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所長のブログ~ただ今修行中

2015.07.20 日々のこと
「バケモノの子」を観に行きました!

昨日は午前の面接を終えた後、夕方から梅田へ。映画「バケモノの子」を観にいきました。

久しぶりに映画を観ようと思ったきっかけは、ある女の子の一言。「子どもだけじゃなく、大人にもぜひ観てほしい」でした。この映画について詳しくは知らないけど、先週はテレビで同じ細田監督の「時をかける少女」を観て面白かったので、きっと面白いんだろうな~とワクワクする気持ちで出かけました。家族にも声をかけたところ、予定が空いていた上の娘が「行く、行くー!」と乗ってきてくれ、久しぶりに一緒にお出かけ。

観終わった後、何と表現していいかうまく言葉にならず、思わず出てきた言葉は「すごい~」「すごいわ~」。後半、何度か感情が込みあげてきて泣きそうになり(じーんという涙ではなく、わっと泣きそうな感じで)、必死でこらえたのだけど・・・そんなふうになるってすごいなと。

映画の後、この映画をもっと知りたいとパンフレットを買い、娘と一緒にパンフを観て、ご飯を食べながら「こここうだったよね」「ここはこう思った・・」と、感動冷めやらぬ状態で、感じたことをシェア。

自宅に帰ってからは、じっくりとパンフレットを読んで、この映画を作った監督の思い、製作に関わっったスタッフが協働して創り上げていくプロセス、キャスト(俳優さん)やスタッフさんのコメント・・に、「映画製作というモノづくりってすごいな~」「アニメーションでの表現ってすごいな~」と、また別の感動も味わいました。一緒に行かなかった家族に「行けばよかったのに」「また行こう」と・・誘い、この感動を人と一緒に味わえたらいいなともう一度観てもいいなという映画でした。

映画のメッセージはとてもわかりやすく、とても共感。
そのテーマと物語と、アニメーションの動きの凄さと美しさと・・・どれもが感動的。

映画監督細田氏によると・・「現代社会の変容とともに、家族観も変容するのは必然です。旧来の伝統的な家族観はもはや参考にならず、私たちは、家族の新しいあり方を模索しなければならない瀬戸際に立たされています。新しい子どもたちは何を道しるべに成長すればよいのか・・また新しい大人である私たちは、子どもたちにどんな姿を見せ、何を手渡してあげられのか。この映画を通して共に考えていければと思っています」とのこと(バケモノの子公式ホームページより)。

人間誰もがもっている「心の闇」をしっかりと見据えながらも、子ども、人への温かい眼差しに心を打たれました。

この夏休み、子どもにも大人も、ぜひ観てほしいな、と思う映画です。
特に、思春期の子どもと関わる親、先生、大人には・・ぜひ!お勧めします。

「大人にもぜひ観てほしい」と教えてくれた女の子に感謝して。

 映画が始まるまでの間、噂に聞いていた蔦屋書店でお茶。書店のなかにカフェって、新しい不思議な体験。学生・若者がPC持ち込みで勉強していたり、宿題していたり・・若者の熱気を感じる空間でした。
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2015.07.02 講師活動
臨床心理士としての活動について

 今日は、立命館大学大学院の臨床心理学の授業でゲストスピーカーを務めさせて頂きました。テーマは「臨床心理士としての活動」として、①どうして臨床心理士になろうと思ったのか、②大学院時代に取り組んだこと、③今取り組んでいることについて(臨床的援助とコミュニティ介入)、お話させていただきました。

 この三つについてどんな風に話ができるかな・・と自分を振り返るなかで、結局は自分の人生のライフサイクル上での出来事と人との出会いと、その相互作用であり、私の人生の体験そのものでもあることに気づきました。「個人的なことは社会的なこと」と言われますので、私の個人的な体験も、臨床心理士を志す学生の皆さんの何がしかの役に立てれば嬉しいな・・という気持ちでお話させて頂きました。

 私の人生での「危機」の体験から(危機は転機)、現在は「女性や子どものトラウマと回復支援」をライフワークとしながら、女性のトラウマと関わる臨床家の使命である「安全でサポーテイブなコミュニティ」を創ることや、生態学的架け橋となる援助を試行錯誤していることについてお話させて頂きました。 

 最後に学生さんからの質問や感想を聞かせて頂きましたが、学生さんの声を聴きながら、エールを送る気持ちでした。そして私自身も成長できるよう頑張っていこう~と身が引き締まる思いでした。

