってもエンパワーされる場でした。感謝の気持ちで最後はじーんと感慨深かったです。ご参加くださった皆様、ありがとうございました!
次年度5/8(日)より、読書会の2クール目がスタートします。詳しくは、追ってホームページにアップしますので、またチェックしてみてください。一つ一つ、学習と分かち合いを積み重ねていきたいと思いますので、ご支援のほどよろしくお願いいたします。
2012年ボストン「Central Street Health Center」にて
ハーマンさんとお会いできたことを思い出しました
同じく2012年に訪問したボストン・トラウマセンター。
研修で学ばせて頂いたことを役立てていければ・・と改めて思いました。