 今、この場所に辿りつくまでのプロセスには、人との出会い、クライエントさんとの出会いがあってのことです。自分の人生のプロセスや人との出会い、つながり、そして今取り組んでいることについて話をさせていただくことで、より自分自身の足元がしっかりしたように感じます。このような機会に恵まれたことに感謝の気持ちでした。

 他に二人、ゲストスピーカーの臨床心理士さんのお話もありましたが、こうして外に出て、人のお話を聞かせて頂いたり、また自分の話を聞いてもらう機会は貴重です。たくさんの学びを、ありがとうございました。

2015.06.25 日々のこと
安心とつながりの場

 今日のランチタイムは、FLCスタッフ5名、全員が集まって新人歓迎会のランチにいきました。お店は天神橋筋商店街のなかにあるイタリアンレストラン。前菜からデザートまで量もたっぷりで、しかも手ごろなお値段と・・お得感いっぱいのランチを皆で楽しみました。
 
 その場は、アットホームという言葉がぴったりでしたが、スタッフ皆が温かくサポーティブにつながり合いながら、コミットして携わってくれていることを有り難く、また嬉しく思いました。スタッフ皆で切磋琢磨しながら、安心とつながりの場を創り、よりよい援助を提供していければと思います。

 さて、ランチタイムのときに、くんちゃん(村本)から、今取り組んでいるイベントの案内がありましたので、ここでも紹介させていただきます。

 村本が代表をつとめている立命館大学での取り組み「東日本・家族応援プロジェクト」のスピンオフ企画として、「ココロかさなるプロジェクト・団士郎家族漫画展」が6月27日より開催されます。「どんな災難に遭っても、人は助け合い、逞しくしなやかに生きていけることを忘れずにいられたら、いざという時に、希望の灯を絶やさずにすみます。あなたが、今、困難の最中にあるとしても、どこかにいる誰かとのつながりを思い起こしてみませんか。」という言葉に、ここに安心とつながりの場があるんだな、と温かい気持ちになりました。
 
 団先生の描く家族の物語は、ほろっと心に染みいります。じーんと胸に響き、考えさせられます。そして勇気づけられます。駅会場での展示会のほか、WEB会場もありますので、ぜひアクセスしてみてください!
   
 WEBサイトはこちら⇒ココロかさなるプロジェクト・団士郎漫画展



 

2015.06.24 グループ/講座
子どもとの関係性を育む

 今日も暑い一日でした。午前中は「小児科ドクターと朝カフェ&母と子の相談会」に参加させて頂きました。非常勤で勤務している病院主催のイベントで、コミュニティに出向いての企画。ママのニーズに寄り添う取り組み、本当に素晴らしいです。6ヵ月から10ヵ月までの赤ちゃんと子育て奮闘中のママの姿が微笑ましく、心のなかでエールを送りました。

  振り返ってみればこの二週間は、子どもの視点から、子どもとの関係性をテーマに取り組んでいました。

 まず保護者向けCAREワークショップを二回、コミュニティに出向いて施設の職員さんへの支援者向けCAREワークショップを二回、実施させて頂きました。大学院の授業では「子どもへの虐待」について取り上げました。社会の問題、関係性の問題が絡む複雑な問題として理解しながら、予防の観点から子育て中の母親支援、子ども支援について考えました。


 CAREワークショップの事後アンケートでは「ロールプレイを実際行ったことにより、子どもの気持ちが理解できた」「子どもの気持ちがわかった」・・など感想を頂きました。ロールプレイで子ども役を体験することで得られる気づきは大きいなと思います。じゃあ、どう関わればいいか・・について、CAREでは具体的にコミュニケーションのポイントを教えてくれるので、「自信をもってできそう」「落ち着いて接することができそう」と大人も「やってみよう」とトライする気持ちになっていただけたようです。CAREをヒントに、子どもとの関係性を見直し、より温かな関係を育むきっかけになれば嬉しく思います。
 
 子どもとよい関係性を育むためには、子ども(存在)に関心を向けて、そこに心を寄せることが大切です。でも、それができないな・・という時には、大人の心のなかにある「子ども」と向き合うことが必要とされているかもしれません。大人のなかにある「子ども」を大切に扱っていただけるよう、またお伝えしていければなと思います。


         一年半前に頂いたミニバラ。何度も、枯れてはまた花を咲かせてくれています。
                   今度は、こんな可憐な花が・・。

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2015.06.15 トラウマ
発達トラウマとアタッチメント

 今日からまた新しい週が始まりました。
 この13・14日の土・日曜日は、東京で開催された「発達トラウマ」と「愛着障害」についてのワークショップにいってきました。講師は、SEタッチセラピストのステファン・テレール心理学博士で、発達トラウマとアタッチメントの講義、デモンストレーションを通してのSEタッチの実技や解説など、とても充実した二日間でした。
 
 テレール氏には、SEタッチスキル・トレーニングに参加した際にお世話になりましたが、今回初めてお話を聞かせて頂き、大変感銘を受けました。特に、発達トラウマをご専門とされていますが、ご自身は独身でありながら二人の子どもを養子として育てておられます。「夜は仕事はしません」など、家族(子ども)との生活を大事にした働き方をされているエピソードに、子どもとのアタッチメント(愛着)の絆を本当に大切にされていることが伝わってきました。温かい雰囲気のなか、貴重な学びをさせて頂き、心から感謝の気持ちでした。

 私も、SEタッチスキルを学んだ仲間とともにアシスタントを務めさせていただきましたが、さらにSEタッチの学びを深めていければと思いました。大人の方にはSEタッチを提供させて頂いていますが、今後、子どもさんや、親子さんにも役立てていけるように・・またテレール先生から学べる機会が実現すればなと思います。

 テレール先生の言葉で一番心に残っているのは、「一番大事なのはアチューンメント」。同調し、波長を合わせること。数年前、ボストン・トラウマセンターでの研修においても、アタッチメント(愛着)の回復のために「アチューンメント」はキーワードであったことを思い出しました。SEタッチに限らず、アチューンメントを大切に意識して、臨床に取り組んでいきたいと改めて思いました。

  さて、SEタッチではありませんが、大人と子どもとの愛着の絆を強めることを目的に、子どもと波長を合わせるコミュニケーションのポイントを、CAREプログラムという形で伝えていければと取り組んでいます。関心がある方は、こちらも合せてご覧いただければ嬉しいです! 
  ⇒保護者向けCAREプログラムはこちら、援助者向けCAREプログラムはこちら

                  お食事会場から。東京駅って広い!
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2015.06.08 日々のこと
心を込めて、整えること

 6月に入り早一週間が過ぎました。この一週間は日々の臨床の合間に、大学院生さんへの授業、昨日はセルフケア・グループと「心的外傷と回復」の読書会、そして今日は「CAREワークショップ」と、濃密な時間でした。
 
 授業では「DV被害者と家族」をテーマに、DVの背景にある社会の問題、実態、被害母子への影響、トラウマと回復についての講義。最後には一番伝えたいこと「安全を取戻し、回復を支えるためには、コミュニティや環境とのつながりの大切なこと」を話しましたが、学生さんがしっかり受けとめてくれて、嬉しく思いました。

 読書会は、支援者通しの横のつながりを感じ、エンパワーされるのがとても有り難いです。CAREワークショップも、「子育て中の親御さんにもっと広く知ってもらえるといいのに~」と好評で嬉しく思いました。

 先週のある日、夜洗濯を畳みながらテレビをつけると、たまたま「プロフェッショナル~仕事の流儀」が放映されるところ。この番組は好きなのですが、女性が登場するのが少ないな・・と思っていたところ、今回は女性。思わず引き込まれて最後まで見ましたが、清掃という仕事に誇りを持ち、「お客様が喜んでくれればそれでいいんです」と謙虚で真摯な姿勢で仕事に向き合う姿にとても胸を打たれました。そして「清掃は優しさ」「心を込めて仕事をする」という言葉が心に残りました。

 「心を込める」という言葉、久しぶりに耳にしたように思います。その女性のお仕事の様子は本当に「心を込める」という言葉がぴったりでした。仕事への姿勢と共に大切な言葉を教えて頂いたなと思います。

 女性ライフサイクル研究所の朝は、玄関を開けて風を通し、花の水替えから始まります。カウンセリング以前のこととして、まずは「場」を整えることが大切だと教わってきました。場を整えて準備するところから、カウンセリングは始まっていると。
 来談くださる方が、ほっと一息つけて、安全を感じれる場となるよう、「心を込める」ということを意識して、水替えや掃除を心がけていきたいなと改めて思いました。

 そのためには「余裕」も必要。時間の余裕は心の余裕・・と、余裕がもてるように努めていければと思います。


 

2015.05.29 トラウマ
「性暴力:その後を生きる」に参加して

 今日は一日の仕事を終えた後、講座「性暴力:その後を生きる~SAFER101」に参加しました。講師は、NPO法人レジリエンスの中島幸子さん。「SAFER」とは、性暴力をテーマとしたの支援者向けの研修プログラムで、私が今日参加したのはその基礎講座です。NPO法人レジリエンスさんが出版されたDV関係の本は翻訳本も含めて何冊かもっているので、勝手に?親近感を感じながら、初めてお話を聞かせて頂きました。

 中島さんのお話はとてもわかりやすく、性暴力とその影響について大切なことを再確認できました。お話のスタンスは、☆(ほし)さん(レジリエンスでは、何らかの傷つきを抱えているサバイバーの方を、自ら輝ける力をもっている人というメッセ―ジと敬意を込めて、☆さんと呼んでおられます)にしっかりと寄り添い、被害者を理解して傍に寄り添う支援者が増えることで、性暴力をない安全な環境・社会になるのではないかと願う、熱い思いが伝わってきました。心から敬意と尊敬の気持ちをもちました。
 そして、私自身もとてもエンパワーされました。またこれに続く講座もぜひまた受けれるといいなと思いました。学びながら、支援者同士とのつながりができることを願って。

 講座が開催された会場は、大阪のドーンセンター。久しぶりのドーンセンターは静かなたたずまいでしたが、熱い・・気持ちで帰路につきました。次にまたお話を伺える日を楽しみにしたいと思います。
 明日土曜日は、一日面接の日です。落ち着いて一日を過ごせたらと思います。


               本とパープルリボンのネイルシール、ピンバッチ。
                   デザインと色が素敵です!
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2015.05.24 トラウマ
EMDRを用いたトラウマ心理療法を学ぶ

 5月22日(金)~24日(日)まで、東京で開催された日本EMDR学会第10会学術大会と継続研修に参加してきました。丸三日間、ずっと椅子に座って話を聞いていましたが、こんなにず~っと座って人の話を聞くことは・・普段あまりないこと。とても充実し、またとても有意義な学びができ贅沢な三日間でした(⇒EMDR学会についてはこちら)。
 
 継続研修の講師の先生は、Andrew.M.Leeds博士で、EMDRの基礎から応用まで、研究に裏付けされた最新の知識と方法をとても丁寧に教えて下さいました。複雑性PTSDをはじめ、解離、愛着の問題(関係性の問題)、嗜癖行動や強迫行動への対応など、トラウマ臨床に役立つ話を聞けて、とてもありがたく、また希望を感じました。

 Leeds先生には、ちょうど10年前、EMDRのトレーニングでご指導いただきました。そういえば同じこの場所で。あれから10年、月日のたつのは早いです。長年に渡り、研究と臨床に携わって来られた先生の講義からは、洗練された内容と共に実直さと誠実さが伝わり、尊敬の念を抱きました。
 頭の整理が必要ですが、少しずつでも学んだことを役立てていければと思います。

                研修会場の早稲田大学キャンパス、
             緑が多く小鳥のさえずりも聞こえてきて素敵なところでした。
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2015.05.18 トラウマ
『心的外傷と回復』を読む

 昨日は『心的外傷と回復』読書会の第一回目でした。虐待、性暴力、DVなど、被害者の回復支援に携わっている支援者の方々と、共に学び、支援について考えることができればと企画し、今月よりスタートしました。職種を越えて、さまざまな立場で支援に関わっている方々がご参加くださり、心から嬉しく感じました。

 本書は、心的外傷(トラウマ)と回復についてのバイブルとも言える本。著者は、ハーバード大学医学部精神科臨床准教授であり、ケンブリッジ病院の精神科医のジュディス・ハーマン氏で、本書によって、アメリカ精神医学会およびアメリカ精神医学と法学会からM・S・ガットマーカー賞を受章されています。米国では、心的外傷を云々する者がまず読むように勧められる本であり、専門家だけでなく、特に心的外傷を負った帰還兵や女性の性暴力被害者に読まれていると言います。

 そして本書は、1996年、阪神淡路大震災後、当時まだトラウマ、PTSDという概念が日本では一般化されていなかった頃、精神科医中井久夫氏によって翻訳出版されました。出版された当初、本書を読み、目から鱗のような・・感銘を受けましたが、その後、必要な箇所を部分的に読むことはあっても(臨床と関わるところ)、全体を通してじっくりと読むことはありませんでした。今回、この機会を得て、私自身も再学習したいという気持ちがありました。

 今月の読書会第一回目は、第一章「歴史は心的外傷を繰り返し忘れてきた」のところ。再読し、1980年以後、ベトナム戦争の帰還兵の努力によって公認されるようになった「外傷後ストレス障害(PTSD)」と、性暴力、性的虐待、DV被害者に見られる心理学的症候群とは同じ一つものであること、そしてそのことが明らかとなった今も、どちらも(公的世界における戦争も、家庭生活という私的世界での暴力も)解決されてはいないことを、再認識しました。

 読書会では、参加者の皆さま、スタッフと共に、歴史を学び、そしてその知識や思いを分かち合いましたが、それは深い感動の体験でした。グループで仲間と共に分かち合うことは、一人で本を読むのとはまた違う発見や拡がりがあります。その感動はうまく言葉に表されませんが、例えるならば、夜が明けていく(曙)ときに感じる感覚であり、世界が開かれていく感じというか・・、未来への希望を感じました。一人一人への尊敬の念と共に、シスターフッド(女同士の友情)という言葉を思い出し、身体の芯から温かく、力強さを感じました。

 本書を初めて読んだときもそうですが、「序」にある言葉、「本書はつながりを取り戻すことにかんする本である。すなわち公的世界と私的世界と、個人と社会と、男性と女性とのつながりを取り戻す本である。本書は共同世界にかんする本である。・・」は、今回もじーんと胸に響きました。性的虐待、性暴力、DV被害者支援に取り組むということは、社会的な「つながりの回復」に取り組むことでもあると、その意味を再認識しました。

 読書会で、仲間とともに実感しえた「社会とのつながり」に基礎におきながら、日々、自分に与えられた仕事、臨床に向き合っていこうと力づけられました。
 また次回を楽しみにしたいと思います。

  当日の朝、花屋の前をとおるときに、鮮やかな紫陽花が目に留まりました。秋まで花が咲くそうです。
IMG_0331 (2).jpg  ※店主のおじさんに、「家に飾るの?」と聞かれ「会社です」と答えると、「女性が多いんか? カーネーション、一本持っていき」とのこと。カーネーション一本ではなく、一鉢くださいました! 天満のおじさんの応援メッセージに、感謝。

 

2015.05.10 トラウマ
法と心理の協働について学ぶ

 今日の日曜日は、大学院の授業「司法臨床」に協力者として参加しました。
 この授業は、法と心理の協働を目的に、法律家を目指す学生さんと臨床心理士や対人援助職に就かれる学生さんとが共に学ぶユニークな授業で、毎年、ロールプレイをお手伝いさせて頂いています。今日も院生の皆さんの問題意識が高く、私自身もとても学ばされました。

 日頃、DVや性暴力の被害者の支援に携わるなかで、特にミドスト・トラウマ(今現在トラウマに晒されている)にある方を支援していくには、法律や司法制度についての知識が不可欠であることを学ばされてきました。
 トラウマが過去の出来事で、ポスト・トラウマとなっており、現在ある程度安全に生活ができている方であれば、トラウマへの心理療法も何がしか役立てていただけるのではないかと思いますが、現在まっただ中の場合は、まずは安全確保が必要となります。そのためには司法や福祉の側面からの支援が必要なことが多いです。司法、福祉、教育、医療など多職種での連携、協働が必要となってきます。うまく連携していければと思いますが、実際には試行錯誤で、もっとどう連携すればよいのか・・と課題に感じることが多いです。

 今日の心理の講義のなかでは、「専門性を極めるほど全体が見えなくなる」「多職種の壁を乗り越えて連携、協働するためにはコミュニケーションが大事だが、専門家としてプライドが高くなるほどコミュニケーションが難しくなる」というお話がありました。この言葉は、私の胸に響きました。確かにそうだと。

 私自身の専門分野は臨床心理で、特にトラウマ心理療法についてスキルアップできるようトレーニングを受け、今もなお訓練を積んでいるところですが、心理臨床家としての役割や専門性を相対的に捉える視点を見失しなってはいけないということを改めて確認しました。心理の限界、自分のできる限界を踏まえながら、謙虚な気持ちで臨床にあたっていければと自戒しました。と同時に、他の職種の方々ともっとうまくコミュニケーションがとれるようになれればと思いました。

 司法の観点からのお話として、弁護士さんの講義もとても学びになります。苦手なことは何回聞いても、なかなか頭に入ってこなかったのですが、今日はまだ理解がしやすかったので、繰り返し話を聞いていくことが大切だと改めて思いました。そして、違う角度(専門性)から物事を見ることで、出来事全体、環境も含めての人間全体を理解することにつながることを実感しました。

 参加できるのは今日一日だったのは残念ですが、外に出て、さまざまな現場の方、職種の違う方々と話をする機会を大事にしていければと思います。

 来週日曜日、17日は、「心的外傷と回復」を読む読書会の一回目です。被害者支援に携わるさまざまな職種の方と共に学び、考えていくことができればと願っています。皆さまのご参加をお待ちしています!


 



 

